« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月

2016年4月27日 (水)

ニッポンの編曲家

 BABYMETALは確かにギミックで作られた。
 ギミックはコンセプトであり、その根幹は今も尚維持されている。
 しかし、BABYMETALが既に当初のコンセプトから遥かに逸脱しているからこそ、今のファン・ベースを集めた事については理解が得られていない様だ。

 メタルかメタルではないのか、については稿を改めるが、アイドルなのかアーティストなのかについては、今考えておくべきかもしれない。

 そもそもアーティストとそれ以外の領域など、誰も明確な定義はしていないにも関わらず、人々は「あれはアイドル」「あれはアーティスト」と勝手に判断しており、それは概ね近似値となっている。
 アーティストなら、自ら詩曲を書き、楽器も演奏するものだというのがそれだ。

 演者が自分が歌い易い曲しか作らないから、この三十年の邦楽はつまらなくなったと私は考えている。
 優れたコンポーザーと優れたヴォーカリストが同時に成立する事など、本質的には奇跡に近いとすら思うのだが、邦楽のファンは如何に凡庸な曲であっても歌い手自身が作ったのだから、そこに真実性があると思い込む。
 シンガーソングライター信仰は根深い。

 楽器を弾いていない云々に至っては、ロックのピン・ヴォーカリスト全否定をしている訳で、音も出ないのにギターを弾く真似をしているバンド・ヴォーカリストの方がよっぽど格好悪いと、私には思えるのだが。


 そして現在共有されていると思われるアイドル観にも私は違和感を覚える。

「アイドルは未完成な存在」で「(武道館といった)目標に向かうプロセスを共感していく」ものだというサブカル的なアイドル論は、本来なら極端な見方だった筈だがいつしかそうだと信じ込まれている様に思える。
 確かに少女が少女である時期は短く、その時その瞬間を記憶しておきたいというファンの心理は理解出来る。
 しかしその観点では、予め想定されたルートをただなぞるだけのものでしかない。そのルートから逸脱する事で初めて現実世界に普遍化して存在する偶像となる筈だ。
「アイドルというのはこういうもの」という固定観念は、個々のアイドル達自身には何のメリットももたらなさいと思う。

 私の私見でもなく、一般的アイドルの上がりとされる武道館はBABYMETALにとって第二の出発でしかなかった。この一点でもBABYMETALが、これまでのアイドル観から逸脱している事は明らかだろう。
 ただでは、「アイドル以上」なのかと言われれば、そうではないのだ。
 今も尚、BABYMETALはアイドル的な受容をされているし、アイドル性は当初のコンセプトの根幹の一つでもあり、そこから外れてはいない。
 また、BABYMETALとは違う手法ででも、他のアイドルがBABYMETAL的なアプローチをする事は有り得ない。

 BABYMETALは、「アイドル」としても「メタル」としても、META領域(ここは正しくその言葉の意味で)にいるのだ。


 私は映画美学校で脚本を教える中で、映画の脚本を勉強するなら1970年代末までの映画を観るべきであると主張している。1980年代に入ってから、ハリウッドの脚本の質は衰えた。
 音楽に関しても、80年初頭までのものが良かったと思っている。これには明確な時代の切り替わりがあった。流行音楽の作られ方が劇的に変わったのだ。

 この時代の音楽にはマジックがあった。楽曲の多くは専門の作家が作り、各レコード会社と結びつきの深い、極めて高い才能と技術を持っていた編曲家が録音を司っていたのだ。
 そしてバッキング演奏は最高の腕を持ったミュージシャンが鎬を削っていた。

 そうした時代の音楽現場を実にリアルに表した本が先般出た。
 本当に興味深く読了した。

810t3azke8l


ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち
 著:川瀬泰雄, 吉田格, 梶田昌史, 田渕浩久

 編曲家は勿論だが、セッション・ミュージシャン、コーラスやストリングス、ガイド・ヴォーカルの専門家、エンジニアなど一通り網羅されている。
 BABYMETALファン的には、当然の様に青山純のドラミングについては多く言及されているし、ウィンクの「淋しい熱帯魚」を手掛けた船山基紀にインタヴュワーが言及している。

 私は80年代初頭の音響ハウスで録音した経験があり、その頃がちょうど24トラックのマルチが使われる様になった頃だった。




2016年4月25日 (月)

バラカン発言

 全く気が進まないのだが、この件についてコメントしたい方々もおられると思うし、事実は記述しておきたいのでエントリを上げる。

 ピーター・バラカンが東京MXTVの番組にコメンテーターとして出演し、BABYMETALを紹介したコーナーで「世も末」とコメントした。
 その後Twitterで、「あんなまがい物によって日本が評価されるなら本当に世も末だと思います」と述べた。

 言うまでもなくどの観点からも正当性の無い発言ではあるが、シニカルなイギリス人ならそれくらいの表現はするだろう。
 ピーター・バラカンがキム・ケリー()の様に転向する可能性は殆ど無いと思うが、僅かにそれを期待しておこうというのが私の考えだ。


 これで終わっては何なので、一つのテーマとして書く程ではなかった事柄をこの機会に述べておきたい。

 前エントリは私も少し理性を失っていた様で、恐縮している。
 そのコメントの中で、ビデオキャメラのシャッタースピードについて、LED光源の問題かもしれないというご意見は得心した。
 BABYMETALに限らず近年、LED光源は増えているなぁと思っており、これが輝度は高くとも照度は理論値より低いんではないのか、という疑念を私は抱いていた。
 映像で用いられるLEDライトはフリッカーフリーが多い筈で、舞台用はまた違う事情があるのかもしれない。

