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2015年6月

2015年6月29日 (月)

しばらくお待ちください

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 長く更新出来ずにいた。

 仕事もだが諸々があって、更新復帰にはもう少し日数が必要なので、もう暫しお待ち戴きたい。  

2015年6月23日 (火)

Bed Detective

 前回のエントリに色々ご意見を戴いた。
 テンション低いまま書いたので、みっともないタイプミスがあるのだが、もうこれは己の恥としてそのままにしておく。

 私がBABYMETALの現場に何がなんでも行きたいと思わないのは、専ら私自身の肉体の問題であり、年齢の問題ではない。
 一年の内、体調があんまりよくない日と、もの凄く悪い日しかないのだ。

 このブログに「真実に迫る」意図は当初からない。
 一般的に批評という行為そのものも、基本的には「書き手にとっての真実」を書くものであり、客観的な真実に至るものではない。

 増して本ブログのプログラム論考は独善的な見方であり、全ての人に共感して貰えるとは到底思わず、一種のネタ(=芸)として楽しんで貰うサブテクスト以上のものではない事は、ここまで読んで戴いた人には理解して戴いていると思う。

 このブログは、発表された音源、映像作品、そしてファンカム動画をリソースとしてプログラムを論考し、(予定では)2015年春時点までにBABYMETALが提起した様々な事象や問題を総論的に検討し、ブログをリアルタイムで書いている最中に起こった出来事は記録として記述しておく――、そういう方針で始め、今もそのつもりでいる。いつ終われるのかはまだ自分でも判らないが。

 こういうスタンスでBABYMETAL現象を観察するという事が、ライヴは実際に行かないとならないと思う人と価値観が相容れない事は理解している。
 どちらがBABYMETALそのものに近いかと言えば自明だし、それはわきまえているつもりだ。

 それでも、こうしたアプローチで論考する事にも価値はあるのだと思っている。
 今論考を書いている『ギミチョコ!!』も、カット割りの比較的優れたMVであっても、振付けの全てを見せている訳では無い。
 ジャンプの場面はファンカムを見なければ判らなかった。
『Road of Resistance』も、振付けの全容が判ったのは今年のワールドツアー前半のファンカムを見てからだった。

 本ブログは、ミステリで言えば「安楽椅子探偵」ジャンルだと捉えて戴ければ幸いだ。

 何も主義主張で現場に行かないと考えている訳ではなく、Zeppツアーには応募するつもりではいるが、あるサイトの予想では抽選倍率15倍だという。この数字に妥当性があるかどうかはさておき、余程の幸運が必要である事は間違いない。

 BABYMETALは日本国内でも更に大きな存在になっていく事に疑いはない。すると、私の様な楽しみ方を余儀なくされる人は増える事にもなるだろう。
「BABYMETALの楽しみ方」にも、多様性はあっていい筈である。

 ライヴに実際行った方のご報告はいつも楽しみに読ませて戴いている。


 この際なので、幕張で発表された新曲についても触れておこう。
 ネットでも(例によって)賛否両論ではあるが、どちらかと言えば「賛」が目立つ。
 SU-METALは、これまでの曲にない新たな歌の表情作りをしている様に聞こえる。
 類い希な言葉発声の明瞭さによって、既にネットでは聞き書きした歌詞も出回っているが、突き詰めたナンセンス・ソングである様だ。
 ビートがスカなのも意表を突いていて面白いが、オケは殆ど聴き取れない。
 ひたすらSU-METALの歌声に聴き入ってしまう内に中毒となった。



2015年6月22日 (月)

幕張メッセ公演

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 記録の為の記述。
 昨日BABYMETALは、幕張メッセに25000人を集めてライヴを開催した。
 途中三度の短い紙芝居があるだけで、16曲ほぼノンストップでパフォーマンスした。
 音源未発表の『あわだまフィーバー』(タイトルはこれが正式と確認された)の他に、全く新しい歌が披露された。

 そして、9月からはWorld Tour 2015 in Japanと称した、日本各地のZeppを巡るツアーを発表した。
 12月には横浜アリーナ2日間のライヴも発表された。

 更に1月の新春キツネ祭りのライヴ映像がBlu-ray化され、ファンクラブ限定で発売される。


 私はライヴの時間帯は所用でオフライン環境にいたのだが、帰ってネットに上がっていたものを見ると、やはり私にはとても無理な過酷さだと思った。
 物販に何時間も並ぶなど、10年前の体力でも無理だったなとも。うお

 しかしZeppでは2階席も用意される様なので、抽選に当たる気は全くしないのだが、応募だけはしておこうと思う。

 
 余談ながら、幕張メッセが竣工する前、NHK関連会社の孫請けで、幕張メッセのプロモーション・ビデオというものを演出した経験があった。
 今からすると相当に稚拙なCGなども使ったものだ。

