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2015年10月

2015年10月23日 (金)

前田遊野のドラムセミナー

――のレポートがイケベのブログに上がっている。
 ここで行われたクリニックのレポでは珍しく(初めてかもしれない)、動画までアップされている。 画面は小さいがかなりドラミングを堪能出来る。

『前田遊野ドラムセミナー』 イベント・レポート!   

2015年10月22日 (木)

「キツネ祭り」CDのサウンド

 ライヴCD「LEGEND "2015" ~新春キツネ祭り~」が発売された。
「LIVE IN LONDON」同様、同一のソースだろうと思っていたが、CDのマスタリングは少し違っていた。
 ソース自体は同じでも更にコンプレッサーで音圧を上げられていた。

 Blu-ray版の音声トラック。
Ssabd


 CDはこうなっている。
Ssacd

 限界まで音が詰められているが、これは和洋問わずこの十数年、音楽業界の傾向である。
 Blu-rayとCDの差異自体は微少だが、Blu-rayよりもCDはドラムが少し後退し、SU-METALのヴォーカルが若干聞こえよくなっている(気がする程度だが)。

 観客の声はよく拾われているが、場内で聞える筈のSU-METALの声、ギターの響きは皆無で極めてドライな音だ。
 やはりギターの左右の定位は不自然だし、空間系のエフェクトもモノラルの様だ。
 ライヴ感が感じられる「LIVE IN LONDON」の方が私の好みである。


 検証エントリのコメントで、メトロック、LOUD PARK13の放送は良かったと書かれた方々がいる。

 LOUD PARK 13
Loudpark13

 WOWOWなのでやはりゲインは低いが、バランスは良い。

 Metrock 2015
Metrock

 M-ONの放送。これもローがきちんと出ている様だ。
 ゲインはWOWOWよりも大きい。というかこの方が普通。
 それにしても、今年のプロショットはこれまでのところ、Metrockがベストだと個人的には思っている。



 私事だけれど、転居をするのでバタバタしている。更新は少し休みを戴く。










2015年10月18日 (日)

WOWOW「巨大天下一メタル武道会」放送

Wowowoa

 文句ばかりを言っていたSSAライヴ放送だけれど、途中でぶち切られるまでは本当に見入っていた。それだけ集中して観ていたからこその、中断構成に対して湧いた怒りだった。

 今回の幕張ライヴ放送は、30分までは集中して放送したし、選曲もSSAではオミットされたものをチョイスするという心配りも感じられた(新曲系はやはりオミットされている)。
 途中のダイジェストも、今年のワールドツアーを巡る公式MADの様な編集で、これはこれで興味深く観られた。Reading+Leedsは本当に全部観客が埋まっている事を確認出来たし。
 Kerrang、Metal Hammerの受賞場面、DragonForceとのライヴも、TBSで流れたものよりも長く『ギミチョコ!!』が観られたのは良かった。

 ライヴ自体の感想はまた改めるが、音質についてはWOWOW固有の低ゲインである事を除けば概ねSSAよりはバランスが良かったと思う。まだちゃんと検証していない印象だが。
 幕張メッセ展示ホールという、本来ライヴなどやるべきではない会場であるので、エア(マイク録音の会場内音)はほぼ絞られており、ライン・オンリーに近いミックスだったから、その意味ではライヴ性について音では犠牲となっている。
『ギミチョコ!!』のCall & Responseや『RoR』シンガロングではディレイを調整されていたが、他の観客の声は半テンポ遅れている。
 この会場でFOHはどこに設置されていたのかと思う。ステージから果てしなく遠かったのだろう。

 撮影、編集も多々の不満点は残るが、この会場ではほぼ最善は尽されていたとは思う。
 どうしたってこのレイアウトではメインのキーフレームたるべきポジションにキャメラは置けず、SU-METALの目線は常にそっぽを向いていた。

 BABYMETALのライヴの音について私は数々の不満を述べてきたけれど、最もストレスを感じているのは照明である。
 これについてはいずれ吐き出したいと思っているのだが、薄暗いSSAよりはまだマシではあるものの、全体には苛立つほど薄暗く、テレビで放送出来るレヴェルに無く、ラティチュードはプロの映像と言えない程浅い。こうならざるを得ない理由は実は明確に有る事が判っている。
 あれだけ頑張っている三人が気の毒でならない。


 冒頭に記した事柄に戻るが、SSAのオープニング演出は音響や照明の瑕疵を相殺するまでは行かなくとも、かなり見事なものだっと思っている。
 Rock In Viennaの精緻にして巨大なスクリーンに比べると、相当に見劣る解像度ではあったSSAでのバック・スクリーンだが、オープニングの赤い棺桶が三つ降りてくる映像は十二分に使命を果たしたと言えよう。
 トリック自体は誰でもすぐに判るものだが、用意された映像とライヴのシームレスな演出は期待感を高める。
 棺桶が着地するまではCGで表現され、照明のトリックで棺桶のフレームの中にいる三人をそれぞれ紹介する段取りも、三人までなら単純に繰り返しでも効果的だ(これ以上の人数なら演出を変える必要があるが)。

 

 これに比べると、幕張のオープニングは相当に残念なものだ。
 赤いピラミッドが一瞬で消失する演出はPerfumeの公演から流用されている。いや舞台装置の流用自体を咎めるつもりはない。せり出しリフトなどはそうそう使う機会もないだろうし。
 ただ、布製の構造物をワイヤーで消すトリックをやるにしても、色違いなだけで同じ形状では、手抜きの誹りは免れまい。
 幕張の公演はやたらにピラミッド、三角を強調されていて、ステージも照明のフレームも三角。三角形のパズルまでグッズで売っていたが、あまり有機的な意味合いは産み出せず、興行側の自己満足でしかなかった。

 既に横浜アリーナ公演の演出プランは進められているだろうが、私が求めたいのは唯一、SSAよりも高精度な大画面スクリーン。それに尽きる。
 ライヴで映像を見る事には以前は抵抗感があったが、三人の表情が見られる事の方が遥かに重要なのだ。
 照明は三人の顔を暗くする様な邪魔をしてくれるなとだけ、今は言いたい。

2015年10月17日 (土)

ライヴの音を解析する

 今回のエントリは、「LIVE IN LONDON」の音像検証用にとっておいたデータ、WOWOW放送の「LEGEND 2015 新春キツネ祭り」(以下SSA)とBlu-rayとの比較データなのだが、本文はレヴュウに徹したので独立させることにしたものだ。
 画像が多く重くて恐縮だ。

 まず参考として、Perfumeの「LEVEL3」DVD版の波形を見て戴こう。
 音楽的には全く異なるサウンドではあるが、ゲインも周波数特性も申し分無い。

Level3

 地上波放送はラウドネス運用規程が2012年から実施され、どの放送であっても本編・CMの音量は聴感上一定に保たれる様になっている。BSデジタルも同様である筈なのだが、WOWOWのライヴ放送は相当に低いゲインに絞られている。
 NHK BSの「東京JAZZ」の方がまだしもゲインは高い。

 掲げる画像は全て『ギミチョコ!!』の部分であり、周波数分布アナライズの図形はティピカルな一瞬を捉えたもの。音量の波形図示は、VSTプラグインのホストとしては最も軽いので重宝しているSoundIt!の旧版。

