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2016年3月23日 (水)

ビルとテッド

 前エントリのコメント欄では、『KARATE』MVの解釈について熱いコメントが書き込まれている。
 そのコメント欄でも教えられたのだが――、

 復活して以来、興味深い英文記事を積極的に翻訳してくれているBABYMETAL翻訳が、イギリスのメタル・ポッドキャストを翻訳した動画を公開した。BABYMETALの欧州プロモーションを担当する人物を招いている。
 キャスターの1人はBABYMETALを胡散臭く見ていたが、『METAL RESISTANCE』の特に『KARATE』を聴いて転向した人物。
 日本と欧州の客層の違いなど色々と興味深い話も出たが、私個人的にも反応しない訳にはいかない部分があった。

 BABYMETALのスキームで他のグループが作られたら成功するか、という疑問に対して、「日本以外のどこかが作ってみないと判らない」という、これは堅実な答えであった。それに付帯して、ホラー映画「リング」はハリウッドでリメイクしても惨憺たる出来だったし、『呪怨』にしても、(同じ清水崇が監督しても)サラ・ミシェル・ゲラーが主演となった英語版リメイクでは何か違ったという。
 ともあれ、BABYMETALの様な突飛なアプローチは2匹目の泥鰌を狙ったところで巧くはいくまいという意味での言及だった。
「ザ・リング」(リメイク版)が芳しい出来ではなかったのは事実なのだけれど、ではJホラー的な話法は日本を舞台にしないと成立しないのか、という点については「否」だと述べておきたい。
 ホラーとメタルには様々なアナロジーが見出されるので、改めて書こうとは思っていた。
 ちょうど話題の映画「It Follows」を(英語字幕で)見たばかりで、ホラーはこれからまた面白くなっていきそうである。

 それより何より、私が喫驚したのは鼎談の最後に「BABYMETALはSlipknotみたいな存在になるのだろうか」というキャスターが思いつきを口にしたところだ。言った瞬間、自分で嫌になったらしい。勿論そんな可能性は少ないだろうという空気ではあったが、「Wyld Stallynsにはなるかもしれない」というジョークで締められたのだ。

 ワイルド・スタリンズというのはバンド名ではあるが、実在はしない。
「ビルとテッドの大冒険」(1989)という、若かりし頃のキアヌ・リーヴスとアレックス・ウィンターがアホ高校生コンビを演じたバカ映画の中で、2人が組んでいるバンドなのだ。
 この映画のお陰でキアヌがその後何を演じても、「しかしこいつ高校ン時はバカだったからなぁ」と見てしまう様になった。いや、大好きな俳優だが。

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 私は続編である「ビルとテッドの地獄旅行」(1991)に、人生でもトップ30には入る程に思い入れている。記憶が定かではないが、脚本家の會川昇氏と、江ノ島だかの映画館までわざわざ観に行った。マイケル・マンの「ザ・キープ」と二本立てだっただろうか。当時は首都圏では劇場公開されないB級映画というのが時折あったのだ。
 我々の関心は、脚本を書いていたクリス・マシスン(リチャード・マシスンの子)とエド・ソロモンという当時気鋭の若手の仕事をチェックする事にあったと思うが、そんな細かい事ぁどうでもいいバカ映画(褒め言葉)だった。
 劇中でロックを演奏するので、サウンド・トラックも当時のLAメタル(現在はヘアメタルとかグラムメタルという蔑称が浸透している)が数々と流れる他、スティーヴ・ヴァイが劇判も担当していた。
 当時ヴァイは『クロスロード』という奇っ怪なブルーズ・ギター対決映画でも敵役とギター演奏を担当しており、映画づいていた。
 収録された曲にはPrimusの「Tommy The Cat」も入っており、「うあ、また凄いベーシストがいるものだ」と驚かされた。レス・クレイプールのベース・プレイは近年、ニコニコ動画の「弾いてみた」で人気ともなる。

 クライマックスの直前、悪のロボットが待つステージに向かうバンの中で、道中知り合ったエイリアンとよく判らない準備をしながら疾走する場面で凄まじくノリの良いリフのリズムが流れる。Wingerの「Battle Stations」という、彼らのアルバムには収録されていない曲だ。この映像と音楽の相乗効果は私に強いインパクトを与えた。



 数年後、関西テレビのみで放送された『学校の怪談』というシリーズで、弟が監督で私がシナリオを書くエピソードの一つに『妖怪テケテケ』という回がある。これは紛れもなく「ビルとテッド」に影響を受けたバカホラー・ドラマだった。
 クライマックス前にはどうしても「Battle Stations」を掛けてくれと弟に私は頼んだ。当時、テレビは自由に音楽を使えたのである。
 黒沢清監督も参加したこのシリーズは後年ビデオ化されたのだが、必然的にWingerの曲は他の曲に差し替えられていた。

 Wingerというか、ギターのレブ・ビーチはリフ・メイカーとしてもっと評価されるべきだと思っている。近年はWhite Snakeに入っているが、ここでの彼はパッとしていない。そもそも全然バンドカラーに合ってないと思うのだが(「Purple Album」は何もかも酷かった)。
 数年前にWingerがオリジナル・メンバーで再結成したが、ここでは伸び伸びと軽薄にピロピロしたソロを存分に弾き倒している。ただ楽曲はうーんという感じではあった。
 ソング・ライターとして最も偉業だったのは、ジョージ・リンチ脱退後に参加したDokkenでの仕事である(反論ある人も多そうだ)。