2015年6月19日 (金)

『ギミチョコ!!』考 4

 楽曲についての論考からすっかりと間が空いてしまって、なんとも情けない事になってしまった。
『ギミチョコ!!』について、あとは振付けとライヴでのパフォーマンスに触れたら完結出来るのだが、取り敢えずは冒頭部から。


 BABYMETALのプログラムは、大きな変更が途中で加えられる事はあまり無いが、ディテイルや表現では少しずつ変化があり、それらは概ねが進化したものだ。
 2012年までの子どもの体格だったYUIMETAL+MOAMETALには、MIKIKO-METALによって「子どもの体重だから可能な」身の軽さ、俊敏さを前提にした振付けがなされていた。
 以前書いた様に年齢相応に成長した彼女達が、当初と同じ振付けをこなすのは想像以上に困難がある筈である。
 成長をするにつれ、振付けが無難になっていく事も必然なのだが、実際に成長によって変えられたのは、『ヘドバンギャー!!』での2回目のSU-METALのシャウトで後方に吹っ飛ぶアクションが、ツツツと後退する様になった事くらしか見当たらない。
『メギツネ』など、体躯の小さな頃に振付けされた同じパフォーマンスを、現在の体格差の少ない三人が演じると、もう見栄えも迫力も圧倒的に異なるものになっている。
 そもそもしかし、小さな時に出来ていた事自体にも改めて感嘆するのだが。

 ユニット発足時から三人の体格差は近くなっている。
 振付けもそれを踏まえて、かつて無い様なモーションも導入された。
『ギミチョコ!!』は2013年中盤以降に作られたプログラムである。

 このプログラムの始まりは、三人が斜め前方を向いて直立するポジションとなる。
 Aラインの衣装と、背筋を伸ばした三人の姿勢を美しく見せる。

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 シンセのSEが立ち上がると、三人は右掌を耳に当てよく聞こう(=観客によく聞いて欲しい)というポーズをとる(この時、MOAMETALは一人だけニヤリと笑う)が――、『Give Me Chocolate』というタイトルコールと共にそのまま身体を前方に倒していく。

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 Michael Jacksonの「Smooth Criminal」に於けるパフォーマンス「Zero Gravity」の引用だが、マイケル(とダンサー)の場合は靴の踵にフックの仕掛けがあり、かつMVではワイヤーも併用していたのだ。
 三人は何のギミックもなく倒れかかろうとするので、冒頭からドキっとさせられる。
 しかしギターのリフが鳴る曲頭になるや、片足をがっしりと踏みだし、全力で片腕を振り回し始める。THE WHOのピート・タウンゼンドのギター・プレイを想起させるが、4拍目から一度反動させてから左右にグラインドしつつ正面に向くや一斉に跳躍する。
 ノーカウントで始まるこのプログラムを、最も驚きを以て見せる導入シークェンスである。

 BABYMETALの振付けには多くの「跳躍」が盛り込まれている。
 この事のみに於いても、BABYMETALのパフォーマンスはアイドルでもポップでもなく、当然ながらメタルでもないオリジナルな表現だ。これについてはまた稿を改める。

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 ここまでだけで、実にドラマティックであり、一瞬にしてロックの激しさに畳み込む視覚的な構成が見事である。

 ギターリフのビートの中で、三人はグラインドしながら上手側からタムタム・ロール(8分刻み)の様に叩き回して、ドアを激しくバンバンと叩く。
 音源にもライヴ演奏にも無い、振付けだけで表現されているパーカッション的なフィルインであるが、「ドアを叩く」という振りは「心の中の何かを主張したい」という情動が込められている。

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 シンセのヴァンプが始まると、腕を伸ばしながら仰け反る動作となる。
 前方に向き直った三人は、指をぐるぐると回しながら上体を回す。
 混乱している様を表わしているが、基本的に無表情(MOAMETALだけはニヤリと笑っている)。自分自身が混乱している様を客観視しているかの様な表現だと思う。
 この楽曲のBPM220で踊る事は普通に考えても難しい、というよりも、そんなテンポの曲でダンスを踊る事自体が常識外だ。
 MIKIKO-METALは一拍毎2ストロークで正確にリズムを体現させている。
 両足を開いて前傾態勢の三人が、激しくも正確に身体でビートを刻んでいく様は、「ただごとではない何かが始まっている」のだと認知される。

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 次第に開いていた両脚が閉じられていき、モーションが上半身から頭部の上下シェイクに変移していく。SU-METALのポニーテール、YUIMETAL+MOAMETALのツイン・テールが計算された様に美しく跳ねる。