 まずWOWOWの放送
Wowow_ss


 お話にならないくらいゲインが低い。これだけでソースの情報量は相当に失われている。
 ハイエンド、エンドローは無く、喩えて言えば「カマボコの天辺を削った」様な音質だ。
 これについてはBABYMETALが殊更に酷い訳では無い。ONE OK ROCK横アリ公演の放送も同傾向である事を確認した。

 これを簡易に補正したものを一応参考に掲げてみよう。
 音質の補正はイコライザーではなくBBEのプラグイン。昔の音源などぬるい音質のものをいじる時、いつも私はこれを使う。コンプレッションは殆どせずゲインを上げた。

Ss_mod

 そして先般発売されたBlu-rayの音はこうだった。
Ssa_bd

 エンドローはもうちょいあっても良いかもしれないが、決して悪い音では無い。しかし音質だけで言えば「LIVE IN LONDON」の方が好ましい。

 The Forum。
Forumbd

 そしてBrixton。
Brixtonbd


 どちらも「キツネ祭り」BDよりは良好だ。
 これはソースの問題が大きいのだと思う。
 BABYMETALのライヴ音源は基本的にはPA、Front Of Houseで2chにまとめられたものがソースになっていると、私が考えている事は前に述べた。
 ライヴ現場で適切にミックスされている必要があるのだ。

 SSAの問題の一つはYUIMETAL+MOAMETALのレヴェルが小さい。
 そしてソースの段階で、左右のギターのパンポットが極端に振り分けられ過ぎている。

 ステレオ音像の中で、どのポジションからその音が聞こえるのかという設定を「定位」という。
 BABYMETAL+神バンドはギターがステージ両端に並ぶのだから、左100%、右100%にすれば良いかと言えば、そうではない。完全に片側にしか聞こえない音はステレオ音像から逸脱して不自然に聞こえるのだ。
 左だとすれば、左右比を8:2とか7:3にして、右側にも同じ音を低いレヴェルで入れる。
「LIVE IN LONDON」は概ね8:2程度だと思う。ミキサー卓のアナログなパンポットで言えば9時3時くらいだ。
 SSAだと9:1に近い。8時4時。これは音場としては極めて不自然になる。
 ライヴに於ける各楽器の定位は概ね、ベストな位置の観客が聴いているだろうバランスで振られる。ここまでギターが左右に割れているのは、最前にいる場合ならそうなるだろうが、当然実際のライヴ会場でこう聞こえる筈はない。
 こうなっている理由の一つはKEMPERという新しいデヴァイスのPAに於ける扱いにあるのではないか、と訝っている。

 DTM,DAWの作業をした事がある人なら判ると思うが、10:0, 9:1といった割合で左右に音を配置すると、位相が反転した様な違和感を覚えるものだ。
 この性質は逆に、不自然さを強調する手法に用いられる。
 さくら学院の『天使と悪魔』で、「♪ス~テ~レ~オで」というフレーズがあるのだが、オリジナル版は他のパートと差の無い普通のミックスだった。
 しかし2014年度版のそれではこの部分だけ左右に極端に振り分けられている。歌詞を含めた曲想としては、こちらの方が正しいミックスだと言えよう。

 以上から私が言えるのは、SSA=「LEGEND 2015 新春キツネ祭り」は良いバランスでミックスされていなかったという事だ。実際のレヴェルはそうでもないのにギターばかりが浮き上がり、ただでさえ控えめなレヴェルのヴォーカルを一層後退させる音像だ。

 18日には幕張「天下一メタル武道会」のダイジェスト(既に曲目は公表されている。お願いだからサンドイッチ構成にだけはしないで欲しい)が放送される。
 先行してネット配信された『ギミチョコ!!』の音声は、ストリーミング映像としては悪く無さそうだった。放送でも改善されている事を望む。



 横アリTHE ONE抽選に漏れた方には同情申し上げる。
 OzzFestにせよ、行けば感想は上げるつもりだけれど、物販の列に並ぶ余力はまず無いので、その辺りについては当てにしないで戴きたい。

2015年10月16日 (金)

「Birdland」16 Beat Live Version

Theone

 横浜アリーナの抽選は、第一希望の日曜のシートに当選した。
 1万2千×2日なのだから、今回はほぼ当選するだろうと思っていたのだが、二日とも落選した人が案外と多い。やはりピットは希望者が多いのだろう。
 THE ONEに入会してから5回目にして初めて当選したが、これでもラッキーな方なのかもしれない。
 ああしかしZeppの2階から観たかった。


 

 さて今日はこんなものが発売になるという報に接した。

ウェザー・リポートの未発表ライヴ音源集『The Legendary Live Tapes 1978-1981』が日本でも発売に

 このプロモ映像にはピーター・アースキン、ウェイン・ショーターの他にロバート・トゥルヒーヨ(鶴次郎/Metallica)、フリー(レッチリ)の談話も入っている。


 映像の下に聞こえるのは「Birdland」だが、これまでの公式ライヴ盤「8:30」に収録されているシャッフル版ではなく、オリジナル通りの16ビート疾走版だ。
 報道ではTokyoとしか記されていないが、これは中野サンプラザでの公演記録だろう。私はこのライヴに行っていないが、当時FMで放送されたもののカセット・ダビングで聴いていた。
 7,8年前くらいか、ブートレグでこのライヴのCDが売っており、欣喜雀躍した。

 昨年、作家の津原泰水さんらとベース3本(+キーボード+ドラム)という変態編成のバンド「低音倶楽部」を結成しライヴをやったのだが、ドラムに私の成城軽音の先輩、M永さんに土下座をして叩いて貰おうと思い立った。
 M永さんは昔だとパール兄弟、最近は水樹奈々のサポートなどをやっている。
 有り難い事にM永先輩は引き受けてくれた。私はしめしめと、30数年来演りたかった演目を加えた。
 16ビート版「Birdland」である。

 実のところ、この曲のジャコのベースは難しくない。ドラムも大して難しい事はやっていない。
 しかし中野サンプラザでのライヴ版は、延々と16ビートで疾走し、ピーター・アースキンは走りまくった挙げ句にツイン・ペダル連打をやらかしているのだ。
 これはアマチュアには手に余る楽曲だった。
 M永先輩を担ぎ出したから、初めて可能になったのだった。

「8:30」のレイドバックしたシャッフルも決して嫌いではなない。
 しかし私にとって「Birdland」は、最初に接した中野サンプラザ版の存在が絶対的だった。

2015年10月15日 (木)

ギミチョコ!! Call & Response

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 15、16日はZepp Divercityでライヴが行われるが、私は当たらなかった。

 ところで、いつも気になるのが『ギミチョコ!!』のC&Rで、観客の歌のリズムが頭に遅れがちなところ。
「チェケラ・チョコレート・チョコレート・チョ・チョ・チョ」
 こうなる原因の一つは、藤岡幹大が軽めに弾いているコードが食いだったり頭だったりというところにもあるのではないか。
 全部食いで弾いて、ついでに青山英樹がスプラッシュで軽く叩くとか。

 いやもう行けないライヴがあると、ついついつまらない事を考えてしまうだけなのだが。


2015年10月13日 (火)

丑刻ニ参ル

「ヘリウム声問題」への関心の高さは、前エントリのコメント数でも明らかだ。
 無論個人差もあるだろうが、私はPA出音のミッドハイ~ハイ帯域の飽和が原因の一つなのかなと想像しているばかりだ。