 東京ドームでどんな演出が計画されているのか判らないが、巨大セット、巨大投影映像、パイロテクニクスなど、どれだけ最新のものを投入しても、数年後にその映像を見返せば陳腐化している可能性の方が高い。
 願わくばその様な仕掛けばかりに予算を費やすのは避けて欲しいと個人的には思う。

 では東京ドームという、間違いなくBABYMETALのヒストリーで大きな到達点となるイヴェントで何を観たいのか。
 ライヴは一期一会、その時だけに起こる奇跡を見せたいとBABYMETALは主張してきた筈だ。ならば、普段のライヴでは不可能なものを見せて欲しい。
 例えば楽曲提供者が演奏に参加したらどうか。
 プログラムによってはLEDAやISAOが参加し、普段はバックトラックでしか再現出来ない様なアレンジも全てライヴで演奏するとか。
 そうした「サプライズ」を私は期待したい。

 The Lete Showの動画は300万回以上も再生されている。
 あまり指摘されていないが、スティーヴン・コルベアは紹介する時、極力「ベビーメタル」と発音している。無論そうしたアドヴァイスを受けたに違いないのだが、きちんと気遣われている事に感銘を受けた。

2016年4月22日 (金)

あのですね!

 トークの直後に歌うんですからね。喉のアップもままならない。
 いえ勿論こういう番組に出る歌手はみんなそれでやってるんですけどね、ウチの娘はまだ慣れてないんですから、ここはまだ伸びしろがあると見るべきなんであって――


 もとい。
 BABYMETALはテレビ朝日のミュージックステーションに破格の扱いで出演した。歌こそ短縮版ではあったが、10分近くの時間が割かれていた。
 トークはMOAMETALが頑張って答え、SU-METALはまあテンプレ的な事を言うので一杯だったが、トーク終わりはYUIMETALが全て持っていった。

 さて『KARATE』であるが、歌い出しからSU-METALの声は「ん?」と感じた。やはりライヴを二夜続けて翌日なのだから、喉の調子は今ひとつだった様だ。

 今回は神バンドも生だった様だ。
 当初はまた事前にオケが録音されているものとばかり思い込んでいたのだが、どう見てもスネアとシンバルは完全に生音だ。
 放送後、録画を幾通りの方法で再生したが、ギターもセンター近くに定位しているのはバックトラックであっても、左右の定位は生だと思う。この曲にはそもそもソロもないので大村孝佳は見せ場がなく気の毒だが、藤岡幹大はCD音源のフレーズにニュアンスを付加しており、引きの画では真剣に弾いている事も確認出来る。
 ベースに至っては音源よりずっと明確にラインが判る。
 WOWOWの事を悪く言えないくらいゲインが低いのだが、バランスは良すぎるくらいに良かった。
 良くも悪くもKemperの優秀なアンプシミュレーション性能により、CDと同じ音が出てくるので、事前録音オケと聞き紛うのも致し方ない。

 NHKのスタジオライヴには一つ不満があった。シャッタースピードが遅すぎて、YUIMETAL+MOAMETALの動きが流れているカットがあまりに多かったのだ。
 ミュージックステーション前回のスーパーライヴは、パチンコ台的な過剰な電飾と過剰なキャメラワークで映像が破綻しがちだったので、今回はどうなるかと思っていたのだけれど、非常に見やすいスイッチングだった。

 で、やはり黒スカートに黒タイツは下半身のモーションを埋没させている。衣装は再考して欲しい。

 それにしても……、ウチの娘の実力はこんなもんじゃないのにという思いが……。

2016年4月20日 (水)

Dizzy Mizz Lizzy

 熊本震災で被災された方々にお見舞い申し上げます。




 今日明日と、BABYMETALは新木場STUDIO COASTでファンクラブ限定ライヴを行うのだが、チケット落選した私には何の関係も無い。
 ライヴ初披露曲も演るのだろうか。ああ口惜しい。

 東京ドームは第二希望まで書かせておきながら落とされた私からすれば「THE ONE」など、どの面下げてのうのうと掲げられるのかという思いだ。

 と毒を吐いてもしょうがないので、関係無い事を。

61tuevekicl_sl1099_

 20年前に一瞬輝きながら、割とすぐに解散してしまったデンマークのバンド、Dizzy Mizz Lizzyが再結成し、昨年のLoud Park15にも出演した事は「ROCK CITY」で知っていたのだが、その新譜「フォワード・イン・リヴァース」がやっぱり素晴らしかった。
 ポスト・オルタナ系で、ハードロックなのかポップバンドなのか、聞く人によって印象も評価も変わるのだが、今の音は明らかにハードロックだし、プログレ風味も濃い。
 トリオなのに音に隙が無い。ヴォーカル&ギターのティム・クリステンセンは昔のビデオだと痩せた美少年ぽかったが、今の風貌はマニッシュだ。ベースもドラムもよく歌うタイプ(ヴォーカルという意味ではなくフレージングが)で、トリオだと忘れさせる程、アンサンブルが巧い。Loud Parkでのプレイでも完璧であった。しかも音が良かった。余程エンジニアの腕も良かったのだろう。日本盤CDにはボーナストラックでライヴも収められている。
 今年に入って2枚目の「通して聴けるアルバム」となった。


 

 一方でLoud Park14で来日したベテランThunder(ここも一時解散状態だった)が、ライヴ集を出したのだが……、これは良くなかった。ギターの片方がレヴェルが小さく全体のミキシングが悪い。セットリストも一本調子気味で、皆さんお馴染み曲は観客に歌わせるという、ライヴにあるある的な悪癖が目立つ。


 

2016年4月15日 (金)