 次第にSU-METALは動きを緩め、三人のシンクロが、SU-METALとYUIMETAL+MOAMETALという対の関係にシフトする。
 SU-METALは無表情に腕を振り、それに追随する様にYUIMETAL+MOAMETALが大きくグラインドする。
 まるで猛獣使いが二頭を意のままに操っている様なアクションだ。
 YUIMETALとMOAMETALは何かを覗いているかの様なポーズなのだが、SU-METALの腕は二人を引っかき回すかの様に大きな動きだ。しかも二人のモーションは漫然としたリピートではなく、ギターのシンコペーションにきっちり合せているのだ。

「ベースマガジン」2015年5月号に掲載された私へのインタヴュウ記事で、私は本ブログを立ち上げた理由を幾つか述べている。その内にの一つが、
「ゆいもあのダンスは、ギターの高速リフに匹敵する事をやっているのではないか。勿論ダンスは音にはなっていないのだけれど」という認識だった。

 この考えは今も尚変わらない。
 BABYMETALにとっては音源だけでなく、ダンスという視覚要素がプログラムを構成していて不可分だ。
 ここまでの相乗効果を生み出した音楽アーティストを、私は他に想起する事が出来ない。

 無論、60年代からGenesisやPink Floydなど、シアトリカルな舞台を導入するアーティストはいたし、ヴィジュアル・イメエジを押し出すのは現代では必須の手法だ。
 しかしBABYMETALのプログラムはそれらから完全に独立している。

 これは以前にも指摘したが、単に音楽に合わせて身体を動かしているのではないのだ。音を聴いて反応するのではなく、モーションと拍の関係は基本的に前ノリなので、音楽を牽引しているかの様に見える。
 更に一つのプログラム中には、最も印象的になキー・モーションが幾つも盛り込まれており、一回見ただけで把握は困難である。

 そして、BABYMETALが何より凄いのは、この振付けなのに生で歌っているところに他ならないのだが、本稿の主題はあくまでダンス・ルーティン。
 特に『ギミチョコ!!』イントロ部の振付けを、私は「リフ」なのだと見ている。
 左右のギターが異なるビートで刻むシンプルな「音のリフ」に、更に三人のダンスがリフで拮抗させている。


 と、イントロだけでこれだけ書いてしまった。
 この項まだ続く……。


2015年6月16日 (火)

Metal Hammer "Breakthrough Award"

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 BABYMETALは期待された通り、Metal Hammer誌からBreakthrough Awardを受賞した。
 この賞の趣旨は「ブレイクスルーした」事の評価ではなく、「ブレイクスルーを期待する」賞である様だ。
 だとすれば、BABYMETALの獲得は誰しも(ヘイターは除く)納得のいく受賞だと思う。

 ハーマン・リは「自分達が"Road of Resistance"をライヴでプレイするのは最初で最後になるだろう」と発言していた。
 DragonforceとBABYMETALは、『Road of Resistance』と、そして再び『ギミチョコ!!』をパフォーマンスした。

 ハプニング的に突如巻き起こった嵐の様だったDOWNLOAD Fesとは違い、授賞式でのパフォーマンスは冒頭に紙芝居(イントロ映像)が上映され、たった10分という持ち時間の中でも「最初で最後の」特別なライヴを、全力でパフォーマンスしきった。
 いずれ綺麗な画音質のプロショットが見られる事を願う。
 ファンカムを見る限り、今度はMRもきちんと流された様だし、3人のマイクもちゃんと生きていた。

 Dragonforceはイギリスのバンドだが、ヴォーカル以外のメンバーは全員出身国が異なるユニークなバンドだ。ベースはフランス、ドラムはイタリア、キーボードのヴァジーム・プルジャノフはウクライナ出身。
 プルジャノフもショルダー・キーボードを抱え、ドラム以外全員がBABYMETALと横並びになってのプレイは実に壮観だった。

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 最大級ロック雑誌Kerrang!の賞、そしてメタル専門最大手誌であるMetal Hammerの賞を立て続けに受賞した事が、BABYMETALを取り巻く状況にどう変化をもたらすのか、楽しみでならない。
 イギリス国内では授賞式後、GoogleのトレンドにBABYMETALが入っていた様だ。

 式の進行はAnthraxのスコット・イアンが行った。
 3人が壇上に姿を現すと、まるで親戚の姪が来たかの様に優しい顔になっていたが、BABYMETALは既にチェキを撮っている仲なのに、楽屋に挨拶に行って自己紹介をしたら「は? 去年4月に会ってるだろ? Anvilかと思ったぜ」というよく判らないジョークを発した。
 あと、彼女達は『モスラの歌』をカヴァーしなさいという、これまたよく判らない事も。いや、判らないでもないのだが。
 土俗的な崇拝儀礼を司るBABYMETALは、確かに小美人的ではある。