 本ブログの主題とは異なるし、コメント欄ではお互いの見解を認識し合う以上の事は出来ないが、概ね冷静なコメントだった事に感謝をしたい。





 ここからは告知。
 ホラー映画ファンの人がこのブログを見ているかは判らないのだけれど――、

 11月14日よりユナイテッド・シネマ豊洲のレイトで公開が始まる
丑刻ニ参ル

Main_480

 川松尚良監督は、清水崇監督作品で助監督を務めつつ、自主製作で商業クォリティの「葬儀人 アンダーテイカー」を作り上げてDVD化されている。
 今回の映画は、タイトル通り「呪詛」が主題となったホラー映画。
 清水崇監督から「観て欲しい」と言われたのだけれど、これまでのJホラー的なアプローチとは異なり、ドラマに重心を置いていて新鮮だった。
 興味を持たれた方は是非。

2015年10月11日 (日)

「ヘリウム声」について

 コメント欄でライヴに於けるSU-METALの声の聞こえ具合について報告される方が多い。
 ライヴに行っていない私がこれについて何か言える事は無いが、Zeppツアーの掉尾が近づいている事もあり、意見交換の場として実験的にこのエントリを上げる。

 概ねインターネットのコミュケーションは長文を嫌う傾向があるが、ご承知の様に私の記事は自分でも呆れる程長い。
 コメント欄の文字数制限があるかどうか、私もよく判っていないのだが、本ブログのコメント欄は長文を書かれても全く問題が無いという点では、全く意図していなかった事だけれど、コミュニケーションの場としては珍しい独自性のある場となっているかもしれない。

 この問題についてのコメントは、なるべく本記事にぶら下げて戴きたいが、今後のエントリで、主題とは違うコメントを書き込まれる事自体は、これまで通り何ら問題はない。

 ある程度まとまって読める方が後々良いと思う故の措置なので、どうか理性的に意見を交換し合って戴ければ幸いだ。



 

 各地にあるZeppは基本的に、同じ様なレイアウトでありPAシステム、照明システムも共通化されているらしい。多くのアーティストが各地のZeppを巡るのは非常に合理的なのだ。
 各地を回って台場でZeppツアーは終わるが、これまでに積み上げた経験値から、PAの出音はベターになっている事を望みたい。

2015年10月 9日 (金)

CD 「LIVE IN LONDON」

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 映像作品「LIVE IN LONDON」のTHE ONE限定セット「BABYMETAL WORLD TOUR 2014 APOCALYPSE」に同梱されていたライヴCDのレヴュウをしておこうと思う。
 クレジットには明記されていないのだが、本作のサウンド・エンジニアとしてイェンス・ボグレンとチュー・マッドセンが担当しているとアナウンスがあった。

 イェンス・ボグレンはスウェーデンのプロデューサー/ミックス・エンジニア。DIR EN GREYなど日本人アーティストのミックスも行っている。

 チュー・マドセンはデンマークのエンジニア。彼はONE OK ROCKのミックスも行っている。
 二人とも北欧のみならず、メタルの「今」のサウンドを作り出している存在だ。

 21日に発売される「LEGEND "2015" ~新春キツネ祭り~」ライヴCDは、マドセンのみが担当したとアナウンスされている。後述の様に、既に発売されたBlu-rayの音声トラックもそうだと見なせる。


「LIVE IN LONDON」Blu-rayに収録されている音声トラックとCDは、断言は出来ないがゲインやビット数、ビットレートが違うだけで同一のソースだと思う。
 双方の音声をWAV化して比較した。

 CD-DAの規格は700MiBが上限であり、85~90分のライヴを全て収めるには2枚組にならざるを得ない(武道館公演は曲がオミットされて一枚収録だった)。
 それでも音楽を「聴く」には、音楽メディアで聴きたいという奇特なファン(私)には有り難い。

 The Forum、O2 Academy Brixtonというキャパシティの異なる2会場のライヴ音源は、同じエンジニアが手掛けているにも関わらず、相当に異なる音像となっている。
 どちらが良い悪いという事ではないし、個人的嗜好としてもどちらかに軍配を上げる事は出来ない。
 また、似通ったセットリストではあるが、そのパフォーマンスにも当然ながら相違点がある。神バンドのメンバーが一部異なるし、2014年7月のロンドンと、11月に凱旋してより大きな会場にスイッチされた時では、三人の心象も異なっていただろう。


 私が映像現場にいたのは90年代初頭までであり、ハイビジョンがアナログの時代は中継車でディレクター業務をした事もあるが、昨今のライヴ・レコーディング事情は全く知らない。
 DAWが普及した今であれば、ライヴに於けるチャンネル回線数だけマルチ・トラックに収録するものだと漠然と思っていた(不可能ではない筈だがインターフェイスは大変な事になる)。
 しかしこのライヴCDを注意深く聴いていると、どうやらそうではないらしい事が判った。
 あくまで類推しているだけなので、大恥をかく事を覚悟した上で書いてみよう。


 ライヴCDのソースは、ラインで2chステレオにまとめられたもの+エア(マイク収録の場内音)が基本であり、独立して調整可能な音源はあったとしてもキック、スネア程度であるらしい。
 マルチ・チャンネルをリミックスする事は不可能である様だ。

 そう考える根拠は、Brixtonでの『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』ダブステップ明けのBメロで、PAオペレータがSU-METALのフェーダーを上げ損なっているのだが、SU-METAL自身がレコーディング時に歌ったハモりのパートの方が大きく聞こえるのだ。これがリカヴァーされないまま商品化された。つまり、後での調整は不可能という事だ。

 ForumではYUIMETAL+MOAMETALの声はよく拾われているが、Brixtonではかなり低い。しかもラインは殆ど入っておらず、PAを介したエアの方がレヴェルとしては大きい。

 エンジニアの二人が手をつけられるのは、ラインとエアのバランスをとり、帯域別の圧縮とイコライジング、最終的なマスタリングに近いものだと思う。
「Red Night」でのテッド・ジェンセンも同様な関わりだった。

「Red Night」のマスタリングは、分解能が高く上品な音で非常に好みであったが、迫力という点(特にエンド・ロー)では確かに少し足らない感じもあった。
「LIVE IN LONDON」はBABYMETALらしい、ソリッドでダイナミック、ぎゅうぎゅうぱんぱんなものに仕上げている。

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† The Forum

 迫力のあるサウンドではあるが、何故かキックのミッドローまで達する倍音が大きい。4つ打ちには良いサウンドかもしれないが、ロックとしては些か厳しい音だ。ベースとも音域が被っている。
 青山英樹のバスドラムがこの時だけノン・ミュートである筈もなく、まるでキックの音をトリガーにして現場で音(シンセドラムの様な)を差し替えているのかとも思ったが(ライヴでの『あわだまフィーバー』のスネアはトリガー出力だと思う)、これは恐らく会場の特性との共鳴関係でこうなったのだろうと想像している。

 Brixtonも傾向は同じだが、ローエンドたっぷり、ハイエンドもまずまずとレンジは広く感じる。
 やはりしかし、ベースのレヴェルが低い。私なら、だがベースのローエンドを削ってでもミッドローを上げる。その帯域はいつもBABYMETALの音像は薄い。ここでベースがもっと聞こえればグルーヴ感が高まるのに。

