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2015年4月29日 (水)

『ギミチョコ!!』考 3

Gimisoni

 前回のコメントで「あたたたー」の振付けは、YUIMETALとMOAMETALはSU-METALの「虫歯」を演じているのだ、という解釈した人がいると教えられ、そう思って見直すと、もうそうとしか見えなくなってきて困った。
「どっきゅん」「ずっきゅん」は間違いなく何らかのインパクトを表わすものであるし、彼女達の振付けは、マンガ的な比喩での虫歯の表現だという解釈に無理はない。
 MIKIKO-METALがそういう「ネタ」を演じさせたという事も蓋然性がある。

 

 しかし私は、「あたたたたー」パートはYUIMETALとMOAMETALによる「自由演技」として設定されたのではないか、と思ってきた。勿論、最終的には演出が施されてはいる筈であるが。
「あたたたー」パートのSU-METALは、全く動かない。いや、段々独自に表情を出す様になってはいくのだが、当初は不機嫌そうな顔をして佇立しているだけなのだ。
 もし「虫歯」であるなら、「痛い」というリアクションがあって然るべきだと思う。
 という事で、「虫歯」説を否定するのではなく私の読んだ解釈を検討してみよう。


『ギミチョコ!!』の振付けはBABYMETALの「凄さ」「可愛さ」「ダイナミックさ」「繊細さ」といった多様な側面を凝縮させたものだ。
 何のかんのと言っても、私がこれまで最も見返した動画はこのMVであったし、今見直しても未だに愉しめる。
 2010年から始まったBABYMETALが、実際の年月以上に成長したパフォーマンスを明快に誇示するプログラムだと思う。

 タイトルからして、Perfume『チョコレイト・ディスコ』との連続性を思う人は多かったのではないだろうか。『ディスコ』の終盤、ホイップ・クリームを作る仕種が、『ギミチョコ!!』のチョコレートを食べて満悦する表現とリンクしているとも言える。

 チョコレートの箱と思しき四角を指で作る仕種は、『いいね!』(私はこれをスマホ自撮りの隠喩かもしれないという説を述べた)と同一(モーションは全く異なる)であるが、これもPerfumeのプログラムに前例がある。

 こうした過去の自身の振付けから引用していく手法は、個人的にはとても共感する。私は全く異なる作品でも、登場人物の名前を共有させる事をずっと行ってきた。作品はそれぞれ別であっても、書いている本人には連続性が見出せてしまう。そうする事の方が「自然」なのだ。

 MIKIKO-METALの場合は、歌の歌詞を振付けで表現しようという意識が強く、結果として振付けが言語活動的であると幾度も述べた。
 しかし、では逐次的に歌詞の言葉を手話の様に転換しているのかと言えば、全く違う。
 MIKIKO-METALの振付けは、歌詞で歌われている物語の上に、新たなレイヤーを重ね、歌詞の物語を時にはより具体的に、時には対位法的にヴィジュアルで語ろうとしているのだと考える。
 MIKIKO-METALの振付けは言わばメタ・ストーリーなのだ。


『ギミチョコ!!』の振付けには、過去にはない特徴がある、と私は密かに思っている。決して大きなものではないし、意図的ではない可能性も高い。
 それは、YUIMETALとMOAMETALが異なる表情をしているところがあるという点だ。
 振付け自体はシンメトリなのだが、YUIMETALが無表情でいる時、MOAMETALはニマニマと微笑んでいる時があるのだ。

 ファンにはよく知られた事だが、昨年夏のSonispherフェスでの事。『BABYMETAL DEATH』でショウは始まるのだが、三人が位置についた後、MOAMETALは何故か一人だけ動作を始めなかった。気にしたYUIMETAL、次いでSU-METALがMOAMETALを見ると――、遅れて動作を始める。その後は問題なくパフォーマンスをした――、様に見えた。

 後にさくら学院ブログでMOAMETAL自身が明かしたところでは、ショウ開始時、イヤー・モニタに音が来ていなかったのだという。イヤー・モニタは、ステージ上の爆音から耳を護る意味もあり遮音性が高い。辛うじて聞えるドラムの生音だけを聴きながらMOAMETALは『BABYMETAL DEATH』をやりきったのだ。
 それを知った誰もが驚き、それであのパフォーマンスをしたのかと畏敬の念を抱かない者はいなかった。