 ブライアン・メイとのチェキも撮ったBABYMETALは、やっと久しぶりに帰国の途に就く。

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 Metal HammerのFacebookには、ずっとヘイターの書き込みが続いていたのだが、授賞式にもそうした輩はいて、BABYMETALのステージに紙コップが幾度か投げられた。

 イギリスのメイトが、投げた人物(酔っていたらしいが)に「BABYMETALが嫌いなら後ろへ下がればいい。女の子に害なすのはやめろ」と告げてくれた様で有り難かった。

 また、YUIMETALの足元に転がったものをフォトグラファーが取り去ると、彼女は「Thank you.」と声を掛けたという。
 さくら学院時代から、ステージ上でのアクシデントは多種多様に経験してきている彼女達は、ステージ・パフォーマーとしては既に中堅以上かもしれない。
 しかし、彼女達はやはりまだ少女達なのだ。
 願わくば、愉しい思い出だけを記憶に残して欲しいものだ。




BABYMETALは9'00"辺りから。









ところで、MOAMETALはまたもやらかした模様。
http://i.imgur.com/xg0Muaw.gif

http://i.imgur.com/Ue32dES.jpg

2015年6月13日 (土)

眠れないんだけど!(泣)

 いえ、私には深刻な睡眠障害があるので……。

 しかしそんな事などはどうでもよく、BABYMETALがDOWNLOAD Festivalに姿を現し、Dragonforceのステージにサプライズ出演して『ギミチョコ!!』を歌った。
 リアルタイムなコメントは、前記事のコメント欄に多く書き込んで貰っている。感謝。

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 記録の為に記しておく。

 DOWNLOADはメタルのフェスとしては最大規模で、BABYMETALの出演を希望する声が多かったのだが、プロモーターは当初にべもなく否定していた。しかし次第に「来年までBABYMETALがいたらあるかもね」的な事を言い出し、ファンは「そんなら出るかボケ」という対立を生み出していた。

 昨日「Kerrang! Awards 2015」へ電撃的に姿を現したBABYMETALが、もしやDOWNLOADにも出るのでは、という希望的観測をする人は少数に過ぎなかった。
 ところが……、

 プロモーターが「今、何故かBABYMETALがバックステージにいるんだけど」というツィートを流してからが大変だった。
 怒濤の「記念写真」(ネットでは「ズッ友/チェキ」などと呼ばれる)が恐らく20枚以上は撮られてはTwitter, Instagramに放出され始める。
 あまり大物はおらず、皆向こうの方から「撮って」と来たのだと思う。一様にキツネサインをしている。

 プロモーターKerrang!が「BABYMETALとDragonforceが真面目にミーティングしている」というツィートをすると、共演が予告されているMetal Hammerが「何!?}とリプライ。
 もう完全に仕組まれていたのだw

 Dragonforceは第三ステージで30分程の出番であったが、第三ステージと言っても広大な複合テントで、それをはみ出す観客が詰め掛けた。さすがはイギリスのフェスだ。

 想定外な『ギミチョコ!!』だったが、恐らくMetal Hammer Awardsの為のリハーサルはしていた筈だ。
 しかし音源の演奏に参加した『Road of Resistance』ならまだしも、『ギミチョコ!!』はDragonforceのプレイ・スタイルとは全く異なる楽曲。
 BABYMETALは他のバンドで歌うという事は殆ど経験が無い(日比谷野音のイベントと、JAM ProjectにSU-METALがゲスト参加した時と、2014年2月に台湾でChthoniCと対バンライヴをした時のアンコールくらいか)

 しかし不安よりも圧倒的に期待が勝った。
 冒頭のSE再生から若干もたついたものの、その後は殆どMRは聞こえず(レベルを下げられたと思う)、完全にバンドサウンドのみであった。
 それなのに、BABYMETALの三人は見事だった。本当に惜しまれるのだが、MOAMETALのマイクが上がっておらず声が聞こえなかったが、観客煽りのパフォーマンスはいつもにも増した熱演だったと思う。

 結果、DOWNLOAD公式のデイリー写真サイトに最大サイズで載っているのはMOAMETALである(更新時の表示)。
 この頁には多くの他のDragonforce+BABYMETALの写真が見られる。コメント欄で教えて戴いた。感謝。

 SU-METALの声の抜け方はやはり凄い。いや凄いという表現はあまり使いたくないが、ヴォーカルのサウンドチェックもろくに出来ていないだろう中で(これ故にMOAMETALは……)、SU-METALの澄んだ声が場内を貫いている。