 SU-METALのヴォーカルはやや引っ込め過ぎではと思えるバランス。
 しかもラインの成分はYUIMETAL+MOAMETALよりも明らかに少なめで、エアの音量が大きい。

 これは以前から感じていた事だが、SU-METALの歌声は間違いなく声量が大きい。それに加えてマイクの使い方はベテラン歌手を凌ぐかもしれないと思っている。
 4歳時からマイクを通して歌う事に慣れており、マイクをどの位置でどの角度に向けると最も自分の声を響かせるのか熟知している。
 さくら学院時代のステージで、中元すず香は一人だけ鼻に近い高さで、更に平行よりも下方に向けてマイクを持っている(流石に近年は位置は下がっているが、依然高めではある)。
 これは多くの人も指摘しているが、彼女は「立ち耳」であり普通の人よりも聴覚が鋭い。これも彼女が天から恵まれた資質である。
 鼻の近くに向けがちなのは、マイクを通した自分の声の響きがその位置で最も良いと感じるからに違いなく、副鼻腔の響きの大きさまで無意識にコントロールしている。
 こればかりはYUIMETALとMOAMETALには流石に勝ち目が無いのも仕方ない(加えてあの玉子ボーロマイクだし)。

 Tokyo Idol Festival 2012でさくら学院が他のアイドルとコラボレーションした「ベリシュビッッ」(今の私の最も好きなさくら学院曲)の動画は、中元すず香の音量が不当にも思える程下げられている。しかしこれは恐らく、会場内ではあれでバランスがとれていたのだと思う。
 それだけ彼女の声は突き抜けて通っていた筈だ。エアのレヴェルが殆ど絞られているので、オンエアではあの音量差になったのだと思う

 この事はライヴ音源でSU-METALのヴォーカルを如何に整音するかの難しさにも繋がる。
 ヴォーカルの聞こえ加減についてはやはり「Red Night」の方が数段に上だった。

 3人のパフォーマンスはこちらの方が安定している。
『悪夢の輪舞曲』まで進むともうSU-METALのヴォーカルは盤石だ。
 BLACK BABYMETALも『おねだり大作戦』では声がちょっとだけ裏返ったりしているが、『4の歌』はド安定。後半のMOAMETALの「3の次はぁ」の大仰な歌い方に口角が上がる。
 この時期SU-METALは太めの発声を心掛けていた時期だったと私は見ており、『メギツネ』はやはりやや辛そうではある。しかしヒリヒリした迫真性は間違いなく出ている。
 ただ、太めの発声は『ド・キ・ド・キ☆モーニング』には合わない。これは圧倒的に今年以降の方が良い。
『ヘドバンギャー!!』の導入部で、ヴィブラートを強めに歌うのは最近の傾向かと思っていたが、既にこのThe Forumでそういう歌い方をしていた。『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』もそうだが、この時期のSU-METALは一曲の中での歌い方の変化は少ない。意図的ではないとは思う。
 クライマックスの『イジメ、ダメ、ゼッタイ』に至ると、ヴォーカル・レヴェルも全く不満がなくなる。妄想だが、機器のセッティングの範疇を超えてSU-METALの声がこちら側にせり出してくるかの様だ。
 Sonisphere Fesの直後であり、BABYMETALと神バンドは自信に溢れていただろう。その勢いで駆け抜けたライヴの記録だった。

Bmlondon2

† O2 Academy Brixton

 キャパシティが倍ほども違う会場での録音であり、音場も広がる。
 ただThe Forumよりも更にドンシャリ感が強まっている。まとまりとしてはこちらの方があるとは言えよう。
 Back To USA/UKと銘打ち、割と短い期間での再演だったこの時、3人がどういう心理状態にあったかは全く判らない。
 少なくとも開演してセットリストがやや進むまで、SU-METALのヴォーカルはやや安定さを欠いていた。
『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』のヴォーカル・レヴェルの件は前記の通り。演者もスタッフも、やや余裕が無い状態だったのかもしれない。
 BLACK BABYMETAL演目でも、MOAMETALは『おねだり大作戦』のダイアローグ「××だ~い好き!」の台詞を、やや押し気味のタイミングで言っているし、2人のヴォーカルをこの録音はあまり良く拾えていない。

 ただ中盤以降の熱の入り方は尋常では無い。The Forumを遥かに凌ぐと言って良い。
 このライヴに於ける『ヘドバンギャー!!』は迫力の点でベスト候補に入るだろう。
 よくBABYMETALをあまりちゃんと聴かないで批判する声に、「メタルの歌い方じゃない。アイドル歌唱だ」という全くナンセンスな事を言う人がいるが、この『ヘドバンギャー!!』を聴かせれば黙るだろう(あ、でも「ヘドバンヘドバンバンバンババン」があるから無理かもしれない……)。
 ドラ叩きセレモニーのあるヴァージョンは武道館以来か。

 そして何と言っても、この時のライヴがBABYMETAL史に刻まれるのは『Road of Resistance』の初披露が為されたステージだった事だ。
 このプログラムについては次に論考するが、一点指摘すると、この初演でのSU-METALは、これを初めて観客の前で歌う昂揚感なのか、アンコール最後の曲だからなのかは判らないが、今の歌い方よりもマニッシュである。
 伸ばした声を切り際にすっと低めるといった歌い方は確かにロック的だ。
 彼女のこうした歌い方が最も顕著だったのはしかし、BABYMETALではなくさくら学院の『My Graduation Toss』の音源版で、恐らく仮歌を歌ったTommyの歌い方を踏襲したのだと思うが、伸ばした声を息と共に吐き出す様なロック歌唱をしていた。
 ただ、こうした歌い方の方向で進むと当然ながら「Kawaii」ものではなく、これまでの日本語ロックの枠内に収まってしまったかもしれない。
 今の様な(というより音源版はそうなのだが)歌い方の『Road of Resistance』が私は好きである。

 これは完全に当てずっぽうに近い考えなのだが、『ギミチョコ!!』音源のギターソロはLedaではないかと思っている。
 Takeshi Uedaの作る曲でメタルな早弾きのソロがある事はあまりないだろうからだ。
 Ledaがライヴでこのソロを弾くと、本物感を感じるのだ。
 勿論、藤岡幹大のソロも別の良さがあるし、今年からは後半のツインのハモりも再現しているのは流石だ。



† まとめ

 時折BABYMETALのライヴ音声は後で修正されている、という言説を見るのだが、私は懐疑的だった。もしあったとしても最小限だろうと。

「LIVE IN LONDON」CDはファンクラブ限定の高額なセットにしか収録されていないが、一般販売されているBlu-rayと同じソースである事は記した。
 SU-METALのヴォーカルがやや不安定な部分も糊塗される事はなく、神バンドも全くミスをしていない訳では無い。それをそのままさらけ出している。後修正は皆無なのだ。

 私の様な意地の悪い聴き方でもしない限り、1stアルバムとクォリティに於いて何ら遜色無いどころか、ライヴの熱量も加わって一層音楽として魅力的に聞こえる。

 ノンギミック、ガチなBABYMETALのリアルなドキュメンタリとして「LIVE IN LONDON」の価値はとても高いものである。



※本稿執筆時、まだ映像を通しては観ていない。

2015年10月 7日 (水)

