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2016年3月

2016年3月29日 (火)

『METAL RESISTANCE』1st. Impression

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 BABYMETALの2枚目『METAL RESISTANCE』は、4月1日世界同時発売なのだと思い込んでおり、今日が出荷日だというのに油断をしてしまった。
 いや、TowerRecords店舗で初売りイベントがあった事は知っていたのだが、もう今日の昼には聴けるなどと思っていなかったのだ。


 先ずは心の準備として、初回限定盤のDVDを観た。昨年5月のメトロックのフル・ライヴだ。BABYMETALの数あるライヴ映像の中でも、現時点ではこの映像がベストだと思っている。
 だからDVD収録だというのには酷く落胆させられた。再発があるならブルーレイにすべきである(さくら学院はBDをつけたのに……)。

 画素の粗さにうんざりしながら、何か音もドライ過ぎているという印象で見始めた。例によってギターばかりがミッドを支配し、ヴォーカルの芯もベースの音も聞えない、悪いパターンのBABYMETAL音場だ。
 ところがその様な事も忘れる程に、ライヴの様子は素晴らしく収められている。
 紙芝居がカットされているだけで、ほぼリアルタイムでライヴを観られる。昨年のワールド・ツアー中のフェス用セットリストは鬼で、3人にとっても過酷なプログラム『ヘドバンギャー!!』の次には紙芝居を経て『Road of Resistance』となり、普通ならそこで終わっても良いだけのテンションを上げるのに直結で『ギミチョコ!!』が来る。流石にSU-METALはイントロの動きが鈍い。しかし歌い出すとすぐにいつものレヴェルに戻す。
『ヘドバンギャー!!』の辺りで気づいたのだが、この頃になるとヴォーカルの音声もエア分を含んだライヴらしい音になっている。前半はラインのみで息苦しい感じだったが、改善されたのだ。
 そして、観客。もの凄い数の観客が、遥か後方の方でまでサークルを作っている。
 このフェスなら観客の1人になれたかもしれないと思っていたが、これは若者には敵わないと思ってしまった。
 MOAMETALの活き活きとした表情がこれでもかと入っており、それだけの数の観客も自在に対応出来る自信が見て取れる。
 本当に画素数以外では最高なライヴ映像であった。


 さて、私にとって1st『BABYMETAL』のトラックの全てを受け容れ、愉しめるまでには時間がかかった事は本ブログでも記した。ファースト・インプレッションは大事なものだが、それだけに囚われていては本質を得られないのだという事を、歳を重ねている我々は知っている。BABYMETALが国内では、若者よりも先ず大人が熱狂した背景の一つだと思っている。

 BABYMETALの方法論を知悉しており、その概ねを強く肯定している私や多くのファンにとって、2枚目への期待と不安は全く意味が違う筈だ。
 シングルのベスト集+αだった1枚目とは制作姿勢も異なり、想像するだに大きなプレッシャーがあっただろう。

 最初に通して聴いた感想。「君たちどれだけ『かかってこいや』が好きなの……」


『METAL RESISTANCE』は、トラックの順序、間隔も精密に計算された、一つの作品として成立していた。
 初めて耳にした楽曲の概ねは、素晴らしいファースト・インプレッションを得る事が出来た。

 Metal Hammerの各曲プレヴュウを斜め読みして以降、国内外のレコード評は全く目にしない様にしていた(インタヴュウ類もまだ読んでいない)。なので予想通りと予想外を同じ程に抱いた。
 私は先ずオケに耳が行く性質だが、どのトラックも凝り過ぎる程に凝っており、簡単に一聴して消費されるものかという意欲を感じた。
 苦心したトラックメイカー達を率直に称賛したい。

「メタル」な要素がSU-METALが歌うトラックよりも、BLACK BABYMETAL組の方に色濃いというのは全く予想外だった。特にワンノート・サンバならぬワンノート・メタルという非常にユニークな試みの『Sis.Anger』は大好きだ。
 今の私のMost Favoriteは『Tales of The Destitnies』である。プログレの様式――変拍子、変態的ユニゾンとキメ、アナログシンセのソロ――を用いつつ、プログレの様式に収まらないヴォーカル・アレンジが合体して極めて刺激的な楽曲となっており感嘆した。YUIMETAL+MOAMETALの合の手も予定調和的な位置ではなく、これは挑戦していると思う。この曲をライヴで演るなら、神バンドはギャラアップを要求すべき。