海外盤も買いましょう

『METAL RESISTANCE』のearMusic盤について触れていなかった。
 ネットで言われている通り、マスタリングが全く国内盤と違っており、国内盤に抱いた音質の不満は、完全ではないものの払拭されている。
 ヘッドルームが広がり、併せてハイミッドを若干スクープされている様だ。これにより聴きやすくなっている。
 ベースの聞こえ具合はやはり不満だが、ローエンドは現代のロック音像としては充分だろう。
 恐らくどんな環境でも国内盤よりこちらの方が良く聞こえる。なぜ統一しないのか理解出来ない。THE ONE限定盤は国内盤と近い音だと思うのだが、他の二種ともやはり違う。

 共通の各楽曲についてはいずれ述べるとして、EU/US盤 THE ONE限定盤のみのトラックについて先に書いておこう。その前に――、

『あわだまフィーバー』はライヴで初披露されると、聞き書きされた歌詞がネットに流通していたのだが、冒頭の「ひみつの箱」を「ひみつのハート」と解釈したものがあったのを思い出した。
 振付けを見れば「箱」だろうと思っていたのだが。
 いずれにしても、あまり意味の無い可愛らしい歌詞だろうと漠然と捉えていた。
 しかしスタジオ音源を再生していて、SU-METALのヴォーカルの魅力が最大限に活かされた歌詞なのだと気づかされた。
「ひみつの箱 開けてみたら」 
「ミント味の タイムマシン」
「ひみつ」「はこ」といった言葉をSU-METALは副鼻腔を一杯に使って発声する。「み」や「ん」といった音にも顕著で、ただ音符に合わせた声を出すのではなく、SU-METAL固有の振動波が飽和する。少女らしく可愛い声であるのに、声の芯にはふくらみがあって倍音豊かに響く。
 ヴォーカルのEQやミックスには難儀しそうだが、これは他の歌い手には無い強力な武器なのだ。
 この楽曲の歌詞に於ける言葉の選択に、こうした特性が意識されていたなら、相当に巧みだと思った。
 楽曲の論考はいずれ改めるが、この楽曲の歌詞に耳が行ったのは、EU盤を聴いた時であった。音質は音楽性と不可分である。
 いやはや、ヴォーカル固有の威力を最大限に発揮させる為に、歌詞の言葉選択まで戦略的に行われるなど他に聞いた例など無い。しかしSU-METALの歌声には、そこまで周到に準備をする価値があるのも間違いない。

『GJ!』に関して私はノーマル(国内盤通常盤仕様)の方が『-ご褒美編-』(THE ONE 限定盤のみ)よりも好みだ。
「みみみ緑の電車」のインパクトはリリース以来私の中で色褪せていない。
 ハンコックの「Rock It」とかジャドーズの「Cha Cha Cha Chaka Khan」とか、我々世代からすれば色々とネタの参照元は浮かぶのだが、BLACK BABYMETALの2人には何の関係もない。

『シンコペーション』に代ってEU盤のみに収められた『From Dusk Till Dawn』は、曲想は全く異なるものの、『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』のアーティスト(仮想的な意味で)が大人になって発表した楽曲、というイメージを抱いた。
 ライヴで演る事は殆ど不可能だと思うが(やるならターンテーブルの神が要る)、しかしギタリストが腰を最大限に折ってヘドバンしながらリフを弾くヴィジュアルも浮かんできた(ストラップは長い必要がある)。
 過去のBABYMETAL楽曲には無い曲想ではあるが、『META TARO』に続いて始まると意外に自然な流れとなっている。その秘密は、『META TARO』のブリッジ(「君に聞こえていーるか」←凄い泣けるフレーズ)の後ろで流れるオブリガートのメロと、『From Dusk Till Dawn』のインスト部の主旋律が前半は全く同じだし後半もコード的には同じであるからだ(キーも半音上なだけ)。終盤2曲が同じフレーズを共有しているのと近い演出がここでも見出せる。これが作為的な措置であるなら、相当したたかだ。
 言うなればこのトラックは、原形を殆ど留めていないものの『META TARO』のDJ TEKINA REMIXだと見なせなくもない。
 『METAL RESISTANCE』を頭から終わりまで、一つの組曲的流れをリスナーに感じさせる効果としては、『シンコペーション』よりもこのトラックが入っていた方が高いと思える(曲としてどちらが上という意味では全く無い)。

 SU-METALの声はマテリアル扱いだが、それでも浮き上がってくる存在感は流石だ。
 このトラックは『NO RAIN, NO RAINBOW』とは違う観点での「If」、もしかしたらBABYMETALはこうだったかもしれないという幻像を見せる(SU-METALの言い方を借りれば“Another Sky")。
 中元すず香ありきのプロジェクト=BABYMETALがもしネタ性を拒絶し、シリアスにメタルのサウンドを導入する前提で今のメインストリームへ向けて舵を切っていたら、こうしたデジロックを基調とし、SU-METALはディーヴァ的なアーティストに仕立られていたのかもしれない。
 いや、サイド的なプロジェクトとしてなら近い将来だって全くアリだろう。それこそUltraの様なEDMフェス向きだ。
 しかし、もしBABYMETALが最初からそういうものだったら、私がここまで傾倒する事も無かった。ネタ性は大事。


 という事で、複数枚CDを買う事に抵抗ある方も、海外盤は聞いておくべきだと述べておこう。
『METAL RESISTANCE』のランニングタイムが長いだとか言う輩は「何も判っちゃいない」。

2016年4月14日 (木)