 Dragonforceは6弦のオーソドックスなギターなので、当然ながら神バンドとは異なるサウンドであり、グルーヴを生み出していた。
 ハーマン・リ(ネットでは“イケメン”と呼ばれて親しまれている)のソロは気合いが入っていた。『Catch Me』に於ける藤岡幹大の変態さに迫り、勢いでは勝るもので、らしさを堪能させてくれた。

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 プロモーターは「BABYMETALはノーギャラで出た」とうそぶいているが、BABYMETALにとっても、DOWNLOADにとっても、極めて宣伝効果のあるサプライズを仕掛けた事になる。

 ここは何よりしかし、BABYMETALを快く誘ってくれたDragonforceに、ファンとして最大限に感謝をしたい。



Dragonforce intro for BABYMETAL @ Download 2015 投稿者 TheThrawn



尚、ファンクラブ限定ライヴの抽選は全て漏れた……。

【追記】

 色々誤謬を書いてしまい恐縮する。コメントでご指摘いただいた方々に感謝。

 DOWNLOADでDragonforceとBABYMETALが『ギミチョコ!!』を披露した事について、トラック・メイカーのTAKESHI UEDAが、Twitterでコメントを述べていた。
https://twitter.com/_aaequal/status/610091936939032576

2015年6月12日 (金)

KERRANG! AWARDS 2015

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 イギリスの代表的ロック誌「Kerrang!」が主宰するKerrang! Awards 2015で、BABYMETALが"The Spirit of Independence Award"という賞を授与された。

 16日のMetal Hammer Awardsでは、パフォーマンスをする事が予告されており、受賞があるのではないかと思われてきたが、Kerrang!は一般投票のノミネートから漏れており、授賞式が始まってもファンはあまり関心を向けていなかったので、これは相当にサプライズだった。
 BABYMETALはKerrang!の賞を授与される最初の日本人アーティストともなる。

 昨年夏にMetal Hammerが開催したHeavy Metal World CupでBABYMETALはチャンピオンとなったが、これは各国1バンドずつが〈選出〉され、ネットの投票で決まるものだった。BABYMETALは国内外を問わずネット投票には極めて強い。サッカーのワールドカップに引っ掛けたネタ賞であっても、BABYMETALの受賞には波紋が起こった。

 今回の賞は「Kerrang!」のスタッフによる選出であり、賞の意図は「独立性の精神」が評価されたものだ。過去にはNapalm Death, The Prodigyらが受賞しており、2009年のThe Wildheartsが受賞して以来6年ぶりにこの賞がBABYMETALに与えられた。

 この賞の名称には色々と含みが読み取れるが、やはりユニークさが評価されたのだろうと思う。
 ただ、企画としてのみユニークであってもこの結果を得る事は出来ない。
 何よりも、過酷なメタルのステージで、命を削るようなパフォーマンスをしてきている三人が、企画(ネタ)をネタで終わらせずに本質を生み出したのだ。
 それが正当に評価されたのだと思う。

 

 YouTubeで実施されたストリーミング中継は、BABYMETALが登場する前にダウンしてしまい、ちゃんと映像で様子を見る事は出来ていないが、SU-METALはまた英語でスピーチをした様だ。
 写真で見ても、BABYMETAL三人の場違い感はいつもにも増して振り切れている。
 そして、実は緊張しているのかもしれないのだが、三人はいつもの様にニコニコしていて嬉しそうだ。

2015年6月10日 (水)

世界征服

 このブログは2015ワールドツアーが始まる前までに、発表されたBABYMETALのプログラムを論考し終える予定で始めたものだった。
 その後に、BABYMETALを巡る諸問題について、その時点までの一つの考えを示したいと考えていた。
「BABYMETALと日本語問題」「BABYMETALの"LEGEND"とは何か」「何故BABYMETALは中高年の支持をも得られたのか」等についてで、当然ながら簡単に答えが出るものではないのだが、自分なりの考えをまとめたいと思っていた。
 しかしプログラム論考は簡単に書き飛ばせない。『ギミチョコ!!』は、論考を書き始めた時点でのYouTube視聴回数は2500万回だったのだが、ワールドツアー開始後に加速がついて、2800万回ももうすぐ越えてしまう。

 なので、少しずつ総論的な事柄にも手をつけていこうと思う。
 やはりワールドツアーが一段落した今はこの事について、考えてしまうからだ。
 ――BABYMETALにとって「世界征服」とは何か。