 私が首を傾げたままなのは『Amore -蒼星-』だけである。勿論SU-METALの歌のプレゼンテーションとしては最高なのだけれど、うーん。これはロックですらないのではという。でもSU-METALが歌いたいメロディ・ラインに寄せた(為に小節毎にコードがころころ変わる)結果なのだとすれば、無碍に否定してはいけない様な気も……。

 YUIMETAL+MOAMETALがヴォーカリストとして大きくフィーチャーされているのは予想以上であり、これは嬉しかった。ライヴでのハーモニー披露も夢ではないのかもしれない。

 第一印象として、BABYMETALは2枚目で確かに新たな表現へ挑戦しているし、守るべきコンセプト、「アイドルとメタルのハイブリッド(決して融合ではなく併存)」はキープされている(勿論コミック=ネタ性も)。ヴァリエーションは豊かであるのに、バラバラなオムニバス感は無く一貫している。これが達成されただけで充分以上の大成功だと断言出来る。
 終盤曲のフレーズが全く違う曲想のフィナーレ曲に続く流れは見事という他はない。「Abbey Road」のB面メドレー的であり、コンセプト・アルバム性すらも獲得してしまった。


 マスタリングについては、エッジー過ぎないまとめ方がJpop的だと思った。
 最近のライヴ音源も含め、BABYMETALの音については同じ欲求不満を抱く。
 直裁に言えばベースの60hz以下と500hz辺りを上げて欲しい。ギターの500hzは少し削ってでも。金物(シンバル類)もちょっと寂しい。
 唯一無二のSU-METALの声があるのだから、音像はもっとレンジを広げるべきだと思う(勿論、『あわだまフィーバー』の様な楽曲ごとローファイ指向なものは除く)。

 各曲毎には聴き込んだ後に改めて書くかもしれない。



 新木場のライヴは落選した。今年はドームだけになるのか……。

 前エントリについて。
 プロがプロの仕事をした映像作品であるミュージック・ビデオは、近業種の私が詳細な批評する事は避けているので、本ブログで言及を求められても応えられない。
『THE ONE』MV(Official)は、ライヴ映像+音源なので(『ギミチョコ!!』MV同様)、非常に印象が良かったWOWOW放送版に於ける『THE ONE』のフィナーレ映像と音響のライヴ性には全く及ばないものだ。WOWOWを見られない海外ファンには、有効なライヴ情宣ツールにはなると諒解している。

「世界を一つにする」という概念への私の懸念については、このエントリを読んで戴きたい。
 勿論しかし、「音楽と笑顔で世界を一つにする」事が出来たらそれが最高であるのは当然であり人類の夢だ。
 年長者としては、やはり近現代史を顧みるにそう楽観視出来ない前提を知ってしまっているのだ。
 コメント欄でThe Cureのデビュウ曲の例を挙げられた方がいたが、パナマ侵攻以来、メタル・ジャンルが如何に戦争に「活用」されてきたか(創り手の意図に反して)という事もその内述べるかもしれない。

2016年3月28日 (月)

『THE ONE』MV雑感



 WOWOWで横アリのライヴが放送されてすぐに、『THE ONE』の動画が公開された。
 WOWOWの素材をカットアップした編集。音源はスタジオ録音版だとは思うが、そのものでは無い気がする。
『THE ONE』はBABYMETAL史上初めて、フェードアウトで曲が終わるトラックとなる事は予想していたものの、この動画のフェードの絞り方は何か中途半端で、忌憚なく言うと素人臭い処理だ。映像の方もギリまでライヴ映像を使いたかったのかもしれないが、余韻を感じさせないルーズな処理になっている。モンタージュもあまり効果的な部分が少なく、かなり急に仕立てられたものだと思う。
 プロがプロの仕事をした『KARATE』MV公開に間を置かずこれを公開した意図は、BABYMETALのショウがスペクタクルなショウである事の周知と(これはまさにその通りであるし、その意図は伝わっているだろう)、BABYMETALの楽曲としては新しいサウンドである2枚目のクロージング・トラックを聴かせる事で、盤自体のプロモーションにもなるという辺りだと思う。

 非常に好評であるし、プロモーションの効果は期待通り上げていると思う。しかしこの動画では、「ライヴにては神バンドが生でプレイする」というBABYMETALのライヴに於ける魅力と特徴を伝えられていない。