『4の歌』考 3

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† 振付けパフォーマンス

 論考後半は振付けとライヴ・パフォーマンスについてを記す。
 先ず指摘しておきたいのは、このプログラムはBLACK BABYMETALが実際に生で歌う前提で作られたプログラムだという事実だ。
『おねだり大作戦』は披露初期にはリップシンクで演じられていたが、1stアルバム発表時は既に生歌で演じていた。
 では『おねだり』よりも『4の歌』の振付けが平易になっているかと言えば、まるで逆なのだ。
 現在はBABYMETALがそうしたパフォーマンスをする事にはもうファンは驚かなくなっていたが、このプログラムのタフさは慣れた今でも瞠目させられる。

 彼女達が実際に最もヘヴィなプログラムだと実感しているのは『BABYMETAL DEATH』なのだという。これは意外だった。確かにジャンプをしている時間帯は多いだろう。
 これは全くの推測に過ぎないのだけれど、彼女達がこのプログラムをヘヴィだと感じるのは、逆説的だがこのプログラムがセットリストでは唯一、リップシンク曲だからではないか。ほぼインストゥルメンタルで、自分達の名前を言う僅かにしか存在しない声を出すパートも、ライヴではプリ・レコーディング(MR)が使用されている。
 声を出す箇所が無いとなれば、彼女達は全身全霊でダンス・パフォーマンスをするしかないのだ。歌う箇所があれば若干の加減を無意識に制御出来るが、ダンス〈だけ〉のプログラムでは100%以上に演じる、それ故の疲労ではないかと思っている。


 ライヴ・ヴァージョンでは、前項までに記した通り、「Si,Si,SiSiSi」というホワイトノイズにも似た音〈だけ〉が抽出されたエクステンデッド・イントロがつく。
 昨年のフォーラムでは暗転した舞台中央まで、二人は普通に歩いて登場したが、ブリクストンではステージ中央の階段を降りてくる。

 プログラムの導入部は『おねだり大作戦』のアティテュードを引き継いでいる印象だ。
 二人は不敵な感じでポーズをとる。
 しかし「Si Si SiSiSi」リフに入ると瞬間的に豹変する。
 ニコニコしながら「Si Si SiSiSi」に合わせて踊り始めるのだが、ここが先ず凄まじい。
 「しーっ」のポーズで拍毎に身体を曲げながら(つまり往復で8分の刻みをしている)、2小節目3拍目裏「よんよん!」でポーズを決める。
 恐らくこのパートは無酸素域での運動だろう。生歌で「よんよん!」と歌う直前にブレスが入るだけだ。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のAメロ頭で猛烈に頭を振る箇所も無酸素域運動で、あそこはキツいだろうと思う。有酸素域と無酸素域が交錯する運動として、フィギュア・スケート競技はやはりBABYMETALプログラムと共通性を見出せる。
 BLACK BABYMETALの二人はこのプログラムの大部分を満面の笑顔で演じきる。

 過日、元水泳シンクロ選手だった双子の女性がバラエティに出演した際、ホステスのマツコ・デラックスに「シンクロ選手はどうして笑顔で泳ぐか判りますか?」という大上段からの質問をする場面があった。
 マツコはフィギュア同様(伊藤みどりファン)、シンクロも好きで普通の人よりは知悉しており、あっさりと正解を答えた。
 その答えは「水の中でとてつもなく辛い事をやっているから」だった。



 Aメロパートでは割と歌を歌う事に配慮された振付けとなっている。
 バッキングはドライヴの効いたシンコペーションのリフであるが、二人は前後に並んで小刻みな足踏みをして踊る。

1の次は2 

 そう歌うMOAMETALは、音源同様に「歌のおねえさん」らしく、御丁寧に指をきちんと歌詞に合わせて折る。
 すかさず「へへーい」と後方にいるYUIMETALが腕を上げる。
「3の次は」と言いながら二人はフォーメーションを横に展開。

ウーッ4! Four!

 腕をぐるぐる回しながら強烈にアフタービートに乗ったグラインドをしつつ、「ウーッ」で体勢を斜にして――、
「Four!」後方から腕を前に出そうという振りは、音からしてもピンクレディーの「UFO」が来るか、と思いきやそのまま動きは止らず、「ウォンテッド」だった。
 裏拍で大きく揺れながらすぐさま「Si,Si,SiSiSi」を繰り返す。

 ここまでだけでも動きの要素はあまりに多い。
 そして二人は同じ事を繰り返していない。
 MOAMETALが前に出る時、YUIMETALは「2」「4」とサインを明示する。
 しかしYUIMETALが前の時、MOAMETALは拳を振って横から顔を出したり、大きく伸びて「4」を出す。
「1の次は2」のMOAMETALは、単に「1」「2」と出すだけではなく掌を横に振ったりするし、YUIMETALは「次は」の時丁寧に下方向を示すサインを挟む。

 幾度も差し挟まれる「Si,Si,SiSiSi」は、二人が左右入れ替わったり、向きを片方が変えたりと極めて複雑なフォーメーションを変化させつつ展開される。しかも「よんよん!」は交互なのだ。
 珍しくシカゴではMOAMETALがポジションを間違える場面があったが、殆どのライヴでは完璧に遂行されている。

 

 サビ部は流石に運動量は少し減る。ポージングのキメをモーションで繋いでいく構成である。

幸せの4 死ぬじゃない4

「死ぬじゃないし4」は「何言ってんの」といったポーズ。

失敗の4 よろしくの4

「失敗の4」では二人が二本ずつ、系4本を提示しながら「やっちゃった、む~」的なポーズ。

 

 さてここでは、あるネットユーザが最初に発見し拡散した画像を引用させて貰わなければならない。


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 この画像の初出がTwitterなのか2ちゃんねるなのかは全く判らないが、ほぼ同時に流通した。
 彼女達のポーズに「4」の形、及び指の本数で表わされていると知った時は心底驚いた。


 2ちゃんねるにBABYMETAL板が出来た時は、本家.netからおーぷんや.scが分離したり、やたらにサーバーダウンする事が多い時期だった。ブラウザに広告表示のAPIを義務づけたりといった運営で、多くのユーザが離れたと思う。
 今は私も多くの板やスレッドを見る時間がとれなくなっているのだが、BABYMETAL板が出来た頃はなかなか興味深いスレッドがあって面白かった。
「BABYMETALの振付けやダンスを語るスレ」というのが出来た時は「待ってました」と思った。
 初期にはダンス経験者の人がふらりと来て、「彼女達のダンスはとても高度な事をしている」という興味深い書き込みをしていった。

 そのスレッドだったと思うのだが、この画像が貼られて暫くしてから、「メギツネも同じ様な部分があるよね」
 という書き込みをした人がいた。


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 これにも感嘆した。「女」の文字が見える。




幸せの4 死ぬじゃない4
ビタミンの4 喜びの4 !