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 BABYMETALが自身の目標として「世界征服」というタームを掲げたのは2013年の正月だった。
 誰がどう見ても、この時点ではネタ=冗談だとしか受け取れなかった筈だし、少なくとも三人すらそう思っていたと思う。
 しかしこの年、怒濤の如く国内フェスの大きなステージに出演し、ワンマン・ライヴで経験値を上げると、2014年春には武道館2日間という普通のアイドルにとっての「ゴール」へあまりに早く到達する事が見えてしまった。
 武道館の後にレディ・ガガのサポート・アクト、ワールド・ツアーとなるのは自然な流れでもあった。
 都市部で中規模なハコを埋めてライヴが盛り上がるという事は、「世界に進出して価値を問う」という試みと見れば、これまで多くの日本人アーティストが挑戦してきたテーマであり、手法であった。しかし、そこから先に進めた存在はこれまでに無かった。

 やはり昨年のSonisphereフェスは大きな転換点になったのだと思う。
 メタル専門のフェス、メイン・ステージの昼間。直前まで全く人がいなかったステージ前に、5万人以上もの観客を集め、終わるまでにはほぼ全員を魅了したのだ。
 規模は小さいが、同じ様な事が再びウィーンでも起こっていた。


 Sonisphere後、ロンドンで凱旋公演を行った際には5000人規模の大ホールに熱狂的なファンを集めた。イギリスに於けるBABYMETALの存在感が高まった事が、極めて実感的に判った。

 そして2015年、BABYMETALは1stアルバムを欧米圏で正式に発売し、疾風の様に中北米、欧州を駆け巡った。
 単なる一時的な企画物、ギミック売りであるなら絶対に採らない手法であり、正攻法に近いやり方を、愚直とさえ思える程に採っている。

 こうなると「世界征服」という目標はあながち冗談ではなくなりつつあると考えても無理はなくなってきた。

 ところが現在BABYMETALは、私が知る限りだが「世界征服」というスローガンは掲げることを止めている。
 私がBABYMETALに帰依する契機となった、昨年12月20日放送のNHKの番組は、放送直前になって放送タイトルが変更された。
 事前に告知されていたタイトルは「BABYMETAL 世界征服計画~LIVE in LONDON~」というものだった。
 しかし実際に放送されたタイトルは「BABYMETAL現象~世界が熱狂する理由~」であった。

 変更理由は間違いなく、対テロ戦争を想起させるかもしれないというNHK側の懸念だろう。
 そして恐らく、この事からBABYMETALがそのスローガンを広言する事を回避しているのだと思う。

 ティーンの女の子三人がメインのプロジェクトで、世界征服がネタである事を疑い、不遜だと思う人はまずいまいが、しかしそうした気遣いをしなければならない程、今の世界は不寛容になってきているのも事実だ。

 ただ私自身も、『Road of Resistance』発表時以来にBABYMETALが紙芝居で掲げるターム「THE ONE」(『RoR』は当初そういう曲名だとも誤解された)には、僅かに引っかかるものを感じていた。
 現在のBABYMETALのファンクラブの名前でもある「THE ONE」は、対立を止めて人々を一つにする、という意味合いで用いられている。BABYMETALがその導き手となるのだと。

 しかし、世界が一つになるという理想観は現在では危うい。
 グローバリズムという概念が主に途上国にて、どれだけ負の側面を露わにしたか、我々は既に知ってきている。
 歴史を振り返っても、政治的、宗教的に「統一」を図ろうとした試みは何れも瓦解した。

 そうした抑圧的なものでなくとも、コスモポリタリズムという思想は前世紀初頭には広まり、エスペラント語という世界共通語も生み出したが、普及はしないままとなっている。

 そうした現実の上で、BABYMETALがまとめようとする「THE ONE」とは一体どういう概念なのだろうか。
 私にはこの事がずっと引っかかってきていたが、「こうだろう」と自己内で無理矢理納得する事は避け、この事は棚上げ(アウフ・へーベン)にしてきていた。

 ところで、「ONE」という言葉はBABYMETALの通例からすれば、必然的にイメージ・ソースはMetallicaが最初にビルボード・チャートに上がった(と言っても35位まで)曲タイトルから来ていると考えるのが自然だ。
 ただ、この「ONE」は安易に茶化せる曲ではない。
 ハリウッドを席巻した赤狩りで追放された“ハリウッド10”の一人、ダルトン・トランボが復帰して撮った映画『ジョニーは戦場に行った』(1971)にインスパイアされて作られた曲なのだ。
 当時ヘヴィ・ローテーションで放送されたMVは映画のクリップを多数使用していた。
 この楽曲に於ける「ONE」は、絶対的な孤独状態にある視点の事を表わす。

 当然ながら「THE ONE」にそうした引用元の意味は無いだろう。
「ONE」が収録されたアルバムは「...And Justice for All」であり、この頃のMetallicaのステージ美術をBABYMETALは引用している。