 更に最後に浮かぶテキスト・メッセージは全く理解不能で、これが意図通り受容される事は極めて困難だろう。

 以前にも述べた様に、「みんなを一つにする」というスローガンは性善説な解釈は勿論間違ってはいないが、一方で異端を排除する、同調強制圧力といった負の概念と裏腹にある。
 勿論かつてなら、実現が不可能だという前提で、無茶な「目標」を掲げるという「ネタ」としては確かに面白い概念であった。
 しかしメイン・ストリームに現実に食い込み始めている今となっては、もう少しデリカシーを以て言葉を選んで欲しいと老婆心ながら思う。

 北米~欧州のサーキットでゴンドラを用いる演出があるとは思えないが、BABYMETALのショウに行ってみたいという新たなファンを獲得するだろうという意味で、このMVの公開には意味がある事は間違いなく、その効果を上げ得る事には疑いがない。

 ちゃんと聴けた音源版だが、中間部のアレンジでは幾度かリット(リタルダント)してからインテンポに戻すところなど、(Genesisに影響を受けた)It Bitesのニュアンスを私は感じて好感を持っている。

 横アリライヴ放送で書き漏らしたが、神バンドの過去最大にテンションを上げたソリッドなアンサンブルは見事だった。

2016年3月27日 (日)

WOWOW「BABYMETAL 横浜アリーナ」Live放送

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 これまでWOWOWで放送されるBABYMETALのライヴ番組については、小言老人の様に文句をつらつらと書かずにはいられなかったが、昨年末に行われた横浜アリーナのライヴ放送は映像も音響も殆ど文句が少ない――、すいません、素晴らしかったです。ありがとうWOWOW。

 録画は二日とも行われた筈だが(もしかしたら一日目はランスルーだったのかもしれない)、私が行った二日目の方が放送された。
 しかし自分が行ったライヴ、という感覚は殆ど無く、新しいライヴ映像として瞠目して見入っていた。
 やはり歌っている表情が判る映像の方が私には向いている様だ。
 SU-METALのヴォーカルはあまりに安定しているので、余裕で歌っているのかという感覚で当日は聴いていたが、映像で抜かれる表情の端々に目一杯な、限界際で歌い踊り続けている事がありありと判った。

 それにしても音が良かった。
 先ずハコが音楽向きなのも大きいのだろう。
 現場ではあまり聞えなかったギターリフも、バランスは最高だった。ローエンドが無いのが寂しいが、ヴォーカルとバンド、アンビエントのバランスはこれまでのBABYMETALライヴ映像でも最高なものだと思える。
 WOWOWはBABYMETALコンテンツに力を入れており、今回はLiveではなくPrimeでの放送。それも前2作のリピートをした上での放送。Wembleyも放送する事が報じられた。
 やはりゲインは小さめなのだが、前2番組に比べたら充分納得行くレヴェルだ。

 照明は現場で見た印象と同じ。これまでよりも光量を上げている筈だ。これも前2番組とはまるで異なる。映像のゲインも過度に上げる必要が無くなった。

 ライヴ現場とは別な印象で見てはいたが、その時の事も思い出せた。
 最近のライヴハウス公演だと、曲間はミニマムに詰める傾向だったのだが、横アリでは暗転が若干多い。ステージが広いのだから当然ではある。

「みんなー、はっじまっるよ~~」という『君とアニメが見たい』冒頭部の引用は『ギミチョコ!!』Call & Response中だったか。

 スタンド席でもパイロが炊かれると顔に熱を感じたのはリアルな思い出だ。



 映像で見て新鮮だった部分も多い。
『あわだまフィーバー』の振付けは、思っていたよりもずっと凝っていた。SU-METALの運動量も多い。これでずっと高域のみで歌い続けるのだから恐ろしい。

 成長したYUIMETAL+MOAMETALは、今後『おねだり大作戦』を披露する機会は減っていくのかもしれない。しかし横アリでのパフォーマンスは、あのパーカーを着てしまえば、以前の可愛らしさを微塵も失っていない事が判る。この楽曲のアフタービートはかけがえのないものなので、セットリストから落とさないで欲しいと切に願う。

『THE ONE』は、思っていたよりもクラシカルなプログレ寄りのアレンジだった。2枚目の年長者泣かせはこの曲である様だ。イントロのギター・フレーズはプログレではない何かを想起させるのだが……、例によって思い出せない。
 そしてこの曲はYUIMETAL+MOAMETALがしっかりとハーモニーを歌っている事も確認出来た。

 SSEウェンブリーではどんな美術セットになるのか判らないが、もう何の心配も不要だろう。BABYMETALは更に進化したステージを見せるに違いない。

2016年3月23日 (水)