「死ぬじゃない4」では「違う違う」と手を振る。
「ビタミンの4」は「C」の文字表現。
「喜びの4,4,444」
 は一拍、半拍と交互に指を突き出す。


 

 ブレイク・ダウン、二人はお立ち台に立って可能な限り最大限の前屈からのヘドバンをする。

 BABYMETALのマスコミ対応に於ける「お辞儀」の深さは、いつも話題になる。
 これはさくら学院由来だとか、アクターズスクール広島(含むPerfume)由来とも言われるが、それにしても群を抜いた深さ(約105度)であると思う。
 これも『BABYMETAL DEATH』やこのプログラムでこうした運動を常日頃からしている彼女達の体幹ならではだろうと思う。個人的には、これも実は彼女達の「相手を驚かせる」遊びの気分が含まれている気がする。

 表情を消し、悪魔儀式かの様なヘドバンをしていた二人は、スクラッチ的ノイズと共に次のパートに入る。
 この時、やはりYUIMETALは律儀に「びよよん」的な痙攣を伴う脱力をたった最後の1拍の中で演じる。『ド・キ・ド・キ☆モーニング』の「失神」直前の動作と同様に。

 レゲエパートはひたすら笑顔。
「よいしょー」で全身を傾がせるのだが、2015シーズンではお立ち台から落ちんばかりに傾けるようになった。

Rooms5p

「よっこらしょ」の後のギャグ音に合わせ、ここは二人とも痙攣動作をして再びヘドバン運動に入る。

「Si,Si,SiSiSi」ともう一回Aメロを演じた後、武道館や大きな会場では「よんよん!」煽りのCall & Response(と言えるのか)のエクステンドがある。
 ステージや出島へ二人は走り、観客に「よんよん!」と叫ばせるのだ。
 こればかりは在宅の身としてはそれほど面白みの無いコーナーではあるのだが、会場にいたら違うのだろうなぁと想像するばかりだ。

 ライヴハウスでは「Si,Si,SiSiSi」を倍繰り返してサビに入るが、流石に二人の息は切れかかっており、ここのサビを歌うのは流石にキツそうだ。

 

 しかしこれで終わりでは無い。
 原曲に入っているアウトロ部、彼女達自身の笑い声がエコーを効かせて聞えるが、これもそのままMRで流されている。
 すると二人はお腹を叩きながら舞台の上手下手へと入れ替わり立ち替わる。『BABYMETAL DEATH』のトランス的なパニック演技に少し近い。

 この部分の演出イメージ・ソースはもしかしたら、「8時だヨ!全員集合」前半コント終了時の場面転換「盆回り」かもしれない。
 この曲に合わせてコント出演者があわあわと動きながら、憮然となっているいかりや長介を置いて毎週捌けていったのだ。

 しかしBLACK BABYMETALの二人はまたも律儀に「Si,Si,SiSiSi」をきっちりやって――
「よんよん!」でポーズを決め、このプログラムは終わる。



† ライヴアレンジ

 CD音源の演奏は、殆ど打ち込み感を感じさせないリアルなバンド・サウンドに仕上げられている。
 CD音源と神バンドのライヴ演奏とは概ね差異は少ないのだが(それ自体が驚異ではある)、『4の歌』に関しては若干の差異が見られる。

 まず大村孝佳は6連フレーズを弾く時、音源以上にフランジャーを強めに掛けている。

 2014のワールドツアー前半からか、青山英樹は2番のAメロ・パート終わりにトリッキーなフィルを入れる様になる(以降はほぼ必ず)。

 O2 Academy Brixtonで、左チャンネルの藤岡幹大Ledaがエンディング間際にリフのフレーズを3度、オクターヴと音程を上げている。私が知る限りこの様なギターアレンジはこの時のみ。面白いと思うのだが。


† 終わりに

 BABYMETALのプログラムは、新曲になればなるほど振付けが大変になっている。そう彼女達自身がラジオで述べていた。
 比較的後に作られた『4の歌』も、その後のプログラムに比べたら楽な方なのかもしれないが、それにしても相当な運動量だ。
 ヴォーカルを担うSU-METALを含め、BABYMETALが一回のライヴで消費する熱量はそれぞれ5000kcalを越えるかもしれない。
 武道館ではしかも、『おねだり大作戦』とこのプログラムは連続して演じられたのだから驚異である。

 大会場に於ける「よんよん!」煽りは、これだけハードなプログラムを演じるBLACK BABYMETALにとっての対価報酬なのだろう。
 私が会場に行けた折りには、己の歳を考えずに「よんよん!」と叫びたいと思う(体力が保っていればだが……)。

 この項終わり。


2015年10月 6日 (火)

『4の歌』考 2

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 前項の記述で、リフの「Si,Si,SiSiSi」という音は人工的な音だとみなしていた。
 こう考えた一つの要因は、BLACK BABYMETALの二人がこの振りの時、「しーっ」というポーズはするものの、口を開いていない事にもあった(ライヴのエクステンドなイントロでは「しー」という口になっている)

 しかし前項のコメント欄で指摘があったのだが、ある映像でクリアな「Si,Si,SiSiSi」を聞く事が可能であり、その音声では紛れもなくブレス(息継ぎ)の音が聞こえる。
 その映像を私も見てはいたが、注意力が足らなかったと反省している。

 その映像とは、昨年ロンドンのフォーラムに於けるリハーサルを撮った映像であり、あまり言及をする事は憚られるものだった(リンクも前項コメント欄にある)。
「ベビメ大陸」(内容については検索されたい)は、新たなファンが見たいと望むのが自然な価値ある映像だが、リハーサル(のカメラテスト)は、どういう経緯で流出したのかは判らないが、私が認識していたのはロシアのvk(ファンのフォーラム)から拡散したという事だけだった。
 私服姿の三人の映像は、言わばデーモン閣下のすっぴん、もとい「世を忍ぶ仮の姿」を晒す様なものであり、BABYMETALが見せたいものではない筈なので、なるべく「見ないふりをする」スタンスでいた。

「Si,Si,SiSiSi」のみの音はCD音源にはなくライヴ版でしか聴かれないものだが、『4の歌』のライヴ・パフォーマンスはオフィシャルなものでもファンカムであっても、「Si,Si,SiSiSi」が始まればすかさず観客は「よんよん!」と叫ぶ決まりになっており(フォーラムですらすぐにその声が上がっていて感心する)、ブレスの音は絶対に聞こえないのだ。

 リハーサル映像流出の是非はさておき、一つ明らかになった事は事実であり、それに目を背ける訳にはいかない。
「Si,Si,SiSiSi」は、BLACK BABYMETALの二人にとってヴォーカルという認識では録らなかったかもしれない。しかし間違いなく二人が発した音が用いられているだろう。
 ブレスは完全に反復しており、一回分をサンプリングして延ばしている様だ。



 前項のコメント欄では、「合の手」の概念についての話題も上がった。
 合の手そのものが日本の古典文化に源を見出せるのかどうかについて、私は確かな見地を持たない。
 BABYMETAL楽曲に共有されている、コンセプチュアルな特色である「合の手」がどういう効果、或いは価値観をもたらしたかについて、私はこう考えている。

『4の歌』のメロディには隙間が多い。
 Aメロでは歌詞には記載されていないが、「へへーい!」という合の手が入る(殺人的だ)。
 サビでも「幸せの4 死ぬじゃない4」と歌った後、バッキングにはない8分の符割で「うんうん」と頷く仕種がある。
 この事が『4の歌』を紛れもなくロックにしているのだ。

