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2015年4月19日 (日)

『ギミチョコ!!』考 0

 いよいよBABYMETALがブレイクスルーした、最も世界に知られている楽曲を論考するのだが、論を始める前に事実関係や経緯を振り返る必要がある。
 下調べをしている内に付帯情報が膨らんでしまった。今回は『ギミチョコ!!』そのものには全く触れないので、興味外の方は飛ばして戴いて構わない。





 現在2500万再生を突破しているYouTubeの「Live Music Video」は昨年2月26日、1stAlbumの発売日に公開されたものだ。
 先んじて2月3日に「Short Ver.」がOfficialチャンネルで公開されていた(現在は非公開)。
 第三者によるフル・ヴァージョンのアップロードが続いた様で、結局公式チャンネルもフルを公開したという経緯の様だ。

 海外掲示板翻訳サイトで読んだのだが、2000年代、もし大塚愛のMVがフル版で公開されていたら、海外のJpopファンの間でも人気が出ただろうという書き込みが記憶に残っている。
 YouTubeでショート版を公開し、CDの特典でフルをつけるというのは、本筋から言えば誤った判断だ。だってMVはプロモーション用途で作られるものなのだから。 
 しかし音楽業界は不況なのだった。


 それまでに既にBABYMETALに注目していたコア層ばかりでなく、欧米でこのビデオの存在が知られた契機は、4月3日にThe Fine Bros.という兄弟がアップロードした「YOUTUBERS REACT TO BABYMETAL」という動画の存在が大きい。
 ネットを通して見られる様々なものを、色々な人物が見ている様や述べた感想を手際よく編集したシリーズで、動画共有に於けるヴァイラルなキュレーションとも言えるだろう。
 日本のサブカルチャーも、きゃりーぱみゅぱみゅなどが既に紹介されていた。
『ギミチョコ!!』のMVは、大きなリアクション表現が見られる対象としてうってつけだっただろう。

 この紹介動画によって、普段Jpopなど積極的に聴かない層にも知られる事となった。
 6月には再生回数が1000万回を越える勢いとなった。
 本稿執筆時点でYouTubeに於ける「ギミチョコ」検索でヒットする動画は52,100件を越えている。

 昨年末頃の集計だと思うが、世界の国別でとった「BABYMETALの曲でどれが一番好きか」というアンケートでは当然ながら、各国一様にこの曲が1位を占めた(現在はかなり順位が下がっている様子。Redditでは『メギツネ』の人気が高い)。
 YouTubeの件の動画は再生回数ばかりではなく、コメントの数が尋常では無い。到底全部は読み切れないのだが、初期によく海外から書き込まれたもので目立っていたのが、
「中毒性がある」
 という事だった。
 なぜこれが良いと思うのかも判らないが、繰り返し再生してしまうのだという。

 日本でも勿論そうした感想が数多くTwitterに流れた。
 確かに『ギミチョコ!!』には中毒性がある様だが、なぜそうなのかについては本論の方で触れよう。


 楽曲を手掛けたのはTAKESHI UEDA(上田剛士)。元THE MAD CAPSULE MARKETS、現AA=。
 アイドルへの楽曲提供としてはBiS「STUPiG」(2014年1月22日)が先に発表されたが、先に手がついたのは『ギミチョコ!!』かもしれない。

 私はTHE MAD CAPSULE MARKTESは名前は知っていても聴いた事が無かった。
『ギミチョコ!!』を聴いた人の中には、MADのサウンドに似ていると感じた人もいた様だ。確かに「Good Girl」のリフとサウンドは近い。
 MADはメタルではなくパンク由来のデジタルハードコアという括りで語られるが、活動時期によってそのサウンドは変わっている。