ビルとテッド

 前エントリのコメント欄では、『KARATE』MVの解釈について熱いコメントが書き込まれている。
 そのコメント欄でも教えられたのだが――、

 復活して以来、興味深い英文記事を積極的に翻訳してくれているBABYMETAL翻訳が、イギリスのメタル・ポッドキャストを翻訳した動画を公開した。BABYMETALの欧州プロモーションを担当する人物を招いている。
 キャスターの1人はBABYMETALを胡散臭く見ていたが、『METAL RESISTANCE』の特に『KARATE』を聴いて転向した人物。
 日本と欧州の客層の違いなど色々と興味深い話も出たが、私個人的にも反応しない訳にはいかない部分があった。

 BABYMETALのスキームで他のグループが作られたら成功するか、という疑問に対して、「日本以外のどこかが作ってみないと判らない」という、これは堅実な答えであった。それに付帯して、ホラー映画「リング」はハリウッドでリメイクしても惨憺たる出来だったし、『呪怨』にしても、(同じ清水崇が監督しても)サラ・ミシェル・ゲラーが主演となった英語版リメイクでは何か違ったという。
 ともあれ、BABYMETALの様な突飛なアプローチは2匹目の泥鰌を狙ったところで巧くはいくまいという意味での言及だった。
「ザ・リング」(リメイク版)が芳しい出来ではなかったのは事実なのだけれど、ではJホラー的な話法は日本を舞台にしないと成立しないのか、という点については「否」だと述べておきたい。
 ホラーとメタルには様々なアナロジーが見出されるので、改めて書こうとは思っていた。
 ちょうど話題の映画「It Follows」を(英語字幕で)見たばかりで、ホラーはこれからまた面白くなっていきそうである。

 それより何より、私が喫驚したのは鼎談の最後に「BABYMETALはSlipknotみたいな存在になるのだろうか」というキャスターが思いつきを口にしたところだ。言った瞬間、自分で嫌になったらしい。勿論そんな可能性は少ないだろうという空気ではあったが、「Wyld Stallynsにはなるかもしれない」というジョークで締められたのだ。

 ワイルド・スタリンズというのはバンド名ではあるが、実在はしない。
「ビルとテッドの大冒険」(1989)という、若かりし頃のキアヌ・リーヴスとアレックス・ウィンターがアホ高校生コンビを演じたバカ映画の中で、2人が組んでいるバンドなのだ。
 この映画のお陰でキアヌがその後何を演じても、「しかしこいつ高校ン時はバカだったからなぁ」と見てしまう様になった。いや、大好きな俳優だが。

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 私は続編である「ビルとテッドの地獄旅行」(1991)に、人生でもトップ30には入る程に思い入れている。記憶が定かではないが、脚本家の會川昇氏と、江ノ島だかの映画館までわざわざ観に行った。マイケル・マンの「ザ・キープ」と二本立てだっただろうか。当時は首都圏では劇場公開されないB級映画というのが時折あったのだ。
 我々の関心は、脚本を書いていたクリス・マシスン(リチャード・マシスンの子)とエド・ソロモンという当時気鋭の若手の仕事をチェックする事にあったと思うが、そんな細かい事ぁどうでもいいバカ映画(褒め言葉)だった。
 劇中でロックを演奏するので、サウンド・トラックも当時のLAメタル(現在はヘアメタルとかグラムメタルという蔑称が浸透している)が数々と流れる他、スティーヴ・ヴァイが劇判も担当していた。
 当時ヴァイは『クロスロード』という奇っ怪なブルーズ・ギター対決映画でも敵役とギター演奏を担当しており、映画づいていた。
 収録された曲にはPrimusの「Tommy The Cat」も入っており、「うあ、また凄いベーシストがいるものだ」と驚かされた。レス・クレイプールのベース・プレイは近年、ニコニコ動画の「弾いてみた」で人気ともなる。

 クライマックスの直前、悪のロボットが待つステージに向かうバンの中で、道中知り合ったエイリアンとよく判らない準備をしながら疾走する場面で凄まじくノリの良いリフのリズムが流れる。Wingerの「Battle Stations」という、彼らのアルバムには収録されていない曲だ。この映像と音楽の相乗効果は私に強いインパクトを与えた。