 2曲目が『ギミチョコ!!』で、冒頭の曲入り直前、MOAMETALは一人だけ「ニヤ」と不敵な笑みを見せる。
 これは「ちゃんとイヤー・モニタが生きていてカウントが聞こえた」という笑みだとずっと解釈していたのだが、そうではない気がしてきた。
 MVでも、イントロ部ではMOAMETALの笑みのアップがインサートされている。
 これは意図的なものだと考えた方が自然だ。

 BABYMETALの三人の基本的なフォーメーションは、SU-METALが本神であるならYUIMETALとMOAMETALは左右の神使。阿吽であり、狛犬ならぬ狛狐。しかし基本的には三位一体である。
 YUIMETALとMOAMETALは基本的にシンメトリを形成するが、時間差のモーションも多い。
 ソロ的なパートは交互に行う。
 しかし、左右が全く違う場面というのは殆ど無かった。

 SU-METALと二人の関係は、基本的にはSU-METALと同一の情動で表現されるが、『君とアニメが見たい』がそうである様にSU-METALと対立するプログラムもある。
 1曲の中でも役割がシフトする場面が多々あって、なかなか一貫性を見出し難いのであるが、しかし振付けが「語りかけて」くるのだ。どうしたって「読みたい」という気持ちになる。

 と言うことで『ギミチョコ!!』を読解していこうと思ったのだが、ここまで書いて疲れてしまった。続きはまた次回……。

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「C!O!I!チョコレート」について、前回のコメントでさくら学院の楽曲に同じ言い回しがあると教えて戴いた。
 2013年10月発売「顔笑れ!!」通常盤のカップリング曲『Pumpkin Party Parade』(作詞/曲 本田光史郎)というミュージカル風ハロウィーン・ソング(構造はMichael Jackson "Thriller"を元にしている)の歌詞に、確かにあった。不勉強であった。
 尚、「Check It Out! Chocolate!」は全くハロウィーンの定型文ではない。この曲独自の和製英語だ。

 確かに『ギミチョコ!!』とプロダクション時期が近い。
 BABYMETALの楽曲はプロダクション期間が長いので、どちらが先なのかは判別し難いのだが、『ギミチョコ!!』が後だと考えた方が自然だと思う。
 これは全くの想像だが、『ギミチョコ!!』の歌詞は歌入れ時まで(例によって)フィックスされておらず、その場で考えられたフレーズがあったかもしれない。
 その時、さくら学院の曲でこういうフレーズがあると、YUIMETAL辺りが提言したのかもしれない。さくら学院原理主義的に考えればそういう事になる。

 これもまた、BABYMETALに於ける「さくら由来」の一つかもしれない。

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コメント

ゆいもあがアタタタの時に表現してるのは自らチョコレートになってすうちゃんを誘惑してるのだと思いました。チョコレートの悪魔の攻撃を受けてすうちゃんは一応無視したり耐えたりしてますが結局のところ堪えきれず戸惑いながらも食べてしまうのかなと。

本当は食べたいけど、体重も気になる…
チョコレートを我慢している心の中の誘惑をYUIMOAが表現している説に賛同!
一番の理由は、そう思って振り付けを見たほうが断然楽しいからです。
食べたい自分と、我慢している自分(YUIMOA)
心の中から抜け出してきた誘惑の視覚化ですね。
ラストで三人が一箇所に集まるのは、心の中の対立が終わり視覚化されていた誘惑が、心の中に戻っていく様子ですかね。
だとしたら、振付のパンチやチクチク攻撃は楽しい振付ですよね、

虫歯説は知らなかった。。。
”誘惑”ねぇ。それも面白いかも。それだとSuが(><)顔する場面は「やめてぇ~」となるわけですね。
自分は「あたたた・わたたた」は、”天使と悪魔”を表現しているのだと思ってました。YUIが天使でMOAが悪魔。で、結局、食べてしまうからMOAが完全勝利と。