 えらく話は逸れた。
 ワイルド・スタリンズという架空のバンドが、ロックで世界を一つにする、といった目標を掲げていたかどうか、正直私の記憶には無い。
「架空のネタ・バンド」という例示であるなら、ジャック・ブラックの「テネイシャスD」でも良かった筈だ。何故そこでワイルド・スタリンズなのか。単に世代的なものかもしれないのだが、BABYMETALとの共通点を見出すならむしろ、「あらゆる年代の観ている人を笑顔にする」バンドだという事ではないか。


 

「ビルとテッド3」が企画構想されているという話が5年前にあって、大層楽しみにしていたのだが、今のところ進展は無い。

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コメント

「ビルとテッドの地獄旅行」と「ザ・キープ」の二本立てって、すごい組み合わせですね。(両方とも好きな映画です)

ちなみに「テネイシャスD」は映画よりバンドの方が先に結成されているので、「架空のネタ・バンド」ではないと思います。(「ブルースブラザーズ」と同じですね)

あと「ビルとテッド3」については「今脚本を練っているところ」と、去年の秋頃インタヴューでキアヌがコメントしてました。

この動画の「日本だから受け入れられる」の部分は、まぁ確かにそんなものかなぁ、と思っていましたが、あらためて考えますと極論として、

・日本の俳優が演じるスーパーマン
・金髪碧眼が演じる遠山の金さん

は私の中では成立しないですから、そういうことなのかな、と1人勝手に納得してますw

ベビメタも3人の素晴らしいパフォーマンスがあるのが前提ですが、そこにある「Kawaii」は日本女性ならではのものかもしれませんね。

日本のミュージックシーンが長年叶えられなかった世界進出は、英語が鍵ではなく日本語でも良かった、というのと同じで日本人は日本人の特性で勝負すれば良いということでしょうか。

このポッドキャストはほんとに興味深い内容でしたね。
私見になりますが、「babymetal が日本語歌詞で成功した→日本語歌詞が正解だった!」では、いつまでたっても彼女らに並ぶ、あるいは超えるようなバンドは現れないだろうなぁとも思います。
(そもそも過去に海外進出に失敗した日本アーティストたちの敗因は「日本語歌詞を採用しなかったから」ではない)
つくづく、チームbabymetalはいろんな歯車が奇跡のようにがっちりはまってますね。

ビルとテッド!クロスロード!学校の怪談のテケテケ!
小中さん、やっぱ脱線したエントリー最高っすwww

ワイルド・スタリンズかぁ、スパイナル・タップ(アレも実現してしまいましたが)とかもそうでしたが「架空のバンド」と云うアイディアには、どうしようもなく作者の理想のロックバンド像が反映されてしまうのでしょうね。甘酸っぱくなるわけです。

因みに私のフェイバリットは♪ぺったらぺたらこぺったっこ~って奴ですねwww

ウィリアム・ギブスン、マトリックス、キアヌ・リーブス…
の流れで今回のブログを読むとまた不思議な感じですね。

メタル、ホラー、サイバーパンクに、
地下?といか形而上とういか、何処かで
ロックのマニエリスムのような物として繋がりを感じます。

キアヌ・リーブスはBABYMETALをどう見てるんだろう?
というかマトリックスは1999年公開?
ゆいもあ0歳?下手すると知らないんですよね。

たしか世界中の人気者になって世界が平和になるみたいな
ストーリーだったような
あまりにおバカ映画でよく思い出せない
ステーション!ていう合い言葉がキツネサインになるのかな

ウィリアム・ギブスンは東京を舞台にしたバーチャルアイドルを主人公にしたサイバーハードボイルド作品「あいどる」を書いてます。
1997年に。
因縁めいたものを感じますね。

千昭ちゃん……昨日はかわいかったね

ああ、クロスロードのあの人はスティーヴ・ヴァイでしたっけ。あの当時、なんで
ブルースのギターとメタルみたいなのが対決になるの・・みたいに一部で話題に
なってました。今、思い出してもちょっと笑えるあのシーン。
ライ・クーダーとではあまりにも取り合わせが珍妙ですよね。
おかげでラルフ・マッチオはなんか「ベスト・キッド」と合わせてイロモノ担当みたいに
なってました。
スティーヴ・ヴァイといえば先日NHKで「ロニー・ウッド ショー」を見ていたら、
ゲストのアリス・クーパーさんが「ライブにスティーブ・ヴァイを呼んだら、師匠の
ジョー・サトリアーニも一緒に来た」みたいな話をしていてなごみました。

オーガは残ると思っていたが・・・・・・・・・
3人とも顔笑れヨ

ウィリアム・ギブスンからフジロックっていう
話題の触れ幅が凄まじいですね。
岡田斗司夫が酒飲んでレッチリのライブで暴れる…くらいのインパクト。

本当に?っていう事が、立て続けに起こって目眩がします。

でも、古き良き全盛期のメタルには、
SFやダークファンダジーのような薄暗さ、鋭さ、緻密さも、
大規模野外ライブの突き抜けたバカ騒ぎも両方があった。

本当に復活してしまうのか?どうなるんだろう?

コレのサントラ20年以上聴き続けてます!最高です!

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