 数年後、関西テレビのみで放送された『学校の怪談』というシリーズで、弟が監督で私がシナリオを書くエピソードの一つに『妖怪テケテケ』という回がある。これは紛れもなく「ビルとテッド」に影響を受けたバカホラー・ドラマだった。
 クライマックス前にはどうしても「Battle Stations」を掛けてくれと弟に私は頼んだ。当時、テレビは自由に音楽を使えたのである。
 黒沢清監督も参加したこのシリーズは後年ビデオ化されたのだが、必然的にWingerの曲は他の曲に差し替えられていた。

 Wingerというか、ギターのレブ・ビーチはリフ・メイカーとしてもっと評価されるべきだと思っている。近年はWhite Snakeに入っているが、ここでの彼はパッとしていない。そもそも全然バンドカラーに合ってないと思うのだが(「Purple Album」は何もかも酷かった)。
 数年前にWingerがオリジナル・メンバーで再結成したが、ここでは伸び伸びと軽薄にピロピロしたソロを存分に弾き倒している。ただ楽曲はうーんという感じではあった。
 ソング・ライターとして最も偉業だったのは、ジョージ・リンチ脱退後に参加したDokkenでの仕事である(反論ある人も多そうだ)。

 えらく話は逸れた。
 ワイルド・スタリンズという架空のバンドが、ロックで世界を一つにする、といった目標を掲げていたかどうか、正直私の記憶には無い。
「架空のネタ・バンド」という例示であるなら、ジャック・ブラックの「テネイシャスD」でも良かった筈だ。何故そこでワイルド・スタリンズなのか。単に世代的なものかもしれないのだが、BABYMETALとの共通点を見出すならむしろ、「あらゆる年代の観ている人を笑顔にする」バンドだという事ではないか。


 

「ビルとテッド3」が企画構想されているという話が5年前にあって、大層楽しみにしていたのだが、今のところ進展は無い。

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2016年3月21日 (月)

『KARATE』MV雑感


 3年振りとなるMV『KARATE』は、YouTubeで公開されるや2日と数時間で100万視聴を突破した(本記事アップ時:1,298,643)。
 私はこの発表の頃はとても動画を見られる状態になかったので、どうせなら最初に観るのはテレビモニタで見ようと、MTVのJapan Top50をつけっぱなしにして待機した。結局『KARATE』が放送されたのは、トップ1まで放送した後であった。
 作業をしながら斜め見していたトップ50だが、やはり邦楽の現在はこうなのか、と暗澹としていた。

 BABYMETALのMVについては、本ブログでは近い業界にいた事もある為、これまでも詳述は控えてきた。
 しかし『KARATE』が繰り返し見たくなる様な出来であるのは間違いないところだ。

 6年前の『ド・キ・ド・キ☆モーニング』の頃、YUIMETALとMOAMETALは小さく、まるでスーパーボールの様な異次元感覚の跳躍をしていた。
 その姿を見ることはもう出来ない。
 しかし今の3人が並び、力強いダンスを踊る姿にはもう「ネタですから」というエクスキューズを全く必要としていない。

 同じディレクターが撮った、他アーティストのあまりにバブリー豪華なMVに比べたら、極めて質素な作りだが、ポストプロダクションはじっくり練って仕上げられている。
 短い曲ではあるが、物語構成を感じさせる作りにもなっており、BABYMETALの“仮想敵”は己自身なのだという、BABYMETALが一貫しているモチーフがこのMVでも徹底されている。

 彩度を下げる意図は判るけれど(シャドウ・バンドは完成版では殆ど見えない)、もうちょっと明るくてもとか、なんでなんちゃってシネスコにするんだとか、YUIMETALはその場でジャンピングハイだって蹴り出せるのにとか、不満も持たなくはないが、MOAMETALのキャラクターを活かした演出は素直に称賛する。
 YUIMETALとMOAMETALが、リフのパートで正拳突きをしながらのBABYヘドバンをする部分で、2人のツインテールが曲のテンポにきっちり合わせ、2人の頭の動きに追従して収まっていく。おお、ついに2人は髪の自由落下までコントロールしだしたのかと、些か驚いた。まあこれはミディアム・スロー(BABYMETALとしては)なBPMのヒップホップ・モーションが、完璧に遂行されているから生まれた効果だろう。

 あと個人的に印象的なのはSU-METALの歌う表情に、いかにもMVで歌ってますといった感覚が微塵も感じられず、どのカットも本気で歌っている様に見えるところだった。
 彼女は早い時期から、プレイバックに合わせリップシンクで歌う仕事は経験豊富だ。3年前の前作『メギツネ』でも決して顔だけ作ってる感は無いのだが、『KARATE』はスタジオで本気で歌っている様に見える。
 近年のライヴでも、『ギミチョコ!!』や『ヤバ!』などではその歌の雰囲気の表情で歌う彼女だが、『KARATE』MVでの表情には作為が全く感じられないのだ。