ホント、ベビメタは、いろいろ面白いですね。

tama様
やっぱりそう思いますよね。
すぅちゃんのチョコレート食べたいけど我慢しなきゃ、でもやっぱり食べたいという心の葛藤。そこに派遣されたチョコレートの悪魔があの二人では菩提樹の下のお釈迦様でも払いのけるのは困難でしょう。
まして年頃のすぅちゃんに耐えられるはずありません。

ゆいもあが虫歯菌はヒドイw

MIKIKO-METAL との対談で明らかになることを期待しますw

BABYMETALにおいてチェケラッチョコが登場すのは初の公式ワンマンライブLegend I、以降定型の流れになるのだがチェケラッチョコの誘惑に負けて食べたYUIMOAはBlack BABYMETALになる、そしてチャライ曲おねだり大作戦を歌う、それを助けようとSUが紅の騎士となり紅月を歌う。BABYMETALのメタルの世界観の中でおねだり大作戦が突然登場するのは通常ありえない、それを紙芝居とチェケラッチョコを使いBlack BABYMETALを作り出すギミック。
チェケラッチョコの包装紙にはC!I!O!とあり、ギミチョコ歌詞カードにもCheck it outとは書かれてなくC!I!O!チョコレートはあくまでチェケラッチョコのこと。
つまりギミチョコはBlack BABYMETALがSUをチェケラッチョコで誘惑するという単純な曲。
これってメイトの間では常識と思ってました。

悪魔の自分=YUIMOAが、良い子の自分=SUを誘惑してるのですね
にしても“自らチョコレートになって”とか“心の中から抜け出してきた誘惑”とか、とても面白いです

今一度MV観たのですが、あたたたたの前のイントロに限ると、チョコレート党の総帥はSUなのかなと…
SUが可愛いYUIMOAを凧(カイト)の様に操って世の中にチョコレート好きを増殖させんとしてるの。
みんなチョコ好きになって地球上がチョコレートで覆われちゃえばいいのに

>SU-METALが本神であるならYUIMETALとMOAMETALは左右の神使。

ワタシは仏像マニアなので、BABYMETALから最初にイメージしていたのは「不動明王二童子像」でした。
↓こんな感じ。
http://artnews.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_7ba/artnews/E4B88DE58B95E6988EE78E8BE4BA8CE7ABA5E5AD90E5838F.jpg?c=a0

あたたたズッキュンのYUIMOAが誘惑の悪魔なら、ラッパッパパーのYUIMOAはもしかしたらラッパ吹いてる天使かも?誘惑に負けて食べちゃって天国気分、みたいな?w

>不動明王二童児像
私はどちらかと言うと、薬師如来 with 日光、月光両菩薩と考えてます。
というのは、センターの薬師如来はスゥさんであるのは勿論として、モアちゃんが日光菩薩、ユイちゃんが月光菩薩というキャラの違いがあると思うからです。
モアちゃんは常に明るいムードメーカー、ユイちゃんはクールで正確。
言い換えれば陽と陰、相互補完の関係にあるんじゃないかと。
鼎立とか三輪車、三國志とか、三権分立とか、3という数字は安定する、完成するって特別な意味合いが有りますが、3人組というのは、それだけで強いと思います。
しかし各々の役割がイコールである必要はなく、むしろ機能を分担する事でより高いレベルに達する事が出来るとは思います。

阿仁王、吽仁王なんてのもありましたね。これはちょっと違うか。

https://twitter.com/utsunomiaa_com/status/593497733299703810

と、宇都宮泰さんがつぶやかれてますね。
いやーBABYMETALを語る楽しみが繋がっていきますね!

相変わらずここのコメント欄は話題や例えがシブくていいですね。
乗っかるコメントで申し訳ありませんが、私も3人の立ち姿の第一印象は三尊像。
国立博物館の仏像ルームで「これはキャンディーズ」「これはピンクレディー」
「これはAKB(天部が大勢)」などと思いながら見ていましたが、やはり仰ぎ見る
アイドルというものは仏像に通じるところがある。
人の美感の根本的なところに訴えかけるレイアウトだと。
本尊プラス両脇侍という形式のアイドルはBABYMETAL以前には無かったのでは
ないかと思っています。

おお、仏像の話題に乗っかっていただけるとは!