 以前本ブログの雑話エントリで、8ビートをコードストロークしながら歌う多くの日本のロック系Jpopを、私はロックと認め難いという趣旨を書いたのもこの事に関連する。

 JPopの多くは端的に言ってメロディ・ラインが過剰であり、詰め過ぎなのだ。

 海外のロック楽曲は、「作曲」と「アレンジ」が一体で作られるのが普通だ。編曲という語を持ち出す場合は、既存曲に変化をつける場合の概念である。

 ロックであればリフが先ず有って、メロディはそのリフを牽引する、もしくは隙間を縫う。
 これによって曲としてのグルーヴが生まれる。逆に言えば、べったりメロディが続く楽曲でグルーヴを生み出す事は極めて困難である。
 JPopに限らずJRockの大多数も「こうやって作るでしょ普通」というメロディ作成法に盲従していると私には思える。ポスト・ニューミュージックだと私には聞えるのだ。

 一般受けするコード進行には自ずと限界があり(当然だ)、勢い日本のメロディ・メイカーらは転調という本来禁じ手(小手先変更と言って良い)に奔った。

 この私の指摘は極論的暴論だという自覚もあるが、40年剰りずっと抱いてきた日本の商業音楽への不満なので、如何なる反論も受け付けられない事をお断りしておく。
 まあマーティ・フリードマンなら「そこがいいんジャーン」とでも言うであろうが。

 これはロック系に限らない。R&B系、特にソウル、ファンクもそうあるべきなのだ。

 BABYMETALは、YUIMETAL+MOAMETALという二人のポジションから「合の手」を入れる事がルーティンとなっている。つまりそこではメロディに隙間を意図的に生じさせる必要があった。
 副次的に、その隙間はリフやシンコペーションとして機能する。ロックのグルーヴが生まれたのである。

 初期楽曲で最もJRockに近いであろう『イジメ、ダメ、ゼッタイ』からして、Aメロこそメロディは埋まっているが、B,Cメロには隙間があって、YUIMETAL+MOAMETALの合の手と共に、印象的なギターのキメを多種多様に聴く事が出来る。

『ド・キ・ド・キ☆モーニング』などのポップ系楽曲はこの範疇には入らないが、『ヘドバンギャー!!』『Catch Me If You Can』、そして『Road of Resistance』に至るまで、メロディに休符がある曲が圧倒的に多い。私がBABYMETALを紛れもなくロックだと感じるのはこれ故である。
 例外的なものが『メギツネ』だが、こちらは真逆にメロディが極めて微妙な上下動をしつつ、ブレス位置が少ないというエクストリームなもので、精神的にロックであると思える。
『悪夢の輪舞曲』もメロディに休符は少ないが、こちらはポリリズムのジェントなバッキングとヴォーカルが闘争する様な曲であり、ロックだとしか思えない。

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 BABYMETALが今後の音楽性を現状よりロック、メタルに振ろうとはしないだろう。それによって失うものはあまりに大きい。
 今の様なアプローチをしているからこそ、メタルの中でもスピードメタル、Nuメタル、オーセンティックなメタルと節操なく取り込む事が出来るのだ。
 あるサブジャンルのアーティストのCDで、雑多なサウンド・スタイルが入っていたら普通のリスナーは怒るのが自然だ。
 BABYMETALは鵺的なポジションを維持する事で、常に斬新な折衷をしていく事が可能なのだ。
 どこまで計画的だったかは与り知らねど、これは実に冴えたアプローチだったと感服せざるを得ない。
 偽物感はつきまとうかもしれないが、日本の現代音楽史の中で最もロックしているサウンドを獲得したとすら思う。

『4の歌』は、何の野心もない遊びの中から生まれた歌がパッケージングされた。
 隙間恐怖症の職業作家なら「1の次は2」という一小節+一拍のメロは書けないだろう。
 原形の歌がどこまで出来ていたかは判らないが、最大限、原形を尊重して作られたのだと思う。
 Aメロのシンコペーションのギターリフがグルーヴを生み出し、この楽曲を紛れもなくロックと断言出来るものにしている。

【補記】
 本稿の趣旨は、あくまでロック〈系〉楽曲を作るスタンスについてである。
 決して日本音楽業界の編曲という概念を卑下する意図は無い。アイドル歌謡曲などで作家性のあるアレンジをしていた編曲家達を敬服している。
 古くは70年代にも西城秀樹「激しい恋」という見事なブラス・ロックが作られた。

 この項つづく。


2015年10月 1日 (木)

『4の歌』考 1



作詞:BLACK BABYMETAL     作曲:BLACK BABYMETAL
編曲:tatsuo、KxBxMETAL

Oriffffinal

 2014年2月発売の1stアルバムで発表された。
 当時のファンクラブ限定の「BABYMETAL APOCALYPSE LIMITED EDITION」に、別ヴァージョン『4の歌 444 ver.』が収録されている(「メタルじゃなくね」というまたもやの台詞が入っているだけで、私は好きではない)



 YUIMETAL+MOAMETALという二人を指す「BLACK BABYMETAL」が作詞・作曲とクレジットされ、二人で演じるプログラムという特異性から、この曲の成り立ちはネットの多くで既に言及されてきた。
 楽曲の成り立ちについて私独自の観点はほぼ無い事を先にお断りしておく。
 論考の一回目の今回は、情報のまとめとして読んで戴ければ幸いである。


† 歌の成り立ち

 この曲が生まれたのはシンガポールだった。
 BABYMETALはワールド・ツアーを開始する前にはアジア圏へ幾度か遠征しており、シンガポールにも複数回行っている。
 そのどの時なのかは定かではないが、シンガポールのホテルからライヴ会場へ向かう車中の時間が長かった。
 BABYMETALの三人、特にMOAMETALとYUIMETALはその場で即興の歌を作って歌うという遊びをよくやっていた。

 その場で歌を作って歌う?
 松崎しげるや山口智充らがそうした芸をかつてよくやっていたが、小中学生の子にそんな事が可能なのかと、俄には信じられなかった。
 しかし、この動画=「SAKU SAKU」のオマケコーナーを見てどういう感じに作られたか判った。極めて説得力がある動画である。

「あげぱん 冷凍ミカン」の歌


 振付けが『ド・キ・ド・キ☆モーニング』の部分流用なのは目を瞑ろう。
 オンエアでは切れているが、菊地最愛にはまだ「持ち歌」がありそうであった。

 シンガポールの車中では、二人はどんな歌でも作れるという自信があった様で、SU-METALにお題を出させていた。
 この時にSU-METALが出したのが「4。数字の4」だった。
 他に「バナナの歌」とか「木の歌」があった様だが、これらは窓外の風景を想像すれば自然な発想にも思える。
 しかし「4」。そんな歌なんて作れまい、というSU-METALの挑戦心も伺える。

 ともあれこうした成り行きで「4の歌」の原形が出来た。

 東京に帰って暫くして、KOBA-METALが「あの時歌ってたの、もう一回歌って」とハンディ・レコーダーで二人の歌を採録したものが原形である。

 メイン・アレンジャーであるtatsuo (tappun)は元バンドマンだが、ゴールデンボンバーの楽曲を手掛けて名を高めていた。
 同じくBLACK BABYMETALの楽曲『おねだり大作戦』に続いての参加だが、LEGEND 1999ライヴでYUIMETALが歌ったミニモニ。プッチモニ。のカヴァー「ちょこっとLOVE」のメタル・アレンジをしたのがBABYMETALとの最初の関わりの様だ。
 2015年幕張メッセ 天下一メタル武道会では、ショウのラスト・クロージング曲を担当した。ライヴに行ったファンには「ラララ」と呼ばれるその曲(恐らくSU-METALのスキャットがフィーチャーされている)は、プログレ的なギターのアルペジオが美しい曲であり、BABYMETALの新曲にして欲しいと望む人が多い。
 アレンジにはKxBxMETALも併記されているが、多くの人同様私もこれはKOBA-METALの事だと思っている。
 ギターリフにMetallicaの「Master of Puppets」の雰囲気を導入したのは意図的だ。

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† トラックと歌唱

 オリジナル音源版では、いきなり半テンポのブレイクダウンから始まる。
 マイナーのかなり重いトーンで、多弦ベースの低音とギターのワイドストレッチな6連というサウンドは、BLACK BABYMETALの原曲とは最も掛け離れたイントロであろう。

よんよん!