 多くのシンガーは、ライヴでもMVでも、自身の歌に自ら陶酔している様な表情をする。SU-METALはそうした態度を一切とらない。聴き手に届ける事のみに専心している。SU-METALの歌に惹かれる理由の一つがこれなのだ。『KARATE』MVには擬似的にライヴ感があるのは、BABYMETALの方法論を周知させるのに大きな力となっている筈だ。

“『KARATE』MV新規”がどれだけ国内で増えるだろう。

2016年3月16日 (水)

SHOX YUI-MOA

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 歳をとると時間が過ぎるのが早い。本ブログを読まれる多くの方も日々実感されているだろう。
 ウェンブリーなど随分先の事だと思っていたら、もうすぐに近づいてしまった。
 幸運にもライブビューイングのチケットが当たったので、私は台場から見守る予定だ。

『METAL RESISTANCE』の発売も迫っている。
 私は一体何枚のCDを予約しているのか、恐ろしくて数えていない。

 2枚目が発売されるまでには、『Road of Resistance』論考まで終えて一区切りをするつもりだったのだけれど、それも危うい、というよりも最早諦めの境地に至った。

 2枚目のPRは、広告を多く出稿するのではなく、これまで控えていた長時間のインタヴュウを解禁した事にある様だ。
「ヘドバン」Vol.3、それ以前の「MARQUEE」や「QuickJapan」(旧編集陣)などでは3人やKOBA-METALの詳細なインタヴュウが載っていたが、長らく国内では取材を受けてこなかった。
 どんな談話となっているのか非常に楽しみだ。

 本人達の発言があまり無かった期間に好き勝手を書いてきたこのブログも、遂に年貢の納め時が来たのかもしれないが、今暫くは続けるつもりだ。




 

 今、私は映画美学校脚本コース4期高等科の修了課程である、長編シナリオの指導を行っている。これがとにかく大変だ。

 現在6期初等科の募集を行っているが、体力的にもこの6期を受け持つのが最後になりそうだ。
 興味を持たれた方は映画美学校に問い合わせをして戴きたい。

 

2016年3月 9日 (水)

スタジオ録音盤ならではの愉しみ

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 まだ私がBABYMETALの最初のアルバムを聴き込んでいない時分、『紅月-アカツキ-』でSU-METALのヴォーカルに絡むハーモニーのパートは、凄腕のセッション・シンガーが歌っているのだろうと思い込んでいた。
 勿論、『ド・キ・ド・キ☆モーニング』など明らかにSU-METAL自身がハーモニーを歌っている事が明らかな楽曲もある。しかし『紅月』のハーモニーはプログラム批評でも書いた通り、主旋律の上下を行き来する難度の高いメロディを歌っている。しかも、その歌声は力強い。主旋律よりも気迫を感じられたのだ。

 これは当然ながら、SU-METALのヴォーカリストとしての経験やセンスをまだ低く見積もっていた故の私の誤認だった。


 私はハーモニーが大好物だ。
 単純な五度三度のハモりよりも、もっと複雑なクローズド・ヴォイシングのハーモニーが好きだ。
 こうしたハーモニーでは、主旋律ではないパートの歌メロが奇々怪々になるものだ。

 ジャズ和声を分散してコーラスするというのは、概ねAndrew Sisters辺りが開祖となるだろう。ちょっと凝ったハーモニーを作ろうとすると、「アンドリュー・シスターズ的な」という形容がつく。
 Queenはこうしたコーラス・ワークを駆使したロックバンドだった。ロジャー、ブライアンが、ソロとしては弱くともハーモニーが歌える資質であった事も大きい。
 彼らのレコーディング場面の映像の中で、ハーモニーに凝り過ぎる事に対してフレディがキレるシーンがあった。「俺たちはFxckin' Andrew Sistersかよ!」と言い捨てる。

 若い頃、Carpentersは日本で広く人気があったが、私にはおぞましい懐古趣味軟弱音楽という感覚があって毛嫌いをしていた。
 しかし、カレン・カーペンターの歌声には確かに不思議な魅力がある事も判ってはいた。

 ずっと後年になって、何が契機であったかは忘れたが、カーペンターズのアルバムを全部聴こうと思った。カーペンターズが好きだという人も、多くはシングル集やベスト盤で充分だと思っているだろう。
 コンセプト・アルバムである「Now And Then」(主題曲が『Yesterday Once More』)は通して聴いた人も多かったかもしれない。