BABYMETALが受ける誤解について


 BABYMETALには様々な誤解がつきまとう。
 前々エントリのコメントにも書かれていたが、CD音源の演奏が神バンドだという誤解は海外に未だ強い。それもこれも、ライナーに参加アーティストを明記しない方が悪いのだが、振り返れば流行音楽がロックンロールとなった60年代前半以来、バンドであってもレコード音源ではスタジオ・ミュージシャンが演奏していたのが通例で、ファンク・ブラザーズやレッキング・クルー、Aチームと称されたミュージシャン達がレコードジャケットにクレジットされる事は決してなかったのだから、その伝統に倣っているとも言えよう。
 しかしやはりミュージシャンを尊重すべきと私は考えるので、いずれクレジットを公開する事を望んでいる。

 過日のNHKスタジオライヴの実況スレを眺めていたら、カラオケ・口パクだと信じて疑わない人がかなりいた。
 今の神バンド+BABYMETALのパフォーマンスは、完全に鉄壁なものとしていつでも何処ででも披露出来る状態となっており、この誤解は一面で仕方ないのかもしれない。
 BABYMETALの様なパフォーマンス力を持つアイドルは、少なくともこの30年間にはいなかったし、今後もそうそう出てくるとは思えない。

 ガタガタ言わさない為には、以前述べた様に、ギターソロにアドリブを混ぜるのも有効だろう。藤岡幹大はCDのフレーズを1/16拍遅らせる様な細かいアレンジをしている様だけれど、率直に言って判り難い。
 SU-METALも、あまり過度に崩しては良くないが、フェイクを入れたりしてその場のみの歌唱をする事も今後は望みたい。既に最近の『ギミチョコ!!』の歌い方は、初期から無意識的変化を認められるのだから。

 

 YUIMETAL+MOAMETALの歌がリップシンクだと思う人は、BABYMETALファンの中でも多い。redditでもそう断ずる人がいた。
 あくまで私の感覚だが、ウェンブリーのパフォーマンスに於いて、『GJ!』のハモりも『THE ONE』のオブリガートも、2人は生で歌っていた(横アリのONEは判らない)。『META!メタ太郎』は誰が聴いても生歌だと判った筈だ。

 告白するが、私の耳は「バンマス耳」だ。若い頃からバンドマスターを務めた事が多く、音程のズレやリズムのズレ、チューニングの狂いなど、自分でも嫌になる程耳が行ってしまう。

 菊地最愛と水野由結はダンスの鍛錬を高めるのみに留まらず、ヴォーカル・トレーニングも積んでいるのだと思う。『METAL RESISTANCE』の楽曲にはそれを前提にしなければ成立不可能な要素があるのがその証左だ。

 ライブビューイング(の会場内外音)では正直よく判らなかったのだけれど、ファンカムの幾つか(比較的音質が良好なもの)を見て確信を持った。
 まだ最初の披露なのだ。今後はもっと完璧に歌うに違いないのだが、しかしそうするとまたぞろ「リップシンクだ」と思う人が出てくるという、これもまたジレンマではある。


 さあ、こうなると俄然私の中で期待値が高まってしまう。
 3枚目では3人によるクローズド・ヴォイシングのモノシリック・ハーモニーに是非トライを。


  









無題

 よもや東京ドームでチケットを落選するとは思っていなかった。  はぁぁぁ……。  気分を害したので今日の更新はここまで。

2016年4月12日 (火)

Billboard Top 40入り

Sukiyaki_front

 4月1日に世界同時発売された『METAL RESISTANCE』は、全英で15位、全豪で7位、全米ビルボードで39位と発表された。
 スティーヴン・コルベアのレイト・ショウに出演した動画は凄まじい勢いで視聴されており、来月には北米各都市を巡りながらフェスにも出演するので、一旦は順位は下がる事はあっても、チャートには長く残るだろう。
 当然ながらビルボードのワールド・チャートは1位であり、これは当分鉄板になるだろう。

 ビルボードのアルバム・チャートに於ける日本人アーティストとしては、坂本九の「Sukiyaki and Other Japanese Hits」以来となる。
 ただ「上を向いて歩こう」は、シングル・チャートで1位を3週獲って、3ヶ月もチャートに残っていたのだから、この偉業を凌ぐ事は殆ど不可能に近い。

 全英チャートでは日本人アーティストとして冨田勲の記録を更新した事が話題となった。
 クラシック曲をシンセサイザーのみでオーケストレーションしたトミタ・サウンドは世界的に敬意を集めたが、私にとっての冨田勲は偉大なるアニソン・コンポーザーだ。
「マイティジャック」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」「キャプテン・ウルトラ」――、残響を積極的に導入し、コーラス、非楽器をも用いたスケールの巨大さは全く追従を許さない不朽の名作であり、歳を経た今も私の心で響いている。



 BABYMETALのチャートインを巡っては、直近でビルボードに挑んだUtada(宇多田ヒカル)についてもネットでは屡々言及されている。
 彼女が日本で席巻している頃、アメリカにターゲットを向けた時、いずれも私は聴かないままだった。邦楽を聴かなかったからというよりも、彼女がやっていたアメリカ現代のR&Bサウンドが好きではないからだ。
 若い頃だってチャートなど気にした事も無かったが、この20年以上のビルボードTop40に並んでいる曲は、「私が絶対聴きたくないもの=聴く必要がないもの」だったのだ。

 

 しかし、『METAL RESISTANCE』が発売されると、それは私でもチャートの動向は気になるし、良い順位になる事を望む。
 BABYMETALのサウンドを聴いて「こういうのでもアリなのか」と、多様なアプローチが広がって、Top40がより多様性を得るかもしれず、想像するだけでワクワクしてくる。

2016年4月 6日 (水)

ON THE AIR in US

Colbert

 BABYMETALは米国時間5日夜、CBSの「The Late Show with Stephen Colbert」に出演し、『ギミチョコ!!』フルバージョンを生で披露した。
 収録されたのがEd Sullivan Theaterであった事に感慨を抱く年長者は多い筈だ。
 テレビ黎明期から70年代まで続いたテレビショーの草分けである「エド・サリバン・ショー」は、The Beatlesがアメリカでブレイクする契機となった事も多大な歴史の一コマに過ぎない。
 日本人ではザ・ピーナッツやブルーコメッツなどが出演している。

 ネットにてヴァイラルに認知を広げたBABYMETALが、次のステップに進んだ事は間違いない。

 3人と神バンドはたった4分の曲ではあるが、充分に振り切ったパフォーマンスをしてみせた。あまりの危なげ無さに物足りなさすら感じてしまう程だった。
 私がBABYMETALに惹かれた初期動機の一つには「何と無茶をやろうとしているのか」という極めてシンプルな驚きにあった。

 ただ、では3大ネットワークのショウでもっと冒険すべきだったかと言えば、それは有り得ない。いつもの通りにダンスも歌も、ギターソロも実施されねばならない。一年半前に私が体験した事を、世界規模で追体験する人々がどれだけいるのだろう。
 幸いな事に、「なんだこの変なものは」「メタルなのかこれ」というツィートがわらわらと上がっている。この通過儀礼が無ければ今のBABYMETALは無かった。



 ウェンブリー後も色々と動きがあった。
 ウェンブリー公演のレヴュウはガーディアン紙、タブロイド紙、ウェブ媒体などで、ちょっと気持ち悪いくらいに高評価をされていた。
『METAL RESISTANCE』についても、NMEが辛いレヴュウをしているくらいで、総体的には高いアヴェレージとなっている。

 ポピュラー音楽の歴史に於いて、イギリスのアーティストは如何にアメリカを攻略するかを探ってきた。その為にメンバーも、音楽性すらも戦略的に変える事すら珍しくない。それだけの覚悟が要るチャレンジなのだ。
 しかし長い歴史の中で、UKとUS同時に攻略を図った例は無いのではないか。BABYMETALは更に日本国内でも攻めに掛かったのだ。

 たった7日間+αの期間の間に、極めて重大なライヴを成功させるばかりでなく、ロンドンとニューヨークの重要なメディア・ブリッジに挨拶回りをし、日本ではNHKが番組を放送して、これまで関心を持たなかった層を掘り起こした。
 これで一旦の公的海外活動 FOX WEEK は終わり、来月から北米ツアーが始まる。テレビショウの効果はその時に詳らかとなるだろう。

 私は実際に見ていないのだが、渋谷駅の地下で東京ドーム公演の宣伝が大々的に展開されている様だ。

 なるほど……。

 今年のBABYMETALは、自主公演を東京ドーム一本に絞るのだろう(新木場があるにはあるが)。
 夏のフェス出演は、まだ公表されていない日程がロック・イン・ジャパンなのだとすれば、日本の4大フェスのグランドスラムを達成する事になる。アミューズは一切持ち出しをせずに、数万、十数万もの観客の前に立つのだ。
 仕込もうとしたって無理な事を、BABYMETALは飄々とこなしていく。



 それにしても、コルベア・ショウの潔さはどうだ。紹介に「ガガのサポート」も「ウェンブリーで」すらも無く、コルベア自身が新譜を宣伝してくれるだけ。
 うざいテロップも全く乗らず、純粋にパフォーマンスを楽しませる。これが基本じゃないか。

 これは全くの余談なのだが、日本のテレビがUFOを扱う番組には心底腹を立てている。民放に限らずNHKも頭の悪い番組しか作らない。History ChannelやDiscoveryなどが作っているシリアスな取り組みの番組が無ければ、私など発狂していただろう。
 更に悪い事には、そうした米ケーブル番組の切り貼りをバラエティが流用している。タレントのワイプと巨大なテロップで汚して。
 心霊物に至ってはパル企画のフェイクを切り貼りするだけ。
 何の誇りもないなら、全てやめてしまえ。




 と憤怒で終わってはアレなので告知を。

Sharing

 立教大学の教授でもある篠崎誠監督の映画『SHARING』が、ついに、やっと公開される。
 私は一昨年の東京FILMEXで観る機会があった。
 黒沢清監督はこの映画を「社会派ダークファンタジー」と表現しているが、うーんそうも言えるのかもしれないが、表現に困る独自性を持つ映画だ。しかし決してその独自性は虚構の中だけで終始するのではなく、現実世界と確実に相互作用を持つものである。

 ホラー、SFの要素を持っている(特撮ファンは必見)が、エンタテインメントの本質としてこの映画は「スリラー」だと私は思っている。ジャンルとしてではなく表現として。
 少なくともこの数年に於いて、日本で「スリラー」を成立させた唯一の映画ではないか。

2016年4月 4日 (月)

NHKのMA、流石優秀。

 NHKが長く続いた音楽番組「MJ」の最終回前半として、「BABYMETAL革命 ~少女たちは世界と戦う~」を放送した。

 スタジオ収録されたライヴ、鹿鳴館へ3年振り(2回目から)に訪れてのインタヴュウ、マーティ・フリードマンとのトーク、そしてウェンブリーの映像を数十秒分だが見せるという濃密な40分だった。

 スタジオ・ライヴにはTHE ONEにて抽選、というよりも選抜が行われ招待された会員が盛り上げている。若い女性が中心で、絵面としての演出は正しいのだけれど……、いや、いい。

 かなり大掛かりな美術セットが組まれ(ラストでもう一杯分セットが作られている事に驚かされる)、綿密にリハーサルも行われたのだろう。
 3人はやや生硬さを感じる、手堅いパフォーマンスをしていたのだが、中盤の『KARATE』の頃には汗が滲んで、エンジンに灯が入った。
 やはり大会場の観客を前にした時とは、アドレナリンの出方も違うのだろう。
『KARATE』のパフォーマンスはまだ子細に把握していなかったが、SU-METALの視線の送りに大変強い感銘を受けた。
 通常のライヴでも、曲がエンディングに入ったらさっさと暗くするのは止めるべきだ。この表情をちゃんと観客に見せて欲しい。

 とにかくサウンドが良かった。もう何の文句もない正当なバランスでミキシングされていた。いや、アイドルの歌としてはヴォーカルがやや引っ込んでいるかもしれないが、ギターに拮抗して迫り来るSU-METALの歌はこうであるべきだ。
 ドラムの音もタイトで、『KARATE』のマーチング・スネアのニュアンスも心地よい。ベースがきっちりと中心に定位しており、バンド音を引き締めグルーヴを牽引している。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の凝りに凝ったギター・アレンジの面白さ(繰り返しが殆ど無い)も久々に堪能した気分だ(まあ普通のライヴではどうしたって3人を中心に観て聴いてしまう)。
 ウェンブリーのライブビューイングで不満だったものが、その日の内に満たされるとは何と出来過ぎなFOX WEEKだろう。

 クロージングには驚愕のボーナス・トラック『THE ONE -Unfinished Ver.-』が、その曲だけの為のセットで歌われた。
 英語の発音はやはりまだまだと感じるが、異様な説得力は間違いなくあって、今後このヴァージョンが披露される機会がそうあるとも思えず、これはNHK以外では作り得ないものだったと思う。

 FOX WEEKはまだまだ続く。次はアメリカのTVショウでのパフォーマンスだ(なので、ウェンブリーの終幕でSU-METALがスピーチした内容には些か疑問があった)。

 番組はまだ続いている。あ、水樹奈々のドラムでM永先輩発見。ご無沙汰してます……。

 という事で44の日。私は55になった。

2016年4月 3日 (日)

ウェンブリー・アリーナ公演 Live Viewing

 今晩、NHKが番組を放送するので、取り敢えず思いつきを記したが、あまりまとまっていない。
 ウェンブリーにはイギリス国内ばかりでなく、世界のコアなファンが集結していたが、どう観られていたかについては今回は触れずにおく。新プログラムについても然り。
 ただこれだけは書いておきたい。
「みみみ緑の電車――」などという歌を、臆面もなくロンドンで1万2000人相手に歌った事は歴史に刻まれるだろう。

 幾分冷静になってから書いているが、それでもZepp Divercityで見終えてまだ10時間も経っていない。


 これは苦行だなと思いながら赴いた。それでも観たいとも思っていた。

 以前私は本ブログで、ライブビューイングには関心が無いと書いている。国内の公演のLVは躊躇するが、今後BABYMETALは規模を拡大して世界を巡るだろう。LVの機会は増える筈だ。
 Zepp規模の立席会場でのLVは、全然アリだと思った。まず映写される映像が素晴らしい。4K解像度だと思うが(アスペクト比はIMAXに近い)、ほんの僅かなディレイでストリーム出来る高速回線とコーデックは見事に「金を取れる」コンテンツとなっていた。全く不明であった。
 後述の様にモッシュはほぼ不可能な客の詰め方だったが、充分リアルタイムで観戦している感覚は得られる。

 音響は……、傾向としては横アリライヴと同じものを目指していたのだとは思うが、誰しも思う様にサブウーファー域のローが出過ぎてミッドをマスクしており、ギターもヴォーカルも良くは無かった。これは会場での出音が実際そうであった様だ。

 私は最後に入場した客であったが、ドアを空けて自分が立てるくらいドアを背中で押していなければならなかった。2000弱程度の観客が来ていたが、率直に言ってオーヴァー・キャパシティであった。



 ウェンブリーはBABYMETALにとって試金石となるライヴだった。しかし私は全く不安を感じていなかった。
 昨年までは、海外に赴く前にはZepp等で会員限定ライヴを行っていた。しかし今回それが行われないのは何故か、私はずっと考えていた。
 もうBABYMETALは些かブランクが空いたとしても、ライヴ勘を失う事は無い。しかしステップアップする為には、新たな試練を乗り越える必要がある。

 それは単純にライヴのショー時間の延長である。

 ウェンブリーでBABYMETALは色々と新機軸を見せつつも、これまでの方法論は完璧に維持してみせた。「(ほぼ)ノンストップ/ノーMC/ノー・アンコール」そして「サポート演者なし」。
 それを過去に例のない、1時間45分程の長さで演じる。当然ステージは広大で花道もあり階段もあるのだ。体力的ペース配分など、過去の経験値だけでは計れない事をやらねばならない。ワンマンのアリーナ・ライヴなのだから当然だ。

 どこか大きなスペースで、BABYMETALは相当に特訓(リハーサル)を重ねたに違いない。
 改めて紙芝居インターバルというのは素晴らしい発明だったと感じた。
 二階のセンターには小型スクリーンを縦に設置されており、様々な演出を見せてくれた。誰しももう一度見たいと思っていた『Catch Me If You Can』の影絵演出はやはり息を呑む。

 ただ、では全てが巧くいったかと言えば、そうとは言い難い面もあった。
 冒頭の『BABYMETAL DEATH』は、ステージに先ず『KARATE』MVの白装束トリオがダミーで登場し、3人は出島の方に現れそこで演じる。直径5mも無い円形なので、どうしてもいつもの振付けよりも小さい動きになる。
 セットリストが進み、3人は決していつもと変わらない様に見えるのだが、果たしてこの小さな女の子達の動きが、大きな会場でどう見えているだろうと若干気になった。

 しかし、それはやはり本番の常なのだった。すぐにSU-METALは全開になっていき、圧巻の歌声を響かせた。柱のSU-METALが弾けだすと、YUIMETAL+MOAMETALも一層動きが大きくなっていく。

 次第に盛り上げるとか、緩急つけてといったオーソドックスなセットリストはBABYMETALには似合わない。攻めて攻めきる構成だった。次に何が出てくるのか予測がつかない、スリリングなセットリストだった。
 そして、それを最後までやりきれたのだ。
 やりきれると思ってはいたが、「See You!」を見終える頃になると、「うはぁ、やっちゃったよ本当に」と感慨が深かった。

 

 新曲は期待以上に演ってくれた。MIKIKO-METALは大変だっただろう。
『GJ!』『META!メタ太郎』や直近の『KARATE』も含めると一挙に演目が増えたのだから。
『Amore -蒼星-』は、「いつものSU-METALの独自振付け」が殆どの様だ。同じスピード・メタルという事もあり『紅月』とかなり同じモーションが多かった。

 ところで、私は自分でも意外な思いを抱いていた。
 これは紛れもなくアイドルのライヴだ。輝く魅力を持つヒロインが、己の持てる能力を熟知し、最大限以上に発現させるのを崇める様に観るショウなのだから当然だ。

 このブログで、使うまい使うまいと避けていた言葉が脳裏に浮かんで離れない。
 「か、かわいい……」
 尋常でなく、そう思わざるを得なかった。

 そして、これは私の錯覚かもしれないが、「さくら学院回帰」的な印象を抱いた。
 その主な理由は、『METAL RESISTANCE』楽曲の幾つかに原因がある。
 私の予想はさして当たらないのだが、黒ミサが映像商品化されるだろう事と、『GJ!』というタイトルの楽曲はさくら学院的なものかもしれないという点は実際その通りだった。

 メロディはコーラス部のみ(なのだが、ラップ部も完璧にシンクロする音の微妙な高低がある)という『GJ!』でのBLACK BABYMETALの歌声は、どうしたって2代目ミニパティのそれに近しい。今回のライヴではユニゾンだった。
【訂正】ファンカムはあまり見られていないのだが、『GJ!』は生でハモっている。2人にお詫びして訂正します。

 YUIMETAL+MOAMETALは、通常通りプログラムの構成に沿った表情を見せるのだけれど、『4の歌』が階段上からスタートし、2人がポーズを決めた後に階段を降りようとする瞬間、2人が顔を見合わせて笑っていた。
 そしてSU-METALが、もの凄くナチュラルに「うはー」という笑顔(かなり油断しきった)を幾度も見せていた。『ギミチョコ!!』であんなに笑っている顔は初めて見た気がする。
 勿論、カッコイイ系のプログラムでは完璧になりきっており、そのオンオフが明瞭になっているのが印象的だった。

 僅かではあるけれど、BABYMETALの表現には変化の兆しがあるのかもしれない。
『Amore』や『シンコペーション』の様な日本ドメスティックな楽曲も「敢えて」導入しているのだろう。
 アルバムでは「メタル」を強め、ライヴではもうちょっと「アイドル」を強めるといった変化は、単なる再生産を続けるプロジェクトなどではなく、進化させねばならないBABYMETALとして、必要な措置なのかもしれない。

 ただ、今回のLVで私がアイドル方向として愉しんだのは、良い理由ばかりでもない。
 神バンドは今回もテンション高い演奏を完璧にやってのけた。しかし残念ながらディテイルは伝わらない。ロックのライヴとしては愉しみ難かったのだ。
 やはり青山英樹が最も大変だっただろう。
 BABYMETAL楽曲の全般で多用されるキックの16連打は、良い音響であれば迫力となるが、今回の様な再生環境では粒も揃って聞こえず、バックトラックのシンセと同化してノイズと化する場合がある。横アリでもそうだった。

 キックの一発一発に気合いを入れた、ロックらしいビートをもっと尊重した曲が増える事を望む。アリーナの観客達もリズムに乗れたら、もっと楽しめるのだから。


2016年4月 2日 (土)

サム・ダンがBABYMETALを語る

 4月2日、『BABYMETAL』は3.5万枚を売り上げて既に累計は10万を越している。オリコンのデイリー・ランキング1位が報じられた。
 iTunes の4月1日づけの順位は5位で確定。

 前エントリのSlipknotクラウンのツィート、だと思ったのだが、私も元リツィートを保存しておらず、事実が確認出来ない。情報の奔流の中で見たものだった。間違いであればお詫びいたします。

 

Metalevo

 

 以前このエントリで言及したカナダの人類学者+メタル・ファンで、「Metal Evolution」などのドキュメンタリを作ったサム・ダンが、『METAL RESISTANCE』のレヴュウ動画を公開した。
 NuMetalやヘアメタルを嫌うサム・ダンがBABYMETALをどう見ているのか、個人的には興味を持ち続けていた。

 まだ私が知る限り翻訳されているところは無い。

【追記4/4】アルバムジャケットの画像が正しく差替えられた動画が公開されている。私の拙い記事をコメント欄でフォローして戴き、いつも感謝しているYOSHI-METALさんに教えて戴きました。ありがとうございます。



 彼は頭ごなしに「ギミック」と切り捨てはしていなかった。ジャケットが1枚目だったり、『Sis.Anger』は3人で歌っているなど、事実誤認も散見されるが、概ね肯定的(4曲くらいしか触れないが)。
 BABYMETALのライヴがメタルファンにとっても楽しいショウだという事も触れた上で、BABYMETALは「バンドではなくプロジェクト」であり、従って『METAL RESISTANCE』については星ならぬスカル2/4という点数だった。
 50%という点数は全く同意しかねるものの、メタルヘッズの権化であるサム・ダンの評価としてはそう悪くも無いと思う。