「不動明王二童子像」をイメージしたのは、あくまでビジュアル的な意味で。
火炎光背とかメタルっぽいじゃないですか。
あとは三千院の「阿弥陀三尊坐像」かな。
特に脇侍の観音菩薩像の御顔がYUI-METALに似てませんか?
http://www.sanzenin.or.jp/guide/heritage/02.php

“誘惑に負けて食べちゃって天国気分”の三人(^-^)。可愛いネ

SU「今、手にしてる物をチョコレートに持ち替えて!」
YUI「遅れるよ、早く、早く」
MOA「みんな、おいでー、Come on!」

最初の「あたたた」の直前にSU-METALが手を振り回し、他の二人が手を眼鏡のようにしてグルグル回る動きを、「脳と眼球」だと思っていました。その前の指を頭の横で回すのが「頭が疲れを感じている」のを、頭の横で手を左右に振るのは「脳が何か考えている」のを表しているのかな?オープニング直後の動きは「ハードワーク」のイメージかな?
オープニングから順に並べると、「ハードワークする」「頭が疲れを感じる」「脳が考える」「脳が何かを求めて目を動かす」という動きです。その後「あたたた」とはじまるので目から入った「チョコレート発見!」の情報が脳に伝わり脳が歓喜している所かな?と思っております。

不動明王かあ。
確かに、ライブ映像でしょっちゅう頭が燃えてたりするもんなあ。

“脳と眼球”(º♢º)
「あたたたた」が歓喜だったとは…

その時のSUの澄まし顔は「みつけたチョコは必ずいただく(キリッ)」
みたいなチョコホリックの秘めた本性を垣間見せたのかも
しまいには三人そろってチョコ食べまくっちゃってるし(^-^)

そういえば、山口百恵菩薩論なんてのが有ったなあ、とググってみたら平岡正明さんの著書がありました。
私は桜田淳子派だったので、完全スルーでしたが。(この方もある意味、涅槃に入られた感があります)

主様、如何でしょう。
この辺りで「Su-metal(仲元すず香)不動明王論」などを上辞されてみては?
一定の需要は見込めると思います。
もっとも、文字通り火ダルマになるやも知れませんが。

ご案じ召されるな。お骨は拾います。
お時間が宜しいようで。

すみません。ネタでした。
仕事中に思い付いたものですから…

パンプキンパレードです。
partyじゃなく

ブログ主が結論出す前にコメント欄で「タイトルについての持論を展開して結論に至る」のはいかがなものでしょう?
こちらに限らず連載形式の場合、横道で楽しむ・事実関係の確認等ならともかく、主の結論を待てないのならご自身のブログで行うべきかと存じます、ご一考を。

スー様、その通りかと思います。反省いたします
ブログ主様、いつもウイット溢れるブログありがとうございます
そしてこの度はどうもすみませんでした

ギブミーチョコレート!だって!?

最初に連想したのは「進駐軍」でしかなかった
コバメタルが何をこの楽曲に託したのかは解らない
歌詞にはたぶん深い意味はない
でも進駐軍挽歌だと思って見直すと
神バンドの畳み掛ける爆音リフはB29爆撃機の来襲に
あたたたたたたとヤダヤダネバネバーは機銃掃射を逃げ回った少女達に
ギブミーチョコレートと叫ぶ姿は進駐軍にチョコレートをねだる戦災孤児の姿に
書くのも恥ずかしくなるほどシュールで馬鹿げた連想で頭が一杯になってしまっていた

しかしアメリカ公演で観客に向かって「ギミチョコと言え」と命令している様を見て「ああ日本の戦後はついに終わったのだ」と書き込んでる人がいて
自分と同じものを感じた人もいたのだと思った
もしかしたらこいつはキャッチーで魅力的な舞曲に巧みに偽装した隠れ反戦歌なのかも知れない
ダグラスマッカーサーがこれを見たら
一体どんな顔をするだろうか

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