 私が興味深かったのは「Tribe」(1999)という楽曲で、そのサウンド、ヴォーカル・スタイルは初期Slipknotに驚く程近い。しかしSlipknotの1st,Albumが発売されたのは2000年。
 MADは海外でも多くのライヴを行っていたという(2000年代以降)。
 後にMADのヴォーカルだったKYONOはSlipknotのSIDことDJ Starscreamとジョイント・ライヴを日本で行っている。
 また日本で昨年開催されたKNOTFESTにはTAKESHI UEDAのAA=、KYONOが現在やっているWAGDUG共に出演していた。


『ギミチョコ!!』の冒頭には、懐かしきMacInTalkの"Whisper"による合成声でタイトル・コールがある。
 私がMacユーザであったのはOS9時代までで、OSXの事はさっぱり判らないのだが、当時のMacintoshではフリーのツールとして、テキストを読み上げる合成音声ソフトがあったのだ。(TextToSpeech)。
 普通の男性、女性、子ども、ロボットといったヴァリエーションがあったのだが、このWhispser(囁き声)というヴォイスは、実際には囁いてる様な感じでもなく独特な声が印象深く、やはりこれを使うのだなと思った。

 私が脚本を書いた『serial experiments lain』(1998)は毎回、サブタイトルをこのWhisperで喋らせていた。最近(でもないか)『風立ちぬ』の録音監督を務めた、『lain』では効果担当・笠松広司氏のセンスだった。


 英語を喋らせるのは昔から簡単な技術だったのだが、日本語を綺麗に喋らせるにはハードルが高かった。しかし技術は確実に進み、日本語音声合成技術は革新と拡散双方共に発展している。
 一つの象徴が、このブログでも幾度か言及したヴォーカロイドだ。
 そしてニコニコ動画で何かを説明する動画を作成する人が重宝したのが、「棒読みちゃん」や「Softalk」といったフリーのツールで、これらはAquesTalkという音声ライブラリを使用している。
「ゆっくりしていってね!!!」の絵を使った「説明動画」で耳にした事のある人も多い筈だ。



 プログラム批評の中で書いたら怒られそうだし、しかし自分用メモとしては記しておきたいというのが今回のエントリである。

「ベースマガジン」5月号が発売になった。
 私のインタヴュウ頁があるのだが、流石に恥ずかしい……。

Yukkuri

   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''>   ゆっくりしていってね!!!   <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ     __   _____   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__    ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
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コメント

すでにご存知かもしれませんが、宇都宮泰氏のツイッターで出色のギミチョコ分析をされています。

下記のまとめはそのほんの一部です。
http://togetter.com/li/640117

↑面白かった
ありがとう

上記の宇都宮氏の記事は興味深かったです。
やっぱりゆいもあちゃんの合いの手は重要なんですね。たまにすうちゃんだけでいいんじゃないかという意見が見受けられますが、やっぱりあの合いの手はBABYMETALの世界観を形作るうえで不可欠ですよね。
一方ですうちゃんの歌に関しては、フラットにずれるとか、補正が入っているとか、あまり評価が高くないですね。あれだけハードなダンスをしながら歌ってるのですし、ライブでも実績をあげていると思うのですが。
しかしユーチューブ等に公開されているビデオは非公式も含めてアミューズのコントロール下にあり、全て補正が入ってるというのは本当なんですかね。もし本当ならスゴい作業量で、自分には空想っぽく思えたのですが。

すみません、自分は見落としていたのですが上記宇都宮氏のTogetterのコメント欄に続きが記されてました。Su-Metalのボーカルに対する評価もその後上がっているようで、好意的なツイートを多数されています。

SUのボーカル、YUI&MOAのダンスとスクリームの他、コバメタルの企画、ミキコメタルの指導が揃わなければ、あの化学変化は起きないのでしょう。Good Girlもとてもよい曲で私は気に入りましたが、ギミチョコのような化学変化には到っていないですね。どれ一つも欠けてはいけない要素なんだと思います。

私も初めてギミチョコMVを見た時、3時間以上にわたり再生するのを止められませんでした。

YOUTUBERS REACTでも最終全員が陥落したこのMVの秘密を誰かに解き明かして欲しいと思うのです

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