「ONE」の在り様は、先に述べた様にメタル・フィールドからコモンな一般商業音楽に進出せしめたマイルストーンであり、BABYMETALが次に目指す(だろうと思われる)、多くの広い層にも支持を得る様なベクトルに、精神的なアイコンとしてこの言葉が選ばれた、というのはまあ、こじつけに過ぎるとは自分でも思う。
 ただ、そうでも解釈しないと、「ONE」をリアルタイムで聴いた身としては、「THE ONE」という名称に些かの引っかかりを感じずにはおれなかったのだ。

 今も尚、BABYMETALはメタル・シーンの中でも毀誉褒貶が激しい。
 ただ、徐々にだが、ヘイターの勢いは減少している様ではある。
 しかし今になって尚、Limp Bizkitが許容出来ないメタルファンは多い。NuMetalそのものも、ラップ的な要素が僅かにでもあれば拒否反応が今尚ある。
 殊更にメタル・エリートは、「メタルと名乗る資格」に厳格であり、言ってしまえば狭量だ。
 そうした中で、BABYMETALが全てのメタルファンに存在を認めさせる事など、まず現実的には有り得ない事である。

 しかし一方で、これという新しい勢いを得られなかったメタル・シーンに於いて、BABYMETALの登場は「事件」であるという意味で全面的に支持するMetal Hammer誌がいる。

 認めない人々がいる中で、BABYMETALは「BABYMETAL」(=Kawaii Metal)というサブジャンルを既に確立してしまっている事は断言して良い。
 MVを見ても尚、ただのギミック・バンドだと思える人であっても、フェスでライヴ演奏を見て聴くと、宗旨替えする人が多い筈だ。
 BABYMETALのResistanceは、大規模な予算を掛けて既成事実を作るのとは真逆の、こつこつと、何処であれどういう状況であれ、持てるポテンシャルを最大限にライヴで演じる事だけでしか実現しないのだろう。
 それはどう見ても正しいのだが、BABYMETALがSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALという三人の少女の存在有りきのものだ。
 そもそも高校生がフルタイムのロードには出られない。
 そして、いずれは終わる時が来る。

 BABYMETALの時限性は、プロジェクト発足後は常につきまとってきた。
 SU-METALがさくら学院を卒業する時、先ず大きな分岐を迎えた。
 結果としてBABYMETALは存続してきている。最近はそうした煽りをしなくなったが、紙芝居では常にユニットの終了をちらつかせていた。
 この事はいずれ「LEGEND」考として再検討するつもりだ。

 欧州のディストリビュータとなったearmusicは、BABYMETALにかなりの期待を掛けている様に見受けられる。ドイツ国内では相当枚数のポスターを展開し、インタヴュウやレヴュウも多く仕掛けたと思われる。
 BABYMETALのResistanceが、これによって加速する事を期待したい。

 世界が等しく、BABYMETALを好きになる事は想像出来ない。
 しかし、世界に今より少しでも寛容さが生まれるなら、BABYMETALというメタルが好きかどうかはともかくも、確かにジャンルとして存在出来るし、ずっと多くの人達が、「自分が好きな物はこうでなくてはならない」といった条件外にあるBABYMETALを、好きにならざるを得なくなるだろう。


 征服すべきは「不寛容さ」なのだ、と個人的には思う。互いの違いを認める。それは全てに於いて。世界の為に。

2015年6月 7日 (日)

ヨーロッパ・ラウンド完遂

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 オーストリアのロック・フェスにBABYMETALが出演した。
 直前までは本当に疎らにしかいなかったのに、開始直前になって続々と集り相当数を埋めた。
 やはりシンガロングにはあまり乗ってこないが、曲終わりの声援は大きく、『Road of Resistance』では大きな(動きは緩やかな)サークルモッシュも発生した。
 BABYMETALの2015年前半のWorld Tour、ヨーロッパ・ラウンドを無事にやりきった事になる。

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¶5/30 ドイツ ROCKAVARIA

¶5/31 ドイツROCK IM REVIER

¶6/01 フランス ストラスブール

¶6/03 スイス チューリッヒ X-TRA

¶6/05 イタリア ボローニャ Estragon Club

¶6/06 オーストリア ROCK IN VIENNA


 中北米ラウンドとは随分と様相が異なっていたが、どの会場であってもBABYMETALは全力を尽し、会場に来た観衆の期待以上の印象を残した筈だ。

 ドイツから始まったこの一週間はあまりにも濃密に過ぎるものだったろう。
 5月6月のワールドツアーの場所日時が発表された時、すぐさま各会場のキャパシティが調べられたが、意外に小さな会場が多かった事には率直に驚いた。
 また、巡る国の首都、都会ではない地域が選ばれていたのも意外だった。
 週末のフェスとフェスの間、ウィークデイは一日置きに国を移動しながら、小振りなハコでワンマン・ギグを開催というスケジュールは、今のBABYMETALにしか出来ない興行だろう。
 誰しも知るスターならそんなツアーはやりたくとも無理だし、全く知名度も期待もされないアーティストではそもそも集客が全く出来まい。