 Carpentersはライヴ活動も積極的に行っていたが、レコーディング・アーティストとしてのカーペンターズはライヴとは別に捉えるべき存在だと、ここでやっと悟った。
 シングルヒットした曲も、アルバムでしか聴けない曲にも、カーペンターズの楽曲の概ねには凝ったコーラス・ワークがカレンのヴォーカルを包み込んでいる。
 このコーラスは全て、カレンと兄リチャード2人のみで多重録音されたものだ。兄妹だから当然ながら、近い声質を持つ2人が極めて巧妙なハーモニーを生み出している。
 ヴォーカルよりもレヴェルが大きい曲すら一つや二つではない。

 カーペンターズのツアー・バンドはコーラスもちゃんと歌えるメンバーを揃えていた。『イパネマの娘』の凝ったコーラスもアカペラでこなしていた。しかしレコードで聴かれる、あの濃密で甘い兄妹多重コーラスは、ライヴでは再現不可能なのであった。

 コーラスが凄い、という事に気づいて私はカーペンターズが好きになった。
 卓越したシンガーは、コーラスも自分自身の1人多重録音でこなす事が多い。

 そうしたアプローチの代表者と言えば、Chaka Khanだろう。
 ファンクバンドのRufusから独立してソロシンガーとなった70年代末からの数枚は、ファンクやAORが好きな世代にとっては絶対的な価値観を有していた。
 特に私は、これらのアルバムの多くで多弦ベースをピックで弾きまくるAnthony Jacksonのプレイスタイルには多大な影響を受けた。

 やはり嚆矢となるのは、ソロ三枚目に収められた「チュニジアの夜」ヴォーカライズ版だろう。オリジナルを作ったディジー・ガレスピーも健在時で参加しており、オリジナルのチャーリー・パーカーのブレイク・ソロをサンプリングしてハンコックがユニゾンを弾き倒している事がよく挙げられるが、チャカの1人多重コーラスも、到底ヴォーカリストが歌わない器楽的なアレンジだ。
 ちなみにこの曲のベースはアンソニーではなく、デヴィッド・フォスターが指弾きで弾いたミニムーグと、エイブラハム・ラボリエルのスラップが重なっている。
 ヘッド・アレンジャー(弦アレンジも)でプロデューサーのアリフ・マーディンは、アンソニー・ジャクソンを重用していたが、このファンク・アレンジ版ではどうしてもスラップを入れたかったのだろう。

 

 1人多重コーラス(クローズド・ヴォイシング)を偏愛するのは、チャカ・カーン由来だと漠然と思ってきたのだが、2007年にアリフ・マーディンが亡くなった時、突然判ってしまった。
 中学生の時にベット・ミドラーの「イン・ザ・ムード」というシングル盤を買って愛聴していた事を思いだしたのだ。
 グレン・ミラーのビッグバンド曲を、ベット・ミドラーが1人多重録音でアンドリュー・シスターズ風に歌ったものだった。
 このアレンジをしたのは後に大物となるバリー・マニロウだったが、共同でプロデュースを務めたのがやはりアリフ・マーディンだったのである。

 トルコ出身のマーディンは、アメリカで音楽教育を受けた後にアトランティック・レコードの社員プロデューサーとなった。主にキャリアは60年代のジャズから始まり、年下ではあるがクインシー・ジョーンズに恩恵を受けた様だ。
 ノラ・ジョーンズの衝撃的なデビュウ盤がほぼ最後の仕事となる。

 ファンクやイギリスのニューウェイブまで手広く手掛けるも、やはり音楽的コアはジャズにあった。
 チャカ・カーンはビバップを歌うシンガーともなるが、そのきっかけを設けたのがアリフ・マーディンだった。



 さてやっとBABYMETALに話を戻す。
 私はSU-METALの歌にYUIMETAL+MOAMETALがハーモニー・コーラスを歌えたら、私にとって最高になるだろうと思っていた。
『Road of Resistance』の音源が発表された時、ほんの一瞬ではあるがSU-METALの歌にハーモニーの様なYUIMETAL+MOAMETALの声が重なるところがあって、これがライヴで再現されたら失神する程感激するだろうと思った。

 しかし恐らく、ライヴではバックトラックを用いている様だ。その理由も理解出来る。

 ライヴ盤が幾つもリリースされても、1stアルバムを一年近くヘヴィー・ローテーションして聴き続けたのは自分でも不可解だった。
 その理由にやっと思い当たったのは、カーペンターズ、チャカ・カーン、ベット・ミドラーの作品を参照してからであった。