 ダッダッダダダ――と同じ音で繰り返すフレーズは、様々な前例が見出せる。

The Ramones - Do You Remember Rock 'N' Roll Radio?

HANOI ROCKS☆Malibu Beach Nightmare

 あとは

Bay City Rollers - SATURDAY NIGHT

 を想起する人もいただろう。

 このリフに乗せて、「Si-Si-SiSiSi」という音が被る。
 歌詞では「4 4 444」と書かれているものの、これは声ではなくホワイトノイズを短くカット・インアウトして作られていると思う。
「静かに」といった時の「シー」に近い音で、これを「4」と見立てているのだ。

 Aメロのリフは、まさに

Judas Priest - Painkiller

Metallica - Master Of Puppets

 の折衷的なアレンジだ。

 さてここでやっと、BLACK BABYMETALの歌声が聞えてくる。

1の次は2 2の次は3

 先にMOAMETALが1番を歌うのだが、この歌い方が可笑しい。
 まるで幼児番組の「歌のおねえさん」の様な作為的な歌い方をしているのだ。精一杯背伸びをして、小さな子どもに向かってる様だ。

3の次は ウーッ4 !!

 実際には「ウーッ4! Four!」という感じのコーラスが入る。
「Four」は、まあMichael Jacksonが歌の端々でよく入れるアレ「Fow!」由来だろう。

 余談だが、かつてのSoul/R&B(70年代にはBlack Contemporaryと呼んだ)の「濃い」シンガーはこうした独自の「合の手」をよく入れたものだった。
 Michaelは他に「きひーっ」とか、普通の人が真似したら苦笑必至なものが多い。
 Earth, Wind and FireのMaurice Whiteの「ん~にゃおおぅ」などもそうだ。
 ラップ・ミュージックがメイン・ストリームになって以来、こうした伝統が途絶えた事が個人的には哀しい。


 2番のYUIMETALも、MOAMETALの企みを踏襲しようとはしているのだが、声を出す関連についてはMOAMETALがどうしてもYUIMETALよりもリードしてしまう。

 MOAMETALの声質は、SU-METALと同じく若干ハスキーな成分(空気音や倍音を含んだという意味で)があって通りが良い。地声は低めでも、歌う時の甘い声質は高めの周波数にスイートスポットがある様だ。
 YUIMETALの声にはハスキーな成分が殆ど無い。私はあまりYUIMETAL、水野由結のソロ歌唱を多く耳にしていないのだけれど、彼女の様な声質でも「ソロ」として歌うヴォイス・トレーニングをすれば、天性のリズム感で良いシンガーに成り得ると思う。
 さくら学院に転入して以来、声を合わせる機会が誰よりも多かったこの二人が声を揃える時、実に美しい響きになるのだから運命とは面白いものだ。

 さくら学院在籍時の2代目ミニパティは、田口華をセンターに二人が並んだが、この三人の重なった声もまた魅力的であった。重心の低い田口華の声と菊地最愛、水野由結の声で、ミニパティのレパートリーである可愛らしい歌い方をすると実にEar Candyといった響きになるのだ。

 BABYMETALに於いて、BLACK BABYMETALの主な役割は「合の手」なので、SU-METALとBLACK BABYMETALが声を重ねる機会は数少ない。
 しかし『ギミチョコ!!』ライヴ版の終わり近くで聞えるそれは、あまりに強いSU-METALの声が芯となって、エキサイター(倍音を加えるエフェクター)の様な効果が現れて、これもまた魅力的だ。

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 Bメロに相当する部分はなく、ここからサビに直結する。

幸せの4 死ぬじゃない4
失敗の4 よろしくの4

幸せの4 死ぬじゃない4
ビタミンの4 喜びの4 !

 相当に無理のある歌詞だけれど、紛れもなく小中学生時の二人が作ったであろうリアリティに満ちている。

 原盤では無理なく歌えているのだが、ライヴになると振付けの運動量が尋常では無い為に(振付けについては次項に送る)、このサビのメロは彼女達には低すぎる感じを受けていた。
 しかし2015年以降は彼女達の地声も低くなっており、この楽曲に関してはトラック製作時よりも寧ろ歌い易くなっているかもしれない。

 4,4,444 Four!

 ここでブレイクダウンだ。
 イントロとは別の、ヘヴィ・リフであり、曲を聴いているだけでも頭を上下させられそうなリフである。グロウルの低い唸り声も響く。
 ここまではしかし、「BLACK BABYMETAL作のメタルアレンジ」という想定の範疇ではある。

 この後に続くブレイクダウンの展開がレゲエになっているのには、日本よりも海外のリスナーの方が戸惑いと驚きがあった様だ。

 よんよんよよんよん

 レゲエのベースは頭拍を弾かない事が作法となっている。クラシックなレゲエはほぼ必ずそうなっており、この曲もその作法を守っている。
 ギターは割と素直なカッティングをしているだけだが、欲を言わせて貰えば途中でアナログ・ディレイを盛大に掛けた“ダブ”(まさに元祖)をやって欲しいところだ。もう今のライヴで、少しぐらい変な音が変なタイミングで出ても二人には何の影響も無い筈だ。

 去年のロンドンのファンカムで、このパートが始まると観客がゆらゆらしながら緩いモッシュをしている動画があって可笑しかった。
 ピュアなロックファンには歓迎されないだろうが、ライヴでこのレゲエ・パートをもっと延々と続けるのも面白そうだ。モッシュに疲弊した観客には良いクールダウンにもなるだろうし。
 何より、このパートが長かったなら、二人はもっと色々な事を観客に語りかけそうな気がするのだ。

 よっしゃー!
 おいCー!

 如何にリスナーを脱力させるか、という言葉選びのセンスとしてBLACK BABYMETALは希有な才能を持っていると思わざるを得ない。

 アウトロではギターリフが若干変化をつけている。
 そして二人のケラケラと笑う声がエコーを強くして聞えてくる。愉しげではあるが、少し(小)悪魔的な感じも受けないではない。

『4の歌』がメタルの曲に成り得る、という判断の一つの傍証的な根拠に、Slipknotの楽曲「The Heretic Anthem」があったかもしれない。

Slipknot - The Heretic Anthem [live] HD

 ライヴでこの曲を演る前、コリィは
If you're 555, then I'm と問うと観客(maggots)は
666 と叫ぶ決まりになっているのだ。

 666は野獣/アンチクライストを象徴する数字であり、つまりこの曲は「666の歌」なのだ。5の次は6、という。

 明るく楽しい雰囲気の『4の歌』だが、ほんの少しこうしたダークな陰が見えるところが、『おねだり大作戦』と同じくSU-METAL抜きでも、BABYMETALらしさを明確に表現していると言えよう。


 この項つづく。


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