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2015年10月 4日 (日)

完璧な復帰

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 浅田真央は3日、Japan Openに復帰戦として出場した。

 僅かにミスがあっただけで、トリプル・アクセルもトリプル・ルッツも成功させた。
 ジャンプは500日以上試合に出ていなかったとは到底思えない程の安定度だった。
 所作やスケーティングは、復調しつつあった2012-13シーズンの様な印象を受けたが、出場した他選手との対比では図抜けていたと思う。

 今季はExhibition含め3プログラムともローリー・ニコルの振付け。非公式戦であるJapan Openはフリーのみを競う試合だった。試合直後に開催されるショウでは、アンコールで少しショートのステップを演じた様だ。
 浅田真央がローリーのところ(カナダ)へ一人で空港からレンタカーで来た、という記事を見て喫驚した。そう、もう彼女は25歳の女性なのだ。

 フリー「蝶々夫人」は、いかにもローリーらしいプログラムだった。
 例によってジャッジ席を「正面」にしない。
 バレエのピルエットの様なアップライト・スピンで、顔を静止させる方向は上手斜め前方。この瞬間をきっちり正面で捉えたテレビ東京のフィギュア放送中継スタッフは本当に素晴らしい(実況アナには不満を抱いたが)
 久々のイーグル、トゥステップが織り込まれ、衣装は「誓い ~ジュピター」を想起させるシルエット。
 これほどまで「浅田真央らしい」プログラムはないかもしれない。



 このブログは長らく更新を滞らせているので、最早見ている方はあまりいないと思う。
 浅田真央について、私なりの一つの見地は実は「光を継ぐ為に ウルトラマンティガ」という書籍に書いてしまっていた。
 タイトル通りこの本はあくまで特撮ファン及び若き映像クリエイター志望者の為に書いたものなので、スケートファンの目にはあまり留まる事は無かっただろうし、その部分の為だけに本を読んで欲しいとは到底言えない。

 ただ、この原稿を書いている時に「ヒーロー論」という切り口で私が語ろうとすると、どうしても現実の浅田真央の事が浮かんでしまっていたのだ。
 物語作家を業とする私なりの浅田真央論が書けるかもしれない、と始めたブログの結論を、書籍で結論にしてしまうかの様な形で、済し崩しに終えてしまう事には相当な苦渋を感じていた。

 しかし、アクティヴに書いていた頃とはやはり、私自身の中で書こうという気力が続かなかった。
 それは浅田真央が競技を休養していたからではない。
 ソチ後のISUが策定したルール変更が、全く私のフィギュアを見る愉しみと乖離している事に絶望したのだった。
 なるべくプレッシャーを軽くして、良い演技をする選手を観客は見たいのではないか。
 滑る前に萎縮させる方向のみのルール変更、採点システム変更にしか思えなかった。
 ヴォーカル曲使用を可とした事にも大きな疑問があり、それは本当に選手や観客が望む事なのかと猜疑心が強まった。

 もうプロトコルを見る事も苦痛に感じる程になっていたのだ。

 しかし――、それでも浅田真央は選手として復帰しようとしていた。
 如何に不条理なルールや採点システムであろうと、浅田真央はそれに適合しようと練習を始めた。
 アクセルは、もしかしたら過去どの時よりも力まず、しかし速く、高く跳んでいるかもしれない。それは事前の報道で知っていた。
 だがルッツのエッジまで修正しきるとは思わなかった。見くびっていた訳では無い。しかし人間には限界や癖はどうしたってあるもので、偶々最初にそう跳んだ人物の飛び方を何が何でも踏襲する意味が、私には判らなくなっていたのだ。
 それでも浅田真央は直してきた。佐藤信夫コーチと粘り強く練習をして。

 ひたすら減点を厳しくするルール変更で、同じジャンプを3回跳んでしまうと最後のジャンプは全く点が得られなくなっている。
 浅田真央は今回、セカンド・ループが勢いが足らずダブルになってしまうミスをした。
 すると後半、予定ではダブルだったループを1回転に留めるというリカバリをしたのだった。
 4分の、女子としては限界の様な演技の中でひたすら冷静に自分の演技を認識していた事にも驚く。
 ※実際にはセカンドをトリプル・ループにして跳ぼうとしていたらしい。

 ただしかし、何より演技を終えた時の心からホッとした笑顔は、浅田真央しか見せられないものだった。
 これが見られただけで私は満足だった。


 一年間、スケートの情報は殆ど目にしていなかった。
 浅田真央のスポンサーが倍増している事にも驚いた。
 フィギュアのシーズンがこれで本格的に始まった事になる(国内の地区大会やジュニアGPは既に始まっていた)
 私は以前の様に、フィギュア競技全体を勉強する意欲はもう持てない(もう一つのブログの存在もある。ここでこういう記事を書いていた。)。
 しかし浅田真央については、変わらぬ関心を抱くし、見ていこうと思っている。

 従って本ブログは、彼女の試合を見た時など、非常に不定期にだが、書きたい事があれば更新していくと思う。
 月に一回でもチェックして戴ければと願う。

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コメント

小中さんこんにちは。
さいたまアリーナでの興奮さめやらず、勢いでこちらのブログにもお邪魔してしまいました。
何だか追っかけみたいで…スミマセン。
ブログを中断された経緯、理解いたしました。
続きは書籍で拝読したいと思います。

まずは復帰&復活(?)、おめでとうございます!

はじめまして 浅田真央ファンでベビメタファンでもあるtatsu maruです。
BABYMETAL私論も楽しく拝見させていただいてます。
真央さんの復帰戦、すばらしい演技でしたね!
実はJOでの彼女の滑りはあまりいい印象がなくて、あまり期待してなかったのですが、ジャンプの完成度・表現力とも想像以上でした。
昨シーズンから採用されたヴォーカル入りの曲も滑りに良くあっていましたね。
今回プロトコルをみてルッツには「!」がついてましたがそれ以外のジャンプには刺さってなくて逆にびっくりしました。こういう採点がずっと続くといいのですが・・・
今後も両私論とも楽しみにしてます!

 ダンコさん、tatsu maruさん、コメントありがとうございます。

 先程、Carnival On Iceとネオスポの録画を見ました。
 エキシの演技も素晴らしかったです。
 しかしアンコールでショートのステップをあの衣装でやると、とてつもなく疲れるのでは……。しかし、いずれ慣れていくのでしょう。
 今シーズン公式戦後のエキシでも、アンコールを多く観たいものです。

初めまして!

更新されるのをずっと楽しみにしてました(^-^)/
そして、また楽しみにしています!

私たちの大好きな真央ちゃんの素敵な演技が見れる事の幸せを共有出来たら♪と思っています!

ついに完全引退となってしまいましたね
こちらのブログで彼女の魅力を改めて感じることが出来ました
ありがとうございました

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