 BABYMETALはライヴの方が価値が高い。それは間違いない。
 だが私にとっては、スタジオ録音盤もそれに匹敵する意味を持っている。BABYMETALに触れる個人的な時間は、圧倒的に音を聴く方が多いのだから。

 SU-METALの1人コーラスは、上下どちらかに一本であまり凝られてはいない。しかしハモりのメロディ自体は戦略的だ。特にゆよゆっぺが手掛ける曲に顕著だ。
 これを容易くはないかもしれないが、歌いこなしてしまうSU-METALのヴォーカル・センスは、近年の日本のシンガーでは希有だろう。

 ライヴでバックトラックとして自分の声によるハモりがプレイバックされると、モニタにまだあまり慣れていない頃、ヴォーカル音程が不安定になる時があったが、最早そんな事はとうに克服されている。
 ハモりのプレイバックを下げるという対処をする事も無く、SU-METAL自身がライヴを重ねて経験値を積んだのだ。

 スタジオ音源版には、音源ならではの楽しみがある。私にとってその一つが、SU-METAL自身の多重コーラスなのだ。『METAL RESISTANCE』ではどれだけ進化しているのだろうか。




2016年3月 1日 (火)

ついて行けるのか……

 今年は去年とは全く異なる展開となりそうだ。
 去年の今の時期、これほどBABYMETALが様々に攻めの手を重ねてはいなかった。
 こちらの都合も心身の状態もお構いなしに発表が続いている。

 何故か今回の『KARATE』はレコチョクではリリースされず、先行ダウンロードはiTune Storeのみで、10年振りにインストールする羽目になった。
 MVの素材を使ったと思われる『METAL RESISTANCE』トレイラー動画を見る限り、スタジオが広い、という感想を抱いた。しかし何ら特別な演出は無さそうだ。もっと作り込んだ映像になると予想していたのだが(根拠はあまりない)、拍子抜けした。
 メディアへのプレス・リリースとトレイラーを上げただけ。BBC等で数回オンエアとなったのみで、各国のメタル・チャートに食い込んだ。
 どれだけ予算を掛けずに、世界的なムーヴメントを引き起こせるのかという実験としか思えない。
 ただ幾らなんでも今月末には宣伝攻勢を掛けるだろう。

 音源版で聴き直しても、『KARATE』のインプレッションはほぼ変わらなかった。
 各国のウェブメディアのエディタやDJにはすこぶる好評の様だが、これも予想通り。
 YUIMETAL+MOAMETALによる二度目の「押忍!」の前に「あ~~~↑」があって、これには思わず口角が上がった。
 そしてトレーラーのパフォーマンスでは、マイクを持たないSU-METALのダンスにやはり目が奪われる。SU-METALが本気で踊るとやはりもの凄い。Count Down Japan 15/16に於けるマイク事件の時もこんな感じだったのだろうか。

 THE ONE初回限定版ジャケットは、イラストレーションなのかは判然としないが、3人の身長がほぼ等しく描かれているのが印象的だった(コメントでもご指摘があった)。実際にはまだSU-METALと2人との身長差は若干ある筈だが、BABYMETALのトライアングルは二等辺三角形から正三角形へと変貌した事を宣言している様に見える。

 SSEウェンブリーでのライヴは、国内各都市Zeppでライブビューイング(私の普段の表記だと違うのだが商標なので)が実施される事になった。一応申し込むつもりだが、当たる気が全くしない。

 THE ONE of THE ONEだったか、アルバム発売前日にたった1人を選んで催されるイベントには、41文字メッセージを送るという後出しの条件が出され、短文を書けない体質の私は断念した。

 そして『METAL RESISTANCE』トラックのネタバレ・プレヴュウがMetal Hammer誌に掲載された様だ。前エントリの私の予想の大半は外れている様だが、楽しみは更に増している。取り敢えず忘れておこう。

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 METAL HAMMERと言えば、数号前の付録CD『Monsters of 2015』で、『メギツネ』が3曲目、Slayerの後に収録されており、知らずに聴いていて驚いた。当然、CDとしてのリマスタリングは施されているだろうが、音圧も音の迫力も、他のバンドと遜色無かった。


 昨年9月に買ったThinkPad X1 Carbonを今になってやっと使い始めた。もう既に2016年モデルが売り出されているのだが……。











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