 1stアルバムの欧米圏発売に合せたプロモーションが最大の趣旨ではあったろう。当然なのだが、発売するやすぐさま一般チャートの上位を得る様な売れ方はまだしていない。
 メタル・クラスタへの認知度は相当に上がっていても、商業音楽全体で見ればまだまだBABYMETALはマイナーな存在だ。

 ウィークデイに1国1会場で1000人内外の観客を集めたのだ。これが芽となって今後どういう展開をするのか、想像するだに愉しみである。

 今回のツアーがどういう意図で組まれたのかは、現在の我々には知る由もないのだが、BABYMETALが何を得たかは想像出来る部分もある。

† フェス参加経験値

 本格的なフェス参加は既に2013年からしているBABYMETALだが、海外の大規模フェスで得られるものは極めて大きい事は推察出来る。
 今回もドイツのフェスでは、Limp Bizkitのライヴをステージ脇で見ていた様だ。ヘッドライナーには如何なるものが求められるのか、何に観客は昂奮するのか。それをリアルに体験しているのだ。
 ステージ・パフォーマーの修行として、これより効果のある事柄はまず無い筈だ。

† 高耐性の獲得

 かなりの寒さだったドイツの野外フェス、エアコンが無かった(らしい)イタリアのホール、34度まで上がっていたというROCK IN VIENNAと、過酷な条件が多かった一週間。普通に考えて体調を崩してもおかしくないし、そうだったかもしれない(公表される事は今後もあるまい)。
 しかし観客の前では全て、完璧なパフォーマンスをやり通した。これは何よりも大きな成果だと思うし、とてつもない経験値が得られただろう。
 YUIMETAL+MOAMETALのシンクロナイゼーションはかつて無い程に高い水準で維持されており、SU-METALも(少し表情に疲れが見える写真も見たが)、歌に関しては抜群の安定度を維持していた。『紅月』や『メギツネ』も、もう何の不安もなく歌いこなしているし、『ド・キ・ド・キ☆モーニング』などの「可愛い」歌声は昨年よりも、もっと前の少女期に戻った様な声で歌っている。
 勝手な想像に過ぎないが、このツアーでは過酷な条件である事を鑑みてペースを堅実に守った為に、少し前までにあった「力み」が自然に抜けたのではないか、と思っている。

† バンド感の向上

 神バンドは、今年に入ってからこのツアーまでメンバーが固定化された。大村孝佳、藤岡幹大、BOH、青山英樹(+マニュピレータ)。
 私はLeda、前田遊野のプレイが個人的には大好きであるが、ツアーでずっと行動を共にするメンバーとなると固定化が望ましいとも思う。
“バンド”はやはり結束が無ければ、バンド・サウンドにならない。
 私はBABYMETALは神バンドも込みで、バンドであると主張しているのだが、そのバンド感は一層高まった様に感じる。
 MOAMETALが神バンドに仕掛けるステージ上での悪戯も、同じバンドという結束感があればこそ可能なものだ。これは彼女なりの「アイコンタクト」と同質なコミュニケーションなのだと思っている。

 他にも、最後の挨拶は各国語で行う様になった事で、英語圏に留まらない国際感覚も(如何せん滞在時間は短いものの)得られただろうし、一方で自分達のパフォーマンスが、どの国の観客であっても同じ様に熱狂させ得る実感は得られただろう。
『Road of Resistance』の反応は各国共にとても良く、これにも大きな成果が得られたと思う。パワー(草)メタルの持つ普遍性は侮るべきでは無い事を再確認した。
 フェスではこれに続けて『ギミチョコ!!』という必勝パターンが確立する。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』で、ダメジャンプを飛ぶ前に、観客がしゃがみ込んでからの一斉ジャンプという新しい観客の愉しみも見出された。





 しかしBABYMETALにとっては未だ、今年度の予定の第一部をこなしたに過ぎない。
 15日には再びイギリスでMetal Hammer授賞式ライヴにDragonforceと共に出演し、21日には幕張メッセがある。


 

 再びバタバタしており、なかなか更新出来なかった。
『おねだり大作戦』のサビ直前のYUIMETALの爆発的演技がMOAMETALを凌ぐ凄まじさになっている事を書こうと思っていたら、既にBABYMETAL板で書かれてしまったし……。



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