 BABYMETALを否定する意見として、「バンドではない」「プロデューサーが組み上げたものだ」という文言は嫌という程読んできた。
 ステージに立つBABYMETALはバンド以外の何者でもないと本ブログでは主張してきたし、プロジェクトがまるで必要以上に作為があるものだと見なすのは、あまりにナイーヴな見方だ。
 まあ今日はネガティヴな事はあまり書きたくない。

 FOXウィークになってしまい、仕事が「YAVA!」……。
 さて、これからライブビューイングに行く支度をしなくては。体力には全く自信が無いが、睡眠障害中なので起きてはいられるだろう。
 少し運動しておこうかと、31日は渋谷のタワー、新宿のHMVを巡った。渋谷タワーで、三人の衣装展示は見たが、VRは遠慮しておいた。
「Grind House」誌を探したが見当たらず、店員の女性に訊ねたら内線電話で「あのー、今日朝礼で言われてたBABYMETALの、あ、そこにありますか」と話しているので、恥ずかしかった。しかし入手は出来た。

2016年4月 1日 (金)

ドキュメント:FOX DAY

Ce8wpyrwiaa3_ws

 後に読む人の為に、出来事を記しておく。

 昨日から、BABYMETALの三人はBBCをはじめメディア訪問をハシゴしており、ツィッター等で写真が続々とアップされた。BBCはウェンブリーのチケットがSold Outした事を報じた。実際には追加放出の席が若干残っていた様だが、当日券としては売らないのだろう。
 まだ3月だからなのか、BABYMETALの三人の衣装には、横アリのSU-METALのコスチュームの様に袖がついている。Slipknotのクラウン(リーダー)が、「頼むからこの酷い袖を外してくれ」とツィートした。好きだったんかい! 何で写メ獲らなかったんだ。

 世界同時発売という触れ込みであった『METAL RESISTANCE』は、GMTという表記が無かった為、各国の日替わり時間で順次発売となった。
 日本では30日に有力CDショップがフライング販売をした為、海外のファンの間では怨嗟の声が上がった。

 何か大きな発表があるという示唆がFOX DAYと設定されていたが、日本時間0時に公式サイトが告知したのは東京ドーム公演の日時発表のみだった。
 11月だと報じた海外誌があったが、9月19日がその日だった。
 9月にして「ツアー・ファイナル」と銘打たれており、また座席は全席指定という異例なもので(NHKホール以来か)、あまりポジティヴな雰囲気はファンの間にも無かった。
 ただ、ドーム前に未発表の国内フェス参加も明かされている。

 オリコンが発表する日毎の推定売り上げ枚数は、公式発売日前の二日でも5万枚程度。発売日で7.5万枚とされている。これは誰しも意外に少ない数値だと感じただろう。
 ここまでの枚数にはアスマートの直販分やAmazonの枚数は未だ含まれていないという見方もある様だ。
 BABYMETALは、CDを多く売る事には傾注してこなかった経緯もあるが、今回ばかりは違う。
 普段、売り上げ枚数など全く関心を持たない私でも気になるのは仕方ない。


 FOX DAYはBABYMETALが何かを仕掛ける日ではなかったのだという事が判ったのは、昼頃になってである。
 昨晩からiTunesでのダウンロード販売は日本を皮切りにスタートしていった。時差毎に販売国が増えていく。日本で綜合1位は早々に獲得していたが、海外の動きは当初には緩やかだった。

 約20カ国でベスト1を獲得し、数十カ国で高い順位を得ている。イギリスではメタル・チャートで1位(総合9位)、アメリカの総合では一時3位を得ていた。
 リアルタイムの順位なので、この勢いが続くのかは見えないけれど、FOX DAYの日、BABYMETALがパンデミック的とも言える程、世界に受け入れられるとは予想だにしなかった。

 海外で売れる事の目安としてビルボードが先ず挙げられるが、これはアメリカのチャートだ。
 ネットの時代になりiTunesがインフラ化して以来、こうしてリアルタイムで世界での売り上げが判ってしまうのも、かつてには想像出来ない事だった。
 ずっと以前なら、海外で活動したアーティストが成果を残したとしても、それを日本の一般人が知るのは数ヶ月後に雑誌によってだったのだから。

 北欧、東欧、当然にして東南アジア圏、更にグァテマラなどの南米国が『METAL RESISTANCE』を1位に押し上げてくれた。来年はこうした国々にも回って欲しいものだ。

 ウェンブリーのすぐ後に、BABYMETALはアメリカのTVショウに出演する。アメリカのチャートがそこからどう推移するのか愉しみでならない。

 これだけ爆発的な浸透を果たしたのは、メタル・コミュニティの支持(と反発)が基礎にあるだろうが、アルバムを購入するまでの強い関心を得たのは、やはり『KARATE』MVの効果だろうと、現時点では思っている。
 BABYMETALがどういうユニットであるのか、視覚的、音楽的なプレゼンテーションが完璧であったのだ。

「ヤングギター」誌の次号がBABYMETAL特集で、ギターを抱えた三人が表紙となる。これも事件である。
 更にNHKの放送でもウェンブリーの一部が編集されるらしい。


 さてこれから、どんな風景をBABYMETALは我々に見せてくれるのだろうか。



23:30追記:
『METAL RESISTANCE』はiTunesのワールド・チャート総合で3位となっている。
 Amazon USの配信では1位となった。

 浅田真央はFOX DAYではなかった……。

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »