« 2016年4月 | トップページ | 2016年6月 »

2016年5月

2016年5月31日 (火)

BABYMETALはメタルなのか その1

 ご大層な表題にしてしまったが、もやもやと考えている内に、もうワールド・ツアーも第2節欧州ラウンドが始まってしまう。考えが定まっていないにも関わらず見切りで取り敢えず提起する。「こういう事を考えてますよ」というアリバイ証明で、断続的に書き継いでいく予定だ。


 BABYMETALがネット媒体でクローズアップされるや、コメント欄が設置されているとヘイターとファンが罵り合う状況は2011年来連綿と人を入れ替え続いてきている。それ自体はともかくとして、そうしたものとは一線を画する出来事が今月頭に起こった。

 ノース・キャロライナのフェスでBABYMETALはアリス・クーパーやロブ・ゾンビと写真を撮った事は本ブログでも記したが、ロブ・ゾンビが自身のFacebookにもBABYMETALとの写真を上げたところ、非難するコメントが幾つか書かれる。普通ならファン同士でのやりとりとなるが、ロブ自身が諫めるコメントをしたのだ。
 完全匿名の4chanやハンドル運用のRedditと違いFacebookは本名でのコミュニケーション。流石に非難コメントをした人達は自分のコメントを削除したが、このやりとりはスクリーンショットに撮られて拡散してしまった。
 更に、これまでになかった事であるが、BABYMETAL JAPAN(公式)が感謝のメッセージをロブに寄せた。これにも多くの賛否のコメントがついた。

 この一件はアメリカのHuffpost Woman等ウェブ媒体では広く報じられた。しかし私が知る限り、Metalsucks以外のメタル媒体はあまり積極的には報じていなかったと思う。
 いずれも「ロブ、よく言った」「ヘイターは恥を知れ」といったトーンが支配的で、BABYMETALシンパサイザーとしては胸を撫で下ろせたのだが、CMUだけはややシニカルなトーンでこの一件を報じていた。

Cmu

CMU Beef Of The Week #305: Rob Zombie v Babymetal Haters

翻訳


 BABYMETALをあまり認めたくない気分は横溢しているものの、皮肉に満ちた論調ではあるものの、この筆者の指摘はとても正しいものだと思う。
 ヘイターへのロブのコメントは、真っ正面から応えずBABYMETALが如何に良いかという話題にシフトしたものだし、BABYMETAL JAPANの感謝の辞は、言いたい事は判る気がするものの、確かに正確に何を言っているのか判断がつかない文句であるのは事実だ。

 BABYMETAL JAPANがライヴ直前や直後に発する英文ツィートは、おそらくはKOBAMETALが述べた事をNORAMETALが翻訳して発しているのだと思う。
 この本意の伝わらない感というものには既視感があるのも当然で、BABYMETALが受け応えるインタヴュウにて、メンバーのパーソナルな感じ方ではなくBABYMETALとして問われる大枠の質問には、KOBAMETALが彼女達に「説明」したロジックを、SU-METAL達が自分なりに咀嚼して答えているのだと考えている。ここで曖昧さがどうしても露出してしまうのだ。
 勿論、それを非難したい訳では無い。公式的なQ&A模範解答例は在って然るべきであるし、インタヴュウ毎に言う事がころころ変わるのは良い事では無い(かつてのジャズやロックのスターにはよくあるあるなのだが)。

“Thank you Rob! The spirit of HEAVY METAL traversed across the world, rose above language barriers, went beyond generations and created countless legends”.

 さて、これによるとBABYMETALはヘヴィメタルには精神性があるのだと規程している。
 ジャンルではなくスピリットなのだと。
 いや気分としては判る。しかしヘヴィメタルに高い精神性があると言われると、いやいやちょっと待ってとは思ってしまう。
 しかし、では「ヘヴィメタル」とは何かという極めて基本的な規程はどうなのかと立ち止まって考え直してみるのだが、これは実に簡単に決めつけられない。

 私はメタルも好んで聴いてきたリスナーだが、満遍なく聴いてきた訳では無い。本ブログを立ち上げる前に、メタルサイド観点から論じたブログが幾つもあったので、「あのリフはあの曲から」といった事についてはリンクを張るのみに留めてきた。

 さあ困った。
 サム・ダンによるドキュメンタリ『Metal Evolution』では、ラウド系は全てメタルだと言わんばかりに間口を広げていた。KISSもRUSHもメタルだ、というのもちょっと無理がある気がするのだが、何よりもRUSHを愛する彼がそう言うのだからアリなのだろう。日本ではハードロック/ヘヴィメタルが併記され、併存しているのだが、これもよく考えるとおかしな事ではある。
『Metal Evolution』は、そうして広く扱う一方でコア系、エモやスクリーモ類は微塵も触れなかった。ギリに譲歩してNuMetal留まり。スティーヴ・ハリスを煽ってパンクを罵らせ、自分は全くコメントしていない(ただ、パンクの観衆が今のラウド系ライヴ観戦スタイルの元祖となった経緯は正しく指摘している)。

 しかし今のラウド・ミュージックのベーシックな音像にあるのはメタルコアだろう。

 何を以てメタルと呼べるのかは、簡単な様で難しい。
 バンド毎に色分けするのが最もクリアではあるが、同じバンドが音楽性をシフトさせる事もあるので、万能な判別法とも言えない。

 BABYMETALを識ろうとネットを潜航している頃、ある板でこういう趣旨の書き込みを見た。
「ハードロックからブルーズ性を抜いたのがメタルだよ」

 これを読んだ時は「なるほど!」と膝を叩いた。
 しかし……、ヘヴィメタルの開祖であるBlack Sabbathはと言えば、「War Pigs」などMuddy Waters直系のブルーズそのものではないか。

 やはり私個人の捉え方となると、サウンド・スタイルが先ずあって、更にはアーティストのアティテュードが「メタルか否か」を決めているのではないか、今現在は思ってる。
 これについてはまた改めて書こう。







2016年5月27日 (金)

「アニソン」ぽさとは何か

 本ブログで「ニッポンの編曲家」を勝手に紹介したところ、編集された方から感謝のメールを戴き、アニメ主題歌に関する本も出されているというので、是非読みたいと思った。
 BABYMETALの楽曲を初めて耳にした人の感想で「アニソンみたい」という表現をよく目にする。
 多くの場合はネガティヴなニュアンスを内包している様なのだが、これについては言及しておかねばならないと思っていたからだ。

 私が小学生時に自分の小遣いで購入したシングル・レコードの多くは「テレビマンガ主題歌」なのだが、最初に買ったのはキャンディーズのデビュウ盤「あなたに夢中」であった。その後キャンディーズのファンになった訳ではないのだが、キャンディーズとBABYMETALには多くの共通点があるので、これは改めて考えよう。
 6年生になると、ジョニー・ウィンター・アンドのライヴ・シングル「Jumpin' Jack Flash」とかツェッペリンの「Living Loving Maid」(シングルで出ていた)も聴き始めるのだが、私の音楽嗜好性は後にアニソンと呼ばれるテレビマンガ主題歌群で培われた事は間違いない。
 本ブログでも幾度か言及してきたが、中でも渡辺宙明による楽曲群は完全に私の血肉となったと言える。
 中学生時からジャズも聴き始めるのだが、それも今になって思えば渡辺宙明が多用したコード・トーンの下地があったからだと判る。

 私にとってアニソンと言われると、70年代までのそれであり、多くの専門作家達が自身の個性を前面に出して作られた至宝の音楽だ。
 90年代以降、アニメのオープン+エンド(オープニング+エンディングテーマ)はJpopアーティストのタイアップが主流だと認識しており、現在のアニソンはJpopそのものである。
 強いて「アニソン」的な感触を与える楽曲傾向がもしあるとすれば、いかにも優秀なアニメーターが動かしまくりのオープニングを描きそうとか、斬新なモンタージュで攪乱しそうといった視覚性を喚起する、トリッキーな展開部を持っているというものか、ヒーロー性を謳い上げる様なメロと歌唱といったところだろう。

 昭和のアニソンを私は単に好きであり続けてきたが、それがどうして優れていたかは一度きちんと考える必要があると思っていた。
 そこで送って戴いた本は、非常に私にとって好都合な本だと期待していた。

81vff5wxuml


「解析! 昭和のTVアニメ特撮 主題歌大百科」
耳に残るメロディを牽引した匠のコード・プログレッション330 ガモウユウイチ



 実際に手にすると、到底ざっと通読して済ませられる様な本ではないと判る。
 著者はユニークな経歴で、最初は出版社勤務をされた後に、様々なミュージシャンの門下生となり音楽を学んだベーシスト。本書はいかに昭和のアニソンが凝ったコード・ワークを用いていたかを簡潔に記されている。
 数多くの楽曲を検討する事で全容を掴もうという野心的な構成であり、手元にギターや鍵盤が必要かもしれない。
 作曲家毎にまとめられているのだが、最初に扱われているのが渡辺宙明であり、殆どの音源をCDでも所有しているものの、これは渡辺宙明集を手元に置いて読まずにはおれないと調べると、氏は本年で卒寿を迎えられており、記念コンピレーションが何種も発売されていた。

 渡辺宙明は実はネイティヴなジャズ畑出身ではなかったが、アメリカから帰国したばかりの渡辺貞夫が催していたジャズのスクーリングに参加し、ジャズ界の奏者やコンポーザーと交流を持ちエッセンスを吸収していったのだった。
 クールな感触、複雑な響き。シンプルなリフとグルーヴ溢れるリズムは今尚心躍らされる。

「解析! 昭和のTVアニメ特撮 主題歌大百科」は、一般リスナーには薦め難いものの、演奏経験がある人、今音楽を作ろうとしている若い人にとっては極めて希有な資料となる筈だ。


 

 BABYMETALの楽曲では、『Road of Resistance』が「アニソンぽい」と言われた時期もあるし、『シンコペーション』はしばしばそう表現される。
 メタル、洋楽っぽさが薄い、メロディアス過ぎるという印象論に過ぎない。
 個人的には、Jpop的だという事を「アニソンぽい」という言い方をするのはやめて欲しいと思っている。


 アニソン、ではなくサウンドトラックなのだが、
『ウルトラマンガイア』サントラのリマスターボックスがリリースされた。
 私は発売直前に知って自腹で購入した。

51lgtdhhlcl
ウルトラマンガイア O.S.T リマスターBOX
佐橋俊彦

 3枚出されたサントラ劇判集と、映画のサントラ、更に未発表音源(主にヴァージョン違い)を集めたスペシャル・ディスクという5枚組。
 復刻版3枚の劇判集の内、3枚目は何故か原盤よりも曲数が増えている。
 これは、ボックスリリースを発表した後にDATテープで発見された、「迷宮のリリア」用の新曲と、最終章の「天使降臨」の音源がシークレット・トラック扱いで収められているのだ。特に「天使降臨」のメロディは私個人的にも思い出深いものだったので、これが聴けたのは嬉しい驚きだった。
 ボックスとは言え高価格の商品ではあり、もうちょっと手が出しやすい設定にしてくれたらと思うのだが、余裕ある方は是非。

2016年5月25日 (水)

MAX MOA-YUI

 また更新が長く出来なかった。

 BABYMETALは5月前半、アメリカ東部を疾風の様に駆け抜けるツアーを貫徹した。
 二夜続けてのライヴが幾度もあり、フェスにも二つ出演し、あまりのハードさに懸念する人も多かったが、無事にやり通せた様だ。
 3人は常に完璧なパフォーマンスという訳では無かった様だが、寧ろそれがあるからこそのライヴであり、更に高みへ上がる契機でもある。
 観客と共に行うパフォーマンスはツアー途中でも変更が加わるなど、「もっともっと」熱い、良いものにしようという気概を感じさせられる。

 このツアー中BABYMETALを巡って、ある意味では過去に例の無い事態が起こっており、色々と考えさせられているのだが、軽々に書き難いと思っている内に仕事の〆切りと体調低下のコンボ(まあいつもの事ではある)に見舞われ、更新が延びてしまった。

 本ブログも幾つかアンテナ・サイトに登録をして戴く様になり、大変有り難いとは思いつつ、あんまりにもBABYMETALと無関係そうなエントリ(のタイトル)を上げるのは拙いだろうなぁという意識も働いていたのだが、まあ余談の方が圧倒的に多いのが本ブログのこれまでだったので、どうか寛容に見て戴きたい。

 4月にニューヨークでテレビ出演した際、YUIMETALの履いていたスニーカーが話題になった。
 リア友のHAGARI-METALはそれ以前に注文したらしいので、モデルが違う。

The_one

 NIKE党員の私は夏用をあつらえた。いい加減マンネリとは思いつつ。

Maxmaoyui

 で、YUIMETALの履いていたReabock InstaPumpFuryも一足買ったのだけれど、うーん私の足にはあんまり合わない様だ。




2016年5月 9日 (月)

『METAL RESISTANCE』RAL US盤

 BABYMETALはノースカロライナ州のCalorina Rebellionフェスに出演した。
 サード・ステージ、トリのAlice Cooperの前の出番。どれくらいの人が集まったのか、ちょっと感覚が掴めないのだが、少なくとも詰め掛けた観客は登場前から盛り上がる気満々で、凶悪な30分だった様だ。
 フェス出演の楽しみと言えば「ズッ友」こと著名アーティストとの記念写真蒐集。
 のっけから超大物をゲットしている。

Alice

Zombie


 いやはや……。
 この一種のゲームも、それを発表する相互のSNSの活用に於いても、BABYMETALは費用ゼロのパブリシティとして恐るべき程にメリットを得てきた。
 しかも、BABYMETALのアーティストとしてのアプローチ同様、余程恥知らずでなければ同じ真似など出来ないという特権も同時に得ているのだ。
 無論そんな事まで計算尽くだったのではない事は断言出来るのだが。

 ホラー映画監督としてのロブ・ゾンビは、まぁまぁ評価している。



 十枚以上は買ってしまった『METAL RESISTANCE』だが、RAL US盤は結局Mystery Bandleセットでのみ購入していた為、到着がつい先日となった。
 盤自体はearMusic EU盤と同じだろうと思い込んでいた。普通に再生するとやはりそうだという感覚ではあったが、解像度の高いイヤフォン(UE900s)で聞き比べると、僅かに違いが確認出来た。EU盤よりUS盤の方がほんの僅かにクリスピーなのだ。楽曲にもよるのだが、3人の歌声が若干前に出てくる。
 ただ、傾向はほぼ同じであり、わざわざ改めてUS盤を買い求める必要は無いと思う。イヤフォンで聴きこみたい人にはお勧めしておく。
 マスタリングがまたも違っているとは考え難く、製造工程の微細な違いによるものだと思う。



2016年5月 7日 (土)

「BABYMETALはその壁を壊したんですよ」

 BABYMETALはニューヨークの翌日にはボストン House of Bluesでライヴを行い、当然の様に熱狂的な空間を作り出した。

 ダウンロード・フェスティヴァルには、フランスでの開催は以前からエントリしていたが、大方の予想通りUKでもフランスの前日にメイン・ステージ3番手(恐らく)で出演する事がアンディ・コッピングによりアナウンスされた。
 昨年のいきさつを本ブログではここで書いている。

 一日空けてフィラデルフィアでまたライヴ。ツアーはまだまだ続く。

 NHK「BABYMETAL革命 ~少女たちは世界と戦う~ 完全版」は、やはり非常に良く出来た番組だ。
『ギミチョコ!!』に直結で(ちょっと編集点は入っていたが)『あわだまフィーバー』の頭のシンセが鳴り始めたら、図らずも鳥肌を立ててしまった。この曲の「始まるぞ!」感は並外れている。
 このスタジオライヴのSU-METALはともかく絶好調であり、神バンドの音も最高なので、これは音だけ抜いても愉しめそうだ。

 1分弱ほどマーティ・フリードマンとのトークも増えており、本放送よりも意味が通じる内容となっていた。
 YUIMETALの「日本語でやっていく事が海外でも通じるのか」といった質問に対し、マーティは「確かに難しい。だけど、BABYMETALはその壁を壊したんです」と述べていた。
 これはその前の振付けについて、マーティが「手話に近い」と言っていた事にも繋がっている重要な言葉でありながら、本放送では削られていた。
 恐らく本来作られていたのが「完全版」であり、「MJ」の枠内に収める為に5分オミットせざるを得なくなったのかもしれない。
 いずれにせよNHKには感謝するばかりだ。

2016年5月 5日 (木)

NYC公演終了

 出来事のみの記述。
 BABYMETALはニューヨーク Playstation Theaterでライヴを行い、北米ツアーを開始した。
 既に北米の単独公演は全てソールド・アウトとなっている。

 BABYMETALの3人も神バンドも好調な様だ。前エントリのコメント欄で行かれた方が報告されている。
 袖にいた誰かの声がオンマイクになっており漏れた椿事があった。
 誰の言葉かは判らないが、何となく状況は想像出来る。
 幕が落とされてからすぐさまモッシュ・ダイヴで、舞台上に関係無くひたすら歓声を上げるばかりの観客よりも、セットリストが進んで次第に盛り上がっていく観客の方がリアルであり、私には良いと思う。ウェンブリーの観客もそんな感じに見えた。
 いずれは何処でどれだけ大きな会場で演るにしても、最初から熱狂的な観客になっていくのだろうが、その環境に甘えていては成長出来ない。
 そうやって観客が甘やかして駄目になってしまったアーティストの悲劇は幾例も思い浮かぶ。典型的なのはジャコ・パストリアスであるが、今それに細かく触れる時間の余裕がない。

『KARATE』の中盤に短いMCとCall & Responseが設けられた様だ。そうやって動的にプログラムを変えていくのは全く正しい。次第に様(さま)になっていくのは間違いない。

 トラブルもあった様だが、紙芝居は皆無だった様だ。本編紙芝居インターヴァル無しとは何と過酷で攻めているセットリストだろう。今年もまたワールドツアーは修行の旅でもある様だ。

2016年5月 4日 (水)

キレてないですよ?

 WOWOWのウェンブリー・ライヴ番組の正式タイトルが「Road to Wembley ~Live & Interview"」となった時点で察するべきだったかもしれない。またライヴ当日から一ヶ月しか経っていないのだから、こうなるのは当然であった。
 放送されたのは曲のみで、7月に「拡大版」が放送されるとアナウンスがあった(勿論完全版ではない)。

 多くの視聴者が阿鼻叫喚となっていた様だが、私は昨年の「新春キツネ祭り」の時に痛い目に遭っていたので、今回は若干の落胆で済んだ。

 完全版は9月頃には出るだろう。

 これは常々思っていたのだが、BABYMETALのライヴに於ける出音は極端に低音を上げすぎている。迫力を出そうという意図だと思うが音楽的には拙い(そしてヴォーカルEQはハイを上げすぎ)。
 しかも悪い事に、そこで録音された音源の中低音を被りの除去したり整理すると、今回のウェンブリーの様に中低音部がスカスカになる。横浜アリーナのライヴ映像は随分良いと感じていたが、明らかに再び後退した。The Late Showも同じ傾向だった。
 ハウリングなどのノイズはピンポイントで修正されていた。この辺りの補正プラグインは今は随分性能が上がっている。

 照明も暗いし、3人を魅力的に見せる努力は足りていないとも思う。
 SU-METALの歌も、横浜アリーナのレヴェルまでには至っていない。

 あまり準備が出来ず、殆どぶっつけに近い状況だった様なのだが、しかし会場に来た観客も有料放送を見ている我々にとってもそれは関係の無い事ではある。
 何にせよここでライヴを実現し、充分な成果を得たという事実はあまりに大きい。

 番組の半分がインタヴュウと、過去のイギリスに於けるライヴ映像という構成は、これまでのファンを苛立たせるものだった。しかし初見の視聴者が多かっただろうし、これもアリかもしれないとは思った。
 ただ、使われる曲がどれもこれも『イジメ、ダメ、ゼッタイ』『Road of Resistance』『ギミチョコ!!』ばかりであるのは、全くセンスが無い。
 同じ番組内でこれらばかりを聞かせられると、これらの楽曲にネガティヴな印象が付帯しかねない。選曲がAmuseなのかWOWOWなのかは判らないが、これについては糾弾しておく。
 特にWOWOWは、過去のライヴと2階建て3階建てで放送するのが編成のルーティンになっているのだから、選曲にはセンシティヴに当たるべきだ。

 曲分を見られたに過ぎないが、ライブビューイングで見ていた映像とあまり差が無かった印象だ。

『THE ONE』の「ラララ」と歌うところで自分の国の国旗を掲げようというプロジェクトがあった事は私も事前に知っていた。
 その場面になると、観客席を見たいと思って画面を見ていたのだが、現地のスィッチャーはステージに近い客席上のクレーンショットを映すばかりで、引きの画が全く無い事に少し苛立ったのを思い出した。
 今回の放送では『THE ONE』はオミットされたが、旗プロジェクトの成果が今後編集で補完される事を願っている。

 印象的だったSU-METALの弾ける姿は『ギミチョコ!!』で見る事が出来た。まるでさくら学院の「もってけ!セーラー服」ダンスが復活したかの様な笑顔とダンスだった。

『KARATE』は横アリよりも明らかに3人の歌唱もダンスも練度が上がっていた。ここは流石に唸らされた。

2016年5月 2日 (月)

NHK再放送の法則

 4日にはWOWOWでウェンブリーのライヴ&インタヴュウが放送される。何と一ヶ月しか経っていないというのにこれは早い。
 そしてNHKが先月放送した「BABYMETAL革命 少女たちは世界と戦う」の完全版が6日深夜に放送される(一部地域を除く)。
 スタジオ・ライヴで収録しながら放送からオミットされていた『あわだまフィーバー』が見られる様だ。
 NHKがこんなに早く再放送するとは驚きだ。
 NHK番組の再放送については、こんなコピペが存在する。私は4,5年前にスケート板で見ていた。

NHK再放送の法則
1.本放送を見忘れると、再放送も見忘れる
2.再放送を期待して裏番組を録画すると、二度と視聴・録画できない
3.再放送がないと思って、きちんと視聴・録画すると、何度も再放送される
4.長らく再放送を期待している番組の再放送を存在を知るのは
  再放送が終わってから数時間後である
5.運よく再放送に気がついても放送時間変更でずれる
6.シリーズ物の再放送を見逃す・録り逃すのはいつも同じ回である
7.どうでもいい回ほど繰り返し再放送される


 私にはこの法則の幾つかに実際の体験がある。お願いだからEテレは「日本人は何を考えてきたか」をリピートしてくださいお願いします。

 NHK番組の多くは、ケーブルやスカパー、ネット経由などでNHKオンデマンドによって見られるのだが、音楽番組に限ってはこの範疇外だ。
 ともあれこの再放送自体が相当に異例であり、NHK(の音楽セクション)がBABYMETALへ掛けている期待の大きさの現れだろう。
 出来る事なら2014年末に放送され、私を引きずり込んだ元凶でもある「BABYMETAL現象」も再放送して欲しいものだ。今度はBSのフルHDで。

 バラカン発言の後、萩原健太と近田春夫が雑誌などで不用意な言説を発表しており、それへの不満も含めてコメント欄は膨大なテキスト量となっている。
 私はピーター・バラカンにはシンパシィを感じてきたし(音楽の趣味は近い様で遠い)、近田春夫の週刊文春の連載「考えるヒット」は、かつては鮮烈な視点で歌謡曲を捉えていると思った時期があった(もう十年以上も読んでなかったけれど)。
 BABYMETALには踏み絵の様な作用もあるのだ。
 そもそも今BABYMETALを好きな人の中で、最初に違和感や嫌悪感を抱く要素が全く無かった人など殆どいないのではないか。判る人には判る筈なのだ。しかしその予断はあまりにも強固であり、容易に崩せない。

 幾度か本ブログでは、アンチの人々への反論的な主題を書こうとしたが、そうして自分で見ない事には何の説得力も持たないのだと諦めた。

 BABYMETALのメタ性についていずれきちんと説明をせねばと思っているのだが、連休明け暫くまでは落ち着いて書けないので、気を長くしてお待ち戴ければ幸いだ。ただメタ・メタル性については既に判っておられる方もいるだろう。

 雑誌の特集ラッシュも「ROCKIN'ON JAPAN」の別冊を以て一段落した。
 最後発なだけあって、これまでの雑誌に於けるBABYMETALの扱い方とは異なる切り口が興味深かった(写真も素晴らしい)。しかしなんでインタヴュワー名の明記が無いのだろう。本誌側にありました。すいません。
 先行して発表された談話の断片が、あまりにアーティスト然というか、ポエティックだったので実は相当心配していたのだが、実際のインタヴュウの流れでは自然な発言だったので胸を撫で下ろした。
 基本的にこうしたインタヴュウは、インタヴュワーが予め構築したストーリーをインタヴューイーにぶつける事で成り立つ。
 BABYMETALの、特にMOAMETALは相手がどういう答えを望んでいるのかを察知する能力が高い。

 凡庸な質問には、BABYMETALは必ずやテンプレートの答えをする。まだ多くの人々がBABYMETALを知らないという前提であり、それは正しい。正しいが、ファンにとってはつまらない。

 過日のMTV Japanが放送したBABYMETAL特集番組は、質問者の声を伏せて三人で自由雑談をさせる様な形式に編集されており、新鮮だった。

 雑誌のインタヴュウ記事群は、まだ一通りさらっとしか読んでいないのだが、質問と答えの半分以上はテンプレート。しかし偶に、ある雑誌でしか言っていない様な記述(これはKOBA-METALが特に)があって、一度きちんとノートをとらねばならないとは思っているのだが、そんな時間がとれない。
「ヘドバン」誌の久々の直撃インタヴュウでは2015年のワールドツアーが振り返られており、私個人的にはこれが最も興味深かった。
 本ブログで「こうなんじゃないか」と漠然と類推していた事、三人を忖度していた事とあまり乖離していなかったからだ。
 SU-METALは今回の取材攻勢中の発言で、自分自身を客観視している表現を度々述べている。
 かつてはまさに「神が降りている」状態でパフォーマンスを一心不乱にしていた彼女だが、その時期は過ぎて、自覚的なプロフェッショナル・パフォーマーとなった事の証明である。勿論今でも、ライヴ佳境に入れば即座にゾーンに入るのだから心配無用だ。
 そしてその契機はやはり、2015ワールドツアーのスタート地・メキシコシティでの公演だったのだ。
 2015ワールドツアーは、そう謳ってはいなかったものの、ワールド規模の修行ツアーであった。その結実がツアーファイナルである横浜アリーナであった事を思えば、より感慨深くなる。あの時のSU-METALは、私自身の認識を改めさせる程に凄かったのだから。


« 2016年4月 | トップページ | 2